第1話:地球の終わりと人類種の新しい時代
第1話:地球の終わりと人類種の新しい時代
かつて、地球と呼ばれた青い星があったそうだ。そこには70億以上の人類が住み、営んでいた……らしい。僕はそれを教科書でしか見たことがない。お父様もお爺様から聴いただけらしく、実際は曽祖父よりも前の話と。現在推計される2000億の人類種の根源の星とのこと。そしてその星には当時確認できた人類種が皆同じ空の下で営み、争い、滅ぼした。
宇宙西暦2100年に当時の国際連合は地球人類存続会議を設立し、公式に人類は100年以内に対策を取らなければ地球ごと滅びるという発表をした。その衝撃的なニュースは当時の御先祖様も椅子から転がり落ちるほど驚いたそうだ。
多分僕でも転がり落ちると思う。
そのまま電子タブレット教科書のページをめくる。
教科書にはその後の展開として人類種の各分野のスペシャリスト達と統括賢者会議と呼ばれる3人の天才的頭脳を持つ女性が集められた。統括賢者のリーダーにして、人類の最初の希望と呼ばれたのはセルヴァート・ミラフォース教授という名前だけではどこの国かすら分からない女性が、スペースシールド&イグニッションシステムと呼ばれる、かつての航空機と船舶にサイズと出力に応じた宇宙線や極度の温度差に対応しながら宇宙空間でも推進力を得られる装置を開発し、地球人類存続会議は第1次案として全人類宇宙船移住計画を立案したが、圧倒的に資材が足りなかった。
「次に教科書をめくれ」と教官の言葉が響く。
次の希望が生まれたのはその4年後、量子力学と並行世界線学の頂点に君臨したアルバート・ライニコフ教授による並行世界線の星の持つ環境を好きに現世界の星にインプットし、準備が整えば数日で星の環境を変えてしまうとんでもない機械を開発した。その名はアース・コピーシステム。これにより人類は好きに住める星を選択できるようになった。
再び教官が電子モニターで解説する。
「ここまでは人類種の生き残る方法についてだったが次の三大賢者は少し変わっている。隣のページに着目せよ」
そして最後の希望と言われたのが人類の基本寿命や遺伝子そのものを強化させるヒューマン・チェンジャーシステムを作り出した春川芽依教授により、人々は100年以上生きれるようになった。その裏では基本寿命を500年としたり、寿命を犠牲にしてスキルを振り分けるというまるで一昔前のゲームのような世界になり、その後の流れは簡単だ。世界が各地から人類と資源を集めて星間国家を設立した。特に列強四大星と呼ばれるのが大日本聖国、ドイツ連邦星間帝国、国家社会主義連合国、大アメリカ連邦星間国家。この4つ以外の星の国家は消えたか戦力差があり過ぎて、教科書にすら書かれていない。
「以上がここまでの流れだ。質問がある者は?」
「教授、1つよろしいでしょうか?」
「なんだ、石崎首席大佐」
「人類種は平和を望まないのは何故でしょうか?」
周りからクスクスと笑い声がするが僕は気にせず、教授の瞳を見つめ続ける。
「静かに。その質問は生物の本質は争いだが、人間の理想には全くの合理性を有する。ある意味では人類は獣に退化したと考えてもいい。流石首席だな。諸君らも卒業後は大日本聖国の航空宇宙海軍幹部になる。これくらい柔軟かつ幅広く、常識を疑う視点をもて。以上で講義を終える」
「「「ありがとうございました!!」」」
僕を含めた生徒一同が立ち上がり、敬礼する。
そう、僕達は大日本聖国の航空宇宙海軍大学の幹部士官育成科の生徒達だ。と同時に将来的には大日本聖国の軍の幹部となる。コースが定石だが、僕には……四大列強の強権政治は受け入れられなかった。
途中で雰囲気を濁した講義の後に僕は休憩室に寄り、片手にコーラを持ちながら、小説を眺める。広々とした休憩室にただ1人の首席。悪くないシュチエーションだ。
「どの世界も人類は協力できないのか……」
「どーしたの?石くん?」
突然の優しくも綺麗な声と茶色のポニーテールを揺らしながら、目の前に現れたのは僕と同期の宇宙海軍大学3年生の雪室 南だ。彼女は副首席として中佐の地位を確固たるものとしている。
「石崎大佐と呼べ。不敬罪だぞ」
「あら?大佐殿は知らないのですか?不敬罪はかつての法律ですよ」
