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【お休み中】創造前夜 ~The Eve of Creation~  作者: 桂 移作
第一章 エッジ・ザ・ドッパー編
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第5話 即落ち2コマじゃつまらない。



「・・・今日ここに来たのは、なにもアナタと争うためではありません。」


 ようやく彼女は本題に入った。

 

「アナタは何者なんですか?なんですかあの力は。」


 大体想像どうりの質問が飛んできた。

 いや、彼女にはほぼ何もできず、一発くらって負けただけだが。


 しかし、質問があるのは俺も同じだった。


「俺も聞きたいことがありまして。」


「では交換条件成立ということでいいですね!」


 王女さんはニッコリ笑った。


 やはり女性の喜ぶ顔というのは反則だと思う。

 しょうがない。

 あまり自分の力について話したくはないが、相手は王女だ。

 王都がピンチになったときとかに、戦闘員の能力を知らないのも大変だろうし。


「俺の力はですね・・・強い”意志の力”を中心に、様々な流派の剣の技などを素手で使ったりしているかんじですな。」


 そう、これだけだ。

 実は特殊な技など一つも使っていないのだ。(幻覚)


 これが自分の力について話したくない理由だ。

 結局根幹にあるのは、生まれ持った才能だよりの戦い方。

 

 しかし彼女は、


「それは興味深いですね・・・。」


 と真剣に聞いてくれていた。

 

「正直がっかりしたでしょう。才能だよりで。」

 

 だが、何というか、自分が良くないと思っていることを、彼女が良いと思うのが気にいらなかった。

 そのせいか吐き捨てるように言ってしまった。


「それは、私もです。」


 彼女は真っ直ぐこっちを見て、言った。

 何故か目をそらせない。


「聞いたかもしれませんが、私は、魔法の恐怖症みたいなもので、正面にしか高ランク魔法が打てないのです。あなたは才能を、それに噛み合う剣技をもって増幅させています。私のような人間より、よっぽど地力があると思いますよ。」


 と、励まされてしまった。

 いや、俺が落ち込んでる理由の9割はその、地力が勝っているはずの相手に一発で倒されたからなんですが・・・。


 でも、励ましにはなった。

 

「ありがとうございます、なんかまたその、明日からも頑張る。」


「そう、勝手にして。・・・ゴホン。

 それはそうとして・・・あなたが言う”意志の力”とは闘気のことなのでないでしょうか?」


「おい隠しきれてないぞ、もう少し頑張れや。

 ってのはまあよくて、多分闘気に関しての話は、そうだと思います。」


 俺だって自分の力のルーツを知ろうと昔色々調べたので、それくらいは分かる。


 でも違うところもある。

 それは、うちのの家系の人間がみんな生まれつき会得していて、自在に操れてしまうところだ。

 闘気は剣士が長い鍛錬の末に会得するものだと言われている。

 明らかに使用難易度が違う。


「まあ、私が今日聞きたかったのはこれくらいです。では。」


 彼女はそういって出ていこうとする。


「いやちょっと待てや。」


 手を掴んで止める。


 なに?誰? みたいな顔をされた。

 誰? はなくね、誰? は。

 

「いやあの、交換条件って言ってませんでした、おたく?」


「チッ・・・・・何?」


 ばれたか・・・ じゃないのよ。

 コッチにも質問がある。


「俺を倒した、あの技は何なのでしょう?」


 純粋に聞きたかったことを聞いた。

 なのに、


「は?・・・アナタもしかして、魔法ってご存じない?」


 と、驚愕の表情で聞き返された。


「魔法って、空想上のものでは?」


 とさらにそこに聞き返す。


「それ何年前の、・・・ああ、そういえばアナタのお家は追放されていましたね。多分その間に誕生・発展したのでしょう。」


 何ともないように彼女はそう言った。


 しかし、俺には衝撃だった。

 

