第7話 近所に遊びに
今日は、王都の軍事基地を見に行った。
理由は普通に気になったからだった。
例えば一般的な対人戦闘とか、魔法を使った戦闘技術とか、そういったことは王都の軍ならば最先端だろう。
2か月前にクレアにやられてから独自の方法で鍛錬をしてはいたものの、もしかしたら自分の戦闘に関する知識はそこまで広くないのかもしれない、という考えが浮かんでいた。
今日はその考えの真偽を試すためでもある。
朝に形式上城まで通勤した後、外出許可を取って、遊びにいった。
暇そうなクレアさんが行きたいと言ってついてきた。
だから不用意に外出するなと言ったやんけ、と思いながらも最悪自分がいるから大丈夫だろうということで許可は下りた。
王宮を出て、徒歩5秒。
ついに俺たちは人民軍本部基地についた。
読んで字の通り、基地は王宮の真横だった。
というか同じ城壁の中なので厳密には外に出ていない。
「私も実は入るの初めてなの!」
クレアはワクワクしている。
俺自身もワクワクしている。
いざ中に入ってみようと正門から中に入ると、最初の部屋は剣術道場のようなところだった。
中で何人もの人間が打ち込み稽古をしている。
しかし・・・、
「おいおい、これじゃ王都防衛は危ないだろう。」
と思ったことがそのまま口を出る。
正直に言って、俺の想像の2つ下くらいのレベルだった。
見たところみんな同じ型を使っているのもマズい。
「アナタ知らないの?軍の基本は魔法。剣術だけで言うなら王都より地方の方がレベル高いのよ。」
と見かねてクレアが教えてくれる。
「なるほど。」
専門外ということか。
確かに前くらったクレアの水魔法は相当きいた。
さらに魔法は才能さえあれば比較的早く上達すると聞く。
王都で剣術が廃れだす理由もわからなくはない。
なんて考えていたとき、後ろから、
「我が軍の剣術は依然としてある程度のレベルはあると思っていましたが、・・・地方の下級貴族は魔法など使えませぬでしょうし、必然的にレベルが上がるのでしょうな。」
と、思いっきり嫌味を吐かれた。
振り向くと軍服を着たおじさんだった。
「お久しぶりです、総隊長殿。」
クレアが殻を被って挨拶をしている。
総隊長?ま・・マジか!
つまりこのおっさん、ここのトップ?
「王女様!!来ていらっしゃたのですか!何もないところですが不躾ながらこの人民軍総隊長デッグがご案内しましょう!」
なんかクレアが話しかけた途端、露骨に腰が低くなりだした。
極端すぎんか・・・。
縦型格差社会は大変である。
そういえば、今日は一人で行く予定だった。
きっとクレアがいることを知らずに嫌味を言いに来たのだろう。
「それにしても総隊長殿、先ほどの発言はいかがなものかと思いますよ。」
やばい、クレアが突っかかり始めた。
「いや王女様、そうは申し上げられましても、そこの男に魔法の知識などあるようには見えません。」
ちょっとイラつくようなことを普通に言ってくる。
しかも面と向かって言うのは怖いのか、俺から距離をとっている。
これはめんどくさいかんじになってきたぞ・・・
「しかし彼は魔法を使わずとも魔法師と対等に戦えるレベルだと私は思います。」
やばい、この流れは・・・
「では、模擬戦でもしてみますか?」
(やっぱりこうなったか)
「いいでしょう!レックス、戦いなさい!」
二人だけで会話が進んでしまい、なんか命令された。
「いやなんか・・・違くない?別にいいけどさ、もう決まっちゃったし。」
と文句を言ってもしょうがないので、諦めてすでに殺気立っているデッグを見る。
アンタが戦うのかってくらいピりついていた。
「追放された下級貴族ごときが、王女に気に入られたくらいで調子に乗るなよ!わが軍の実力、思い知らせてやる・・・!」
といって、奥の施設に向かって歩き出し、それについていく。
歩きながらクレアに、
「そういえば、軍の魔法師のレベルはどれくらいなんですか?」
と聞く。
「う~ん。私よりは強いと思うんだけれども・・・」
「あのですね、俺はアナタに負けてるんですが。」
ヤバい。
油断すると負けるカンジだ。
少しすると奥の施設についた。
先ほどの施設より圧倒的に頑丈なつくりで、全体で見てもここが一番強固そうだった。
「こここそが、我が軍の魔法師育成施設だ!」
と、おじさんが高らかに宣言した。
入口のドアを開けて中に入ると、そこはさっきとは別空間だった。
効率的に計算されたであろう精密な魔力が使用され、魔法として高い完成度を誇る技たちが飛び交っていた。
「ラシード!」
おじさんは誰かの名を呼ぶ。
それとともに、いかにも自意識過剰なかんじの爽やかイケメンが出てきた。
「何でしょうか、総隊長。」
声までイケメンでムカつく。
キャラ被るんだわ。
「この下級貴族と模擬戦をしてついでに殺せ。」
いやいま殺せって言ったーー!
思いっきりいいやがった。
「へぇ・・・」
男がこちらを見る。
いちいちだるい。
見ててハズい。(共感性羞恥)
場所を施設の真ん中に移し、俺たちは向かい合った。
どうも、私です
ヒロインの好感度上げすぎたかもしれないと思い出しました。
まだ、友達として的な好きなので多分セーフ。
補足:神
・絶対神さんなんかは、宗教とかで存在を教えられていて、かなり信仰されています。