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鉄屑達の生き方  作者: ヤスナー


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プロローグ

昔々、勇者が魔王を倒し、世界に平和が訪れました――。 そんなふざけた御伽噺を信じている奴は、もうこの街には一人もいない。

あの日、勇者の聖剣が折れ、人類が敗北した時、世界は一度死んだのだ。 空は常に鉛色に濁り、大気には腐ったマナが満ちた。 文明は崩壊こそしなかったが、希望という名の灯火は、あまりにも小さく、頼りないものになった。

世界が変わったのは、ほんの些細なことだ。 山が崩れたわけでも、海が枯れたわけでもない。 ただ、世界の勝率が、ほんの数パーセントだけ、魔物側に傾いただけだ。

森に棲むゴブリンの爪が、革鎧を切り裂けるほど鋭くなった。 草原を走る野犬の群れが、熟練の狩人すら出し抜くほど賢くなった。 オークの皮膚は鉄のように硬化し、かつて冒険者が得意としていた「一対一の決闘」は、ただの自殺行為へと変わった。

その「わずかな差」が、人類を食物連鎖の底辺へと叩き落としたのだ。

かつて英雄と呼ばれた大人たちは、今や「生ける屍」だ。 濁ったマナを無理やり体に通し、血を吐きながら魔法を放つ魔術師。 筋肉が断裂する音を響かせながら、寿命を削って剣を振るう戦士。 彼らは強い。確かに強いが、その姿はあまりにも痛々しく、僕たちの目には「憧れ」ではなく「恐怖」として映る。 魔法とは、奇跡ではない。命の前借りだ。 強さとは、才能ではない。痛みに耐える能力のことだ。

だから、僕たち新世代の少年兵――通称『鉄屑(スクラップ)』たちは、英雄になろうなんて思わない。 僕たちが学ぶのは、華麗な剣技ではない。 泥を塗って臭いを消す方法。 死んだふりをしてやり過ごす呼吸法。 そして、仲間を餌にしてでも生き延びるための、残酷な算術。

さぁ、錆びついた剣を構えろ。 英雄のいない時代(ステージ)で、僕たちの、惨めで美しい戦争が始まる。



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