 この世界に、魔法があったのだ。

 魔法はおとぎ話の世界の力で、この世にはないと19年間思ってきた。

 あるのならば今すぐにでも習得したい。

 正直剣技よりそっちの方が極めたい。

 俺は今人生の19年間で一番興奮していた。


 我に返り、


「どうやったら、魔法を習得できる!!?文書とかあると助かるんだけれども!!!」


 と肩を掴んで詰め寄る。多分我に返れてはいない。


「きゃっ!!近いわ!!!」


 王女はびっくりして後ろに下がり続ける。

 しかし俺はそれに対して前進し続ける。


「王の宮殿だったらあるとか?本屋に言ったらあるのか?」


 質問に質問を重ねる。

 すると限界だったのか、


「近い!!!!無礼者!!!!!くたばれぇ!!!!!!」


 バシッ


 とビンタを繰り出せれ、くらった俺は後ろに吹っ飛んだ。

 い・・・いてぇ・・・。


「し・・・失礼しました・・・。」


「もういいです!質問は魔法の文書があるところでしたね!王宮にいったらあるわ!」


 といい、慌てて部屋から出ていく。


「送りましょうか~」


 と後ろから声をかけるも、


「結構です!」


 と叫び声で返されてしまった。



「・・あちゃ~、やらかしたかも。まあ何にせよ、明日から魔法が学べる!」


 それが一番嬉しかった。


 正直秘書見習いの仕事など、王宮に入るための口実に過ぎないと思うくらいには。



___________________________________





「なんなんですか・・。丁寧なカンジかと思えば、急に近づいてきたり・・・。」


 ぶつぶつ言いながらせかせかと彼女、王女クレアは王都を歩く。


 ついさきほど彼、レックス・シュミットの部屋から出てきたばかりだ。

 普段、周りの人間が純潔を守ろうと色々対策していることもあってか、彼の行動は、初心は彼女には刺激が強すぎた。


(お父様と話していた時、すごい丁寧でもしかしたら結構良い人なのかもと思っていたのに~~~)


 どうにもならない思いを抱え、とうとう彼女は頬を抑えて蹲ってしまった。


 少しの間があり、彼女は何もなかったように立ち上がる。


「ふう。結局彼がなんだというのですか。ただの執事見習いです。落ち着きなさい、クレア。」

 

 と自分に言い聞かせた。

 そして、


「疲れましたね。甘いものでも食べて帰りますか。」


 と言い、動こうとした。


 しかし、蹲っていた間に王女だとバレたのか、周りに人だかりができていた。

 流石に少しはクレアから距離をとっているが、結構な数いる。 

 自由に動ける状況ではなくなっていたのだ。



(ヤバい!王女は不用意に外出しちゃいけないのに・・・)


 周りには色々な視線とそれとともに感情があった。

 好意、興味、・・・・敵意!


 とっさに敵意を察知し彼女はその場から離れようとするも、それ以外の人たちが多すぎた。



 正直、賊にとって王女ほど好都合な人間はいない。

 そもそも女性ゆえに非力なので、拉致りやすいし、逃げられる可能性も低い。

 さらに父親である国王は、娘を人質にさえとってしまえば大半の命令を聞くしかなくなる。


 じりじりと多方向から敵意が迫る。


(魔法で対抗するしか・・・。でも、そうすると善良な市民まで・・・・)


 彼女にとれる対抗策はなかった。

 彼女には。

 

 そしてついに、その敵意の元凶たちが取り巻きの円の内側に出てきた。


「本物の王女だぜ。ぐひひひ」


「ああ、こりゃ金のにおいがぷんぷんする」


 賊は喋りながら、一斉にナイフを取り出した。


 そのとき、


 どこからかこの人だかりを抜けて、いつ着替えたのか聖騎士風な姿のレックスが現れ、彼女の前に跪いて手を差し伸べ、こう言った。


「王女様、ここは危険にございます。ここからわたくしが、安全に王宮までお連れ致します。」





 彼女はあっけにとられながら、笑ってその手をとった。






 え~、恋愛系の描写は苦手な桂移作です。どうも。

 正直即落ち2コマで良くない?とずっと思っていましたが、さすがに話が薄くなるかなと思い、頭をうならせながら書きました。

 どうでしたか?

 まあもう少しもどかしいカンジが続くんですけども。


補足:王都


・この人界一の大都市。

 王宮というか王の城が中心。

 無駄に広いせいで、王都内にも貧民や賊みたいのが結構いる。

 怪しい店なんかも立ち並んでたりする。

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