第14話 誰が悪か
クレアは縛られたまま、賊に運ばれていた。
(どこまで行くのかしら・・・。)
正直最初は怖がっていてパニックになっていたが、思ったより移動時間が長く、もう冷静さを取り戻していた。
賊はクレアが乗ってきた馬車にそのまま縛って入れて、自分たちの馬でひいていた。
言っていた通り、クレアに対して害を加えることはなかったのだ。
落ち着いて、馬車の小さい窓から周りを見渡す。
まだ午後といっても早い。
日は充分に照らしていた。
(なんか、賊っぽくないな・・・。)
と感じる。
裏切り者の護衛兵は、長年軍にいて比較的高官だし、周りの覆面男たちは、賊にしては身なりが整っている。
覆面をとれば、どこかの村の一般人と変わらないように感じる。
おまけに賊ならこんな時間から活動していないだろう。
違和感を抱えながら、どうしようかと考えていると、前方に村が現れた。
(もしかして、予想当たってた?)
集団は村に一直線で向かって、中に入った。
そのまま村の中を進む。
(何この村は・・・、異臭がひどい・・・。)
全体的に村人は瘦せていた。
子供はあまり多くない。
街角に、死体が落ちているところもある。
村の中でも、比較的大きい小綺麗な家の前で、集団は止まった。
そしてクレアは、中に運び込まれ、地下室に閉じ込められてしまった。
(なんとなく察した・・・。多分ここはこの村の村長の家だわ。きっと王都からの支援不足とかでのお父様との交渉のために、私を攫った感じね・・・。)
だいたいの概要に気づいて、どこか安心していた。
自分に危害が加えられないことの確証がもてたからだった。
落ち着いて数日過ごしますか・・・。くらいのノリだった。
何時間か経って、村長と思わしき人間が地下室に入ってきた。
「何か用?」
暇なので声をかける。
「王女様、わざわざこんな辺境の地まですいません。しかし、こうするしかなかったのです。」
村長は語りだす。
「援助不足ですか?」
自分の予想を述べる。
「・・・その通りでございます。我々の村は、もともと魔獣の生息地だった場所に作ったので、作物は育ちにくく、近隣では魔獣の襲撃事件が後を絶ちません。王様にはいくら申請をしても、”村の場所をそこにした者の責任だ”と突っぱねられまして・・・。」
結構まっとうな理由を持っていた。
自分がこの村の住民だったらと考えると、この行動が間違っているとは言い難い。
「とりあえず交渉が終わるまでの間は、この村に居続けてもらいます。なにか要望などございましたら、聞きますが・・?」
何か望みがないかと聞かれた。
ちょうどあった。
「ここは数日過ごすには環境が良くありません。私から脱走を図る気もありませんので、もう少し良い部屋はないでしょうか。」
これだった。
クレアは今までの人生で、地下室で過ごした経験などなかったのだ。
正直埃がキツイ。
「そうですな・・・。そういえばこの村の端には、石でできた倉庫があります。
そこではいかがでしょうか・・。我々も逃げられないという保証が欲しくてですね・・・。」
ちょっと上くらいの物件を提示された。
まあそれでも、ここよりはマシだろうからと素直に従い、倉庫に移動した。
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~1日後~
・・・正直もう帰りたい。
王都のベッドが既に恋しくてたまらない。
倉庫だからそもそも寝るために作られてないし、普通に床は冷たくて硬い。
今日の朝起きた時、全身が悲鳴を上げていた。
しかも暇だ。
一切やることがない。
朝から夜までぼーっとしていた。
今なんて上りだした月を見ているだけだ。
王都はどうなっているだろうか。
彼はどうしているだろうか。
私は国王の娘として、人質に取られてはいるが、この村の人たちの気持ちは分かる。
お父様が素直に要求を呑んでくれればいいが・・・。
「ちゃんといますかい?」
唐突にドアが開いて、男が入ってきた。
鎧を脱いでいたので分からなかったが、よく見ると護衛兵の者だった。
「いるわよ。・・ところで、アナタはこの村出身だったの?」
半分確信していたが一応聞いた。
「そうですな。さすがに親に頼まれて断れませんでしたよ。」
男は笑いながら答える。
「で、こんな時間に何の用?」
「いやあ、折角こんな機会だ。・・・ヤるしかないでしょ。」
言って男は私を捕まえて、押し倒した。
「な・・・何をしているの!は・・・離れて!!」
私は驚いて叫ぶ。
「どうやら王様は、要求を呑むのを断ったらしいんだわ。おまけに軍に出動準備させているとか。このままじゃ、村長は生きられても俺は死刑なんでね。もうなにをしても変わらないんだわ。」
男は力を強める。
「王女は純潔を守るのが常だったっけ?どうせなら奪ってから死のうなんてね。」
片手で私の両手を抑えて、男は私の服を破った。
「や・・・やめて・・・」
せめてもの抵抗として体を動かすも、無駄だった。
「正直王女とは前からヤりたいと思ってたんだ。この胸が自由にできるとはねぇ!」
乱雑に胸を触る。
私は言葉にできない不快感と絶望感で泣き出した。
怖すぎて声はもう出なかった。
男は執拗に触り続けた。
「あぁ、そろそろ本番にいかないと。」
そして下半身も脱がしにかかる。
(やめて!・・・・誰か、助けて!!)
願うも誰もこない。
ついに見られたくないところがあらわになってしまう。
「うはっ!キレイですよ、王女様。」
男はもう人間の目をしていなかった。
「では、いただきますか。」
(もうムリ・・・・誰か、誰かぁ!レックスぅ!!!)
クレアの目はもうほとんどが恐怖に染まっていた。
・・そんなときだった、彼が天井を破壊して降りてきたのは。
「王女様、間に合いましたでしょうか?」
彼の目は、怒りに燃えていた。
どうも、桂移作です。
第14話、どうでしたでしょうか。
胸糞系な展開が好きじゃない読者の皆さん、申し訳ございません。
もう終わりますので。