表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【お休み中】創造前夜 ~The Eve of Creation~  作者: 桂 移作
第一章 エッジ・ザ・ドッパー編
13/16

第12話 ギリギリセーフ



 歩き出したと言っても目と鼻の先、俺たちは城についた。

 


 国王に事のいきさつを話すためだ。


 デッグなんて、力を放出しすぎて王都中から見えていただろう。

 普通に騒音で迷惑かけたし、しまいに人民軍総隊長を殺してしまった。

 

 事情説明するのは気が引けるが、このまま逃げればそれこそ確信犯になってしまう。



「気が重い・・・。」


 ボソッと口から愚痴が出る。



「私がフォローしてあげるから!」


 横でクレアが笑った。



 良いよなアンタは。

 犯人でもなければ、王女だし。



 ことと次第によっては、また王都追放だよ・・・。




____________________________________




 なんだかんだあって、王のところまで来た。



「で、さっきの騒音はなんじゃ?」


 若干不機嫌そうに聞かれる。

 すかさずクレアが答える。


「急に暴れだしたデッグ総隊長殿と、このものが戦っていたのでございます、お父様。」



 た・・・助かる!

 あくまでもデッグが元凶ということで話が進む。



「まあ、デッグは大体いつもイラついておるからのぉ。それにしても、まさかデッグと戦えるほどだったとは。」


 王も納得しだした。


 いける!これはいける!



「して、王様。総隊長デッグの遺言が・・・」


 俺が口を開く。



「遺言?」


 明らかに不機嫌度が増した。



(ヤバい、そういえばまだ死んだって言ってない!)



「貴様、まさかデッグを殺したのか?」


 ギロリと睨まれる。

 ヤバい。


 周りのいかにも位が高そうな貴族たちもひそひそ言いだす。


(も・・・もうダメか・・・また追放案件なのか・・・いや、このイラつき度は、首が飛んでもおかしくない!!)


 終わった・・・、と思っていたところでクレアが口を開いた。



「お父様、このものはただ殺したのではないのです、シュミット家としてデッグと決闘をした結果です。」


 なんかそれらしいことを言い出した。



「なんじゃ、決闘か。」


 いや納得するんかい。

 王都の倫理観はどうなっとる。



「そういえば、シュミット家は80年前にデッグによって王都を追放されていたと聞いたことがある。決闘というのであれば、この件は不問としよう。」



 なんかセーフだった。

 

 やっぱ髪が浅けりゃ思考も浅い。(すぐ調子に乗るタイプ)



「で、デッグの遺言とはなんだ?」

 

 王は本題に入った。

 俺が答える。


「"次の総隊長はラシードにしてくれ”と最後に総隊長は言っていました。」



 王は意外そうな顔をする。


「総隊長は代々ラオール家が担ってきた誇りある役職だ。彼がそんなことをいうわけが・・・あぁ、アイツそういえば独身じゃった。」


 王はあっさり納得した。


 おい。 

 聞きたくなかったよそんなこと。

 ”自分にできなかったことをしてくれる”が理由でいいじゃんか。


 俺の中で一時最高レベルまで上がっていたデッグの評価が今現在急速に下がり、国王と同じくらいまできて止まった。



 そんな中、横の方にいた貴族が口を出してきた。



「王様、ラシードというものは、天才とはいわれていますが、現在21歳です。いくらなんでも、人民軍総隊長としては、若すぎます。」



 うわぁ、いるよね。

 こういう何でもかんでも突っかかってくる貴族。

 

 しかし今回はその反対の声を打ち消す物がいた。



「ラシードは我が子だが、君は我が家の教育に不満がおありか?」


 多分ラシードの父親らしい。

 座っている位置的にかなり高位なのだろう。

 王のほぼ横だ。


 そして口を出した貴族は、残念なことに端の小っちゃい席だ。

 発言の重みが違った。



「う・・・。まあ、問題ないのでは・・・・。」


 黙ってしまった。

 

 こういう貴族のしょうもない戦いに、挟まないで頂きたい。



 王はその会話を聞き、最後に、



「では、次の総隊長はラシードとしよう。」


 といった。


_______________________________




 王宮の廊下を一人で歩いていた。



 クレアは仮にも王女なので、執事らしき人たちに回収されて行ってしまった。

 俺は、特にやることはないし、仕事は名前だけだし・・・。


 まあ暇なので、こうやって廊下をうろついているわけだ。


 端の曲がり角を曲がったとき、奥に複数の貴族と談笑する、騎士がいた。

 あれはラシードだ。



 今あっても話す話題もないので、Uターンしようとして、残念ながら見つかってしまった。


 おまけに、なんか話していた奴らに断りを入れて駆け寄ってきた。



「次の総隊長らしいな。」


 なんとかひねり出した話題をぶつける。



「そうだね、光栄なことだよ。」


 爽やかに返された。

 多分コイツ主人公だろ。


 くっそームカつく。



「デッグ前総隊長は、”圧倒的な実力による制圧”が指導目標だったらしい、ならばオレは人民軍を”決してひかない軍隊”にしてみせる。」



 なんか宣言しだした。

 まあ、あの時全員あっさり逃げたしな。



「良いのでは。」


 普通に方針は良いと思う。

 達成できるかは、二の次だが。



「そしてオレは、君のライバルとして肩をキッチリ並べられるように頑張るさ!」



 言ってラシードは笑った。

 いやだからコイツ主人公だろ。


 ていうかライバルだったの?

 まあ、たしかに現時点の実力差はあれど、適正は似ている気がする。



「まあ、頑張ってくれ」


 言って俺は、グーを出す。

 これでパーだしたら殴るぞ。



「ああ!」


 普通にグーで返してきた。


 コツッ!



 二人で誓いあった。


 どうも、桂移作です。

 なんか伏線っぽいシーンが欲しいなと思い始め、分かりやすすぎる伏線を大量発生させ始めました。

 回収お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