僕はため息をつきながら、イタズラっぽく笑う彼女の笑顔に幸福感を得る。何故だろうか。
「比喩的なものだ。雪室中佐は何故人類が平和の道を歩めないか分かるか?」
彼女は右上を眺めながら、人差し指を口に当てる。数分だろうか。彼女が石になったと思ったがどうやら生きていた。
「欲望があるからでしょ。石崎大佐も欲望があるでしょ?例えば……私と付き合いたいとか……?」
雪室の首を傾げた、ウィンクに思わず、一拍だけだが心臓が飛び出そうになり、ドキドキする。
「ば、バカなこと言うな!首席をからかうな。それよりも君ほどの美女で頭が良ければ軍人以外の道があるだろ?」
「女性差別ですか〜?」
「聞いた僕がバカだった。昼食を食べてくる」
僕はパタンと小説を閉じて。休憩室を出ると雪室はひっつき虫のように着いてくる。
なんだこの好感度がおかしい女子学生は……
だが不思議と嫌ではない。
「やっぱり仮眠室に行く」
「なら、私も」
「着いてくんな!しつこい女は嫌われるぞ?」
僕が怒鳴ると彼女はしょぼんとしてしまう。今にも辛そうな表情が何故か僕の心にも刺さる。
基本的に合理主義の僕の精神がいじめられる感覚に陥り、妥協するという案が浮び上がる。
「わかったよ……せめて何故僕に着いてくるのか教えてくれ」
雪室は黙りながら……僕の目を真剣に眺め、僅かな身長差すら僕の心を躍らせながら答える。
「石崎君の優しさが好きだよ。それだけじゃダメ?」
まただ。またドキドキを感じる。獣としての、生き物としての理性を揺さぶるようなこの感覚はなんだ。
「今はそれでいい。とりあえず昼食を取るぞ。雪室中佐も同伴だ」
「は、はい!大佐!」
食堂で大型の獣の肉で作られたビーフ風ハンバーグを食べながら目の前の彼女は美味しそうに謎の肉と卵焼きのサンドイッチを美味しそうに食べている。
「なぁ、雪室中佐。その肉何?」
「ハルヴァンシュヴァインじゃない?」
「そ、そうか……」
なぜ彼女は他星開拓で無限とも思える食材から言い当てれるんだ……
「おーい!雪ちゃーん!カツサンド食わな……大佐もいるのかよ……」
この礼儀も欠けらも無いのは佐藤吉義大尉であり、彼は実家のご両親がヒューマン・チェンジャーで寿命を射撃とそろばんに大幅に振ったと有名だ。そのため射撃関連とそろばんを使った計算以外はまるでダメ。そもそもヒューマン・チェンジャー自体まだ、リスク要素を排斥しきれてないと有名なのに……
「中佐と呼びなさい。佐藤大尉、不敬罪よ」
「す、すみませんでした!不敬罪って確か死刑一択ですよね?」
なんで彼の知識は尖っているんだ……ヒューマン・チェンジャーのバグか?
そんな事よりも彼は補習授業中のはずだが……
「そうよ、雪室様と呼びなさい」
「雪室様、今日もお綺麗ですね」
僕は今日受けたイタズラを倍返ししてみる。
すると雪室様は顔を真っ赤にして小さく答える。
「……本心……?」
「え……?」
気まずい雰囲気に巻き込まれた佐藤大尉は困惑気味のようだ。僕は本当に異性との交流が下手だと痛感する。
「えーと、その……僕は感情的に、そして好み的に君を……んん?」
好きと言いそうになり、もうなんか恥ずかしくてお盆を持って逃げ出す。
返却口に置いて、ご馳走様でした!と言い、トイレで彼女の照れた顔を思い出す度にドキドキする。
「これが……恋?……試してみるか?」
その日は寮に戻ると相室の真田に一連の流れを話すと彼はニッコリと答える。
「うん、恋だね。愛してるね。ほらほら中佐殿が大佐の前でモジモジしながら『手を繋いで?』と聞いてくる姿とか想像したら?」
「風紀を乱すけど……繋ぎたい……」
「あのさぁ、大佐。手を繋ぐだけで風紀を乱すなら小学校や中学校の卒業パーティーなんて風紀荒れ放題ですよ?」
「そ、それもそうだな……とりあえず寝る!」
「じゃあ、小官は教授に論文のアイデア貰ってくるよ」
僕は寝つけるわけもなく、ずっと色々考えすぎていたら人工太陽が昇っていた。恋とは不眠症も併発するらしい。
お手にとって頂きありがとうございます!いよいよ本編開始です!毎日投稿でやっていく予定なので何卒ご支援ご助力を頂けると幸いです。今日は5話まで投稿した後は夕方から夜に第6話を投稿予定です。初めての小説家になろうでの大会ですがよろしくお願いいたします!




