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【お休み中】創造前夜 ~The Eve of Creation~  作者: 桂 移作
第一章 エッジ・ザ・ドッパー編
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第8話 他人の尻ぬぐい



前回のあらすじ:他人のノリと勢いで、俺が人民軍エースと模擬戦することに

        なった。


       



 俺と例のラシードは、訓練場の真ん中で向かい合った。



「君はなにも持たないのかい?」


 ラシードが聞いてきた。


 そういえば俺は今素手だ。

 獲物を使っても使わなくても正直実力に大差はないが、何も持たないことで負けた時の言い訳を作ろうとしている感じが否めない。

 これはいかん。


「・・・剣かなんか、貸してくれません?」

 

「・・・君は面白いやつだな。」


 恥を忍んで思いっきりラシードに頼んだ。

 周りから少し笑い声が聞こえてきた。


 ラシードは苦笑しながらも、一応自分がさしていた剣を貸してくれた。

 なんだよラシード。

 根は結構いいやつやんけ。(チョロい)


 今から対戦する相手に、そこで使う武器を借りるというなんとも恥ずかしいことをしながらも、準備は整った。

 心に傷も負った。


 とりあえず、借りた剣を抜く。


(うお~、これ高級品や~!)

 

 セルフでラシードの好感度が上がりながら、剣を構える。


「よし、君は準備万端だね。」


 ラシードはそう言って杖を取り出す。

 あれは、・・・高級品だ。

 さっきから他人の金しか見てない。

 さすが無職。


 中央にここの軍の指導役らしき人が立つ。


「では、模擬戦を始めます。この模擬戦は、特例として致命傷を負わせる魔法及び剣技の使用を許可します。」


 おい、それつまり模擬戦じゃないだろ。


 さすがに俺側はヤツを八つ裂きにできない。(ドヤ顔)

 多分俺がヤツを殺したら、


 ”殺しは禁止が暗黙のルールである模擬戦で、下級貴族が油断した人民軍エースを殺した。”


 とか言いふらされるのだ。

 つまり、俺はヤツを殺れないのに、ヤツは俺を殺れる。

 正直、やってられん。


 唯一良かったことは、ヤツはおそらく剣技が得意じゃない。

 理由としてヤツの剣は、鞘は劣化が始まってるのに中は新品同然だった。

 多分飾り物的な感覚でさしているのだろう。


 ということは、近距離では無敵な俺は、近づければ勝てるということだ。


 覚悟を決めて前を向く。




「構えて・・・・・始め!」



 合図と共に、意志の力を纏う。



「意志の力1st、”身体強化”、発動!」



「ッ・・・!まさか・・闘気だと・・!」


  ラシードが少し驚いた隙に、地面を蹴って距離を急速に縮める。

 流石に最初から距離を極端に縮められるのはまずいと感じたのか、奴は逃げに入る。


(もう遅いわボケェ!)


 体を回転させて空中で回し蹴りを繰り出す。

 狙いは、・・・顔面!


 流石にいい反射神経で、ラシードは腕で蹴りをガードする体制をつくった。

 もう顔には当たらないので、蹴りを中にきかせるタイプから、ただ威力を狙った大振りに変更する。


 ドォン!


 後方の壁まで吹っ飛ばした。

 これで決まっただろうか。

 ギャラリーが完全にお通夜状態になっている。


 しかし、予想と裏腹に奴はあっさり立ち上がって戻ってきた。


「流石に蹴りが重いね、まさかあの角度からうつとは・・・。」

 

 思ったより、ダメージもくらってないように見える。



「これが、本家の身体強化か?」



 気になって聞く。


「ああ、そうだ。君のヤツとは違って防御力しか上がらないけどね。」


 なるほど厄介だ。

 だが、俺は近距離以外はほぼ専門外だ。

 攻め方など一つしかない。


「じゃあ次いくぞ。」

 

 言ってまた距離を縮める。

 しかし次は、ラシードも距離を詰めてきた。


(なっ!)


 驚いて一瞬速度が落ちた。

 その瞬間、


「くらえッ!」

 

 と叫んで、杖をレイピアのように持って突きを大量に繰り出してきた。

 

(コイツ、絶対剣技使える~~!)


 予想がフツーに外れ、焦りながらも突きを捌く。


 突きを大体90くらい捌くと、ラシードは埒が明かないと思ったか、後ろに下がって魔法で炎を発生させ、


「悪いが、オレはこの戦いに勝たなくちゃいけないんだ。」


 と言ってこっちに放ってきた。


 たしかに剣に対して火は非常に有効な手段だ。

 対処法がほぼない。

 

 しかし、俺にはその対処法があった。


「奥義”つむじ風”!」

 

 体を回転させて俺の周りに上昇気流を発生させる。

 そのまま、回り続けて炎をはじききった。


「な!・・闘気を纏えるものしかできない奥義!!?」


 軍の中でも剣をかじったことがありそうな人間は、結構盛り上がっていた。


 

 その間に気づかれないように体術だけでラシードの目の前まで行った。

 そして、剣の柄の先端を顎の真ん中にをあてて、あっさり気絶させてしまった。



「レ・・、・レックス・シュミットの勝利!」


 審判が告げた。

 訓練場でも数人は拍手してくれた。

 ひとまず勝てて安心だ。

 ヤツとは多分実戦で会っていたのならもっと白熱したものになっただろうが、今回は俺を殺さないようにとフルパワーを使っていなかった。


 ただ、勝ちは勝ちだ。

 ギャラリーにいたクレアはすごい喜んでくれた。




 そしてめんどくさくなる前にとっとと帰ろうかと思うと、なぜかドアが閉まっている。

 

 (しまった!遅かったか・・・?)



「お前をここから出すことはできない。」


 

             ・・・・・・後ろから総隊長が迫ってきていた。



 

 

 


 どうも、桂移作です。


 今日はこの物語の構成について語ろうかなと思います。急やな。

 自分の中でこの話は、全4章+1章を予定してます。


 最初の4章は、4つある人界のそれぞれに関してのストーリーで、設定が近くとも別の人界なので登場人物が変わります。(まだ詳細は考え中)

 一つの章はまあ100話いかないくらいの長さの予定です。 


 最後の1章は、お楽しみで。

 4つを締めくくるようなストーリーにします。


 応援していただけると嬉しいです。


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