表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【お休み中】創造前夜 ~The Eve of Creation~  作者: 桂 移作
第一章 エッジ・ザ・ドッパー編
15/16

第14話 誰が悪か




 クレアは縛られたまま、賊に運ばれていた。



(どこまで行くのかしら・・・。)


 正直最初は怖がっていてパニックになっていたが、思ったより移動時間が長く、もう冷静さを取り戻していた。


 賊はクレアが乗ってきた馬車にそのまま縛って入れて、自分たちの馬でひいていた。

 言っていた通り、クレアに対して害を加えることはなかったのだ。




 落ち着いて、馬車の小さい窓から周りを見渡す。

 

 まだ午後といっても早い。

 日は充分に照らしていた。



(なんか、賊っぽくないな・・・。)


 と感じる。

 


 裏切り者の護衛兵は、長年軍にいて比較的高官だし、周りの覆面男たちは、賊にしては身なりが整っている。

 覆面をとれば、どこかの村の一般人と変わらないように感じる。


 おまけに賊ならこんな時間から活動していないだろう。

 違和感を抱えながら、どうしようかと考えていると、前方に村が現れた。



(もしかして、予想当たってた?)



 集団は村に一直線で向かって、中に入った。


 そのまま村の中を進む。



(何この村は・・・、異臭がひどい・・・。)



 全体的に村人は瘦せていた。

 子供はあまり多くない。


 街角に、死体が落ちているところもある。



 村の中でも、比較的大きい小綺麗な家の前で、集団は止まった。


 そしてクレアは、中に運び込まれ、地下室に閉じ込められてしまった。



(なんとなく察した・・・。多分ここはこの村の村長の家だわ。きっと王都からの支援不足とかでのお父様との交渉のために、私を攫った感じね・・・。)


 だいたいの概要に気づいて、どこか安心していた。

 自分に危害が加えられないことの確証がもてたからだった。


 落ち着いて数日過ごしますか・・・。くらいのノリだった。




 何時間か経って、村長と思わしき人間が地下室に入ってきた。



「何か用?」


 暇なので声をかける。



「王女様、わざわざこんな辺境の地まですいません。しかし、こうするしかなかったのです。」


 村長は語りだす。



「援助不足ですか?」


 自分の予想を述べる。



「・・・その通りでございます。我々の村は、もともと魔獣の生息地だった場所に作ったので、作物は育ちにくく、近隣では魔獣の襲撃事件が後を絶ちません。王様にはいくら申請をしても、”村の場所をそこにした者の責任だ”と突っぱねられまして・・・。」



 結構まっとうな理由を持っていた。

 自分がこの村の住民だったらと考えると、この行動が間違っているとは言い難い。



「とりあえず交渉が終わるまでの間は、この村に居続けてもらいます。なにか要望などございましたら、聞きますが・・?」


 

 何か望みがないかと聞かれた。

 ちょうどあった。



「ここは数日過ごすには環境が良くありません。私から脱走を図る気もありませんので、もう少し良い部屋はないでしょうか。」


 これだった。


 クレアは今までの人生で、地下室で過ごした経験などなかったのだ。

 正直埃がキツイ。



「そうですな・・・。そういえばこの村の端には、石でできた倉庫があります。

 そこではいかがでしょうか・・。我々も逃げられないという保証が欲しくてですね・・・。」



 ちょっと上くらいの物件を提示された。


 まあそれでも、ここよりはマシだろうからと素直に従い、倉庫に移動した。



 

____________________________________



~1日後~


 


 ・・・正直もう帰りたい。



 王都のベッドが既に恋しくてたまらない。

 倉庫だからそもそも寝るために作られてないし、普通に床は冷たくて硬い。


 今日の朝起きた時、全身が悲鳴を上げていた。



 しかも暇だ。


 一切やることがない。

 朝から夜までぼーっとしていた。

 今なんて上りだした月を見ているだけだ。



 王都はどうなっているだろうか。

 彼はどうしているだろうか。


 私は国王の娘として、人質に取られてはいるが、この村の人たちの気持ちは分かる。

 お父様が素直に要求を呑んでくれればいいが・・・。



「ちゃんといますかい?」



 唐突にドアが開いて、男が入ってきた。

 鎧を脱いでいたので分からなかったが、よく見ると護衛兵の者だった。



「いるわよ。・・ところで、アナタはこの村出身だったの?」


 半分確信していたが一応聞いた。



「そうですな。さすがに親に頼まれて断れませんでしたよ。」


 男は笑いながら答える。



「で、こんな時間に何の用?」


 

「いやあ、折角こんな機会だ。・・・ヤるしかないでしょ。」



 言って男は私を捕まえて、押し倒した。



「な・・・何をしているの!は・・・離れて!!」


 私は驚いて叫ぶ。



「どうやら王様は、要求を呑むのを断ったらしいんだわ。おまけに軍に出動準備させているとか。このままじゃ、村長は生きられても俺は死刑なんでね。もうなにをしても変わらないんだわ。」


 男は力を強める。



「王女は純潔を守るのが常だったっけ?どうせなら奪ってから死のうなんてね。」



 片手で私の両手を抑えて、男は私の服を破った。



「や・・・やめて・・・」


 せめてもの抵抗として体を動かすも、無駄だった。



「正直王女とは前からヤりたいと思ってたんだ。この胸が自由にできるとはねぇ!」



 乱雑に胸を触る。


 私は言葉にできない不快感と絶望感で泣き出した。

 怖すぎて声はもう出なかった。


 男は執拗に触り続けた。



「あぁ、そろそろ本番にいかないと。」



 そして下半身も脱がしにかかる。


(やめて!・・・・誰か、助けて!!)


 願うも誰もこない。

 ついに見られたくないところがあらわになってしまう。



「うはっ!キレイですよ、王女様。」



 男はもう人間の目をしていなかった。



「では、いただきますか。」


 

(もうムリ・・・・誰か、誰かぁ!レックスぅ!!!)


 クレアの目はもうほとんどが恐怖に染まっていた。



 ・・そんなときだった、彼が天井を破壊して降りてきたのは。





「王女様、間に合いましたでしょうか?」


 


       彼の目は、怒りに燃えていた。


 

 

 どうも、桂移作です。

 第14話、どうでしたでしょうか。


 胸糞系な展開が好きじゃない読者の皆さん、申し訳ございません。

 もう終わりますので。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