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【お休み中】創造前夜 ~The Eve of Creation~  作者: 桂 移作
第一章 エッジ・ザ・ドッパー編
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第13話 王女の宿命、おきまりってヤツ。



 軍の騒動があってから、早いもので2ヶ月が経っていた。



 あれから軍では剣技も戦闘技術として重視されるようになり、暇だった俺はよく講師として出向かされている。

 今日も、指導に行ってきた。



 ラシードが指揮する新人民軍は、ラシード一人だけ熱が入りすぎて、正直周りはついていくので精一杯に見える。


 アイツは超がつく真面目くんだからな・・・。


 ラシードは俺が指導に行く日は、毎日誰よりも早く訓練場に来て、誰よりも遅く訓練場を出る。

 多分俺が行ってない日も同じだろう。


 何というか、強さに対する意欲がありすぎる。



 まあそのおかげもあってか、最近は毎日が充実しているように感じる。


 ただ一つ、問題が有るとするならば・・・、最近全然クレアに会えていない。



 俺が講師に行きだした最初の頃なんかは、そこまでの頻度じゃなかったので会っていた。


 その頃からたとえ理由を説明したとしても、クレアは不機嫌そうだった。

 そして忙しくなってきた最近なんかは、あっちが不貞腐れてしまって、王女としての仕事を極端に増やしだしてしまった。


 その結果として事件発生前はほぼ毎日一緒にいたのに、最近はさっぱり会えていないのだ。




 そんな中、俺はあることに気付いてしまった。

 それはとても重大で、かつ恥ずかしいものだった。


 どうやら俺はクレアが好きらしい。

 距離が空いてしまうとどうも悲しくて、心にぽっかり穴が空いたような感覚になる。


 この世界が一夫多妻制で本当に良かったと心から思う。

 そうじゃないと幼馴染のルートをへし折る羽目になっていた。



 最近なんて遠目で見ただけでドキドキしてしまう。

 ・・俺は乙女かよ。

 


 やはり、一回距離を置くことは、恋愛にとって非常に大切なんだと思う。


 近づくだけではなく、離れてこそ分かることがある。

 離れてどう思うか、それは自分の本心が出てくる。


 俺は、離れていて悲しい。

 なんでまだ仕事があるんだ・・・。



 これはよくあることだが、前まで全然仕事が振られてこなかったのに、ちょっと働き始めると一気に増えていくアレだ。

 誰かこの現象に早いこと名前つけた方がいい。


 そしてこれが嫌になってまた仕事を辞める。

 で、また最初から繰り返すカンジだ。



 講師によく行っていたせいで、”コイツ、仕事振れば働くんじゃないか”という考えが出てきてしまったらしい。

 おまけに自分は、頼まれるとあまり断れない。




 くそ・・・無職がこいしい・・・。


____________________________________




 最近彼は、いつも”軍の講師の仕事で・・・”とか言っていなくなる日が増えだしていた。



 ちょっと寂しかったけれど、まあ週3日は休みがあって、その時はいつも会いに来てくれていたから良かった。

 

 ただここ数日はさらに忙しくなったとか言って、全然来なくなってしまった。

 確かに彼は実力者だから、講師として呼ばれるのは分かるし、なんか私も誇らしい。


 でも、・・・多くない?


 別に、毎回彼じゃなくてもいいじゃない。


 しかも彼も忙しいとは言いつつも、前日から入念に準備しちゃったりしていた。

 何故かは分からないが、私は彼が私の知らない場所で何かに熱中しているのが許せなかった。


 彼にもう少し私との時間を作ってほしかった。

 

 

 そんな時、私は名案を閃いた。


 それは、”私もたくさん仕事を入れること”だ。

 そうすれば彼は、私に会うために講師の時間を削るしかない。


 我ながら天才だと思う。


 


 そして、数日が過ぎた・・・。


「いや、ただ会えないだけじゃない!」


 クレアは自室で一人叫んだ。

 本当にその通りだった。


 彼は熱心に働き続け、私も熱心に働き続けていた。



 ただ、無職ニートの2人が、働き者になったというだけだった。



「うう・・・、何が間違っていたのかしら・・・。」


 悲痛の叫びを聞いてくれるものはいない。

 ベッドの上でゴロゴロやっていると、


「王女様、お仕事のお時間です!」


 と、外から言われた。


「ああ、また仕事が・・・」


 悲しみに暮れる暇なく仕事に出た。




「それで、今日の仕事内容はなんでしょう?」


 馬車に乗って、護衛兵に質問する。

 護衛兵は振り返って答えた。


「地方の貴族へのあいさつ回りだと自分は伺っております。」



「・・・また地味な仕事・・・」



 お父様は、娘が仕事を熱心にしていると聞いて、前にもまして外交的な細かい仕事をドンドン回してくる。

 今日もその一種らしい。


「まあ、出発してちょうだい。」


 御者に言った。

 彼は”はい”と答えて馬を出発させる。


 そういえば、今日は珍しく、というか普段はない、護衛兵が一人しかいない状態だった。

 御者に戦闘能力はないので、本当の一人体制だ。


(何もおきなければいいけど・・・・。)



 なんて思っていた矢先に、普通に何か起きた。


 まず横から矢が飛んできて、馬に直撃。

 2頭のうち片側が倒れた。

 もう1頭は混乱して暴れだし、馬車が大きく揺れる。


「きゃっ!」


 混乱している中、前から御者の、


「貴様、裏切り者だったのか!・・・グッ!」


 という声がして、馬車の速度が急激に上がる。

 

 まるで何か重い荷物を降ろしたかのように。


 

 中から外を見ると、そこはもう知らない世界だった。


 数人の盗賊と思わしき人たちが、馬に乗って剣を構え、馬車と並走していた。

 こういう集団がいるとは聞いたことがあっても、さすがに王女なので見たことはなかった。


 横から乱雑に馬車が押し倒され、外から声がする。



「クレア王女様、ご同行を願いたい。」


 倒れた衝撃で痛む体を起こし、外に出た。

 一番先頭にいた男は、まさかのさきほどの護衛兵だった。


「アナタは・・!」


 驚きすぎて声が止まる。

 裏切り者だったのだ。


「我々の目的は、国王にある。アナタを害するつもりはない。」



 と後ろにいる覆面男が言って、馬を降り、あっという間にわたしを縛ってしまった。


(レックス・・・助けて・・・)




 そのまま、盗賊に連れ去られていった。


 

 どうも、桂移作です。

 テンプレはやっぱり最高ですね。

 安定してカッコよく主人公をみせられます。

 ただ、テンプレ過ぎても面白くないので、どこかでオリジナリティを出せるように頑張ります。

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