とある所で聖女召喚
「おお、聖女様!!」
家で寛いでいる時、突然床が光ったと思ったら「おお、聖女様!!」である。
聖女召喚とみた私は磨き抜かれた床をものともせず、ダッシュで消えかけの魔導通路に駆け込んだ。
「お待ちください!!!」
魔石を沢山身につけた男が服の裾を掴んだが、ガン無視で魔導通路をさかのぼる。
理が違うかもしれない世界から、最悪戻れないかもしれないことを考えると自然と足に力が入る。
魔導も駆使し、何とか戻れたそこは愛すべき我が家だった。
「はあっ、はあっ。げほっ。どうか、どうか師匠になっ、げほっ」
何か変な者が付いてきてしまった。
よくついてこれたものである。見たところ魔力は高いが知識がおいついていないように見受けられる。魔術しか使ってなかったし。
よくよく話を聞くと、聖女召喚をしたのは彼の世界の魔術協会らしく、権威付けの為だったらしい。
そこで聖女ではなくなぜ魔女を召喚したのかはなはだ疑問である。
説明しながら師匠になって欲しいと連呼する男には、伴侶を兼任させることにした。ものすごく特をした。だって子供が欲しいのに相手が見つからなかったのだ。
この世界では私の伴侶になるぐらいならドラゴンの方がマシだとまことしやかに囁かれているのを知っている。なぜだ。解せん。