『白黒×英雄 混ぜたらこうなる!?』
まずは……、我狼龍牙さんありがとうございます。
おかげで、こんな作品が書けましたよ。
ありがとうと言っておきましょうか。
それと、作品を読んで二つの作品の読者で、気を悪くしたのならゴメンなさい。
この二つは先に言って置きます。
それでは、本文をどうぞ!!
「ふぬぅうう!!」
俺は、欠伸をしながら小説を閉じる。
ずいぶんと昔に勝ってもらった本だが、最近異世界に行くという、普通の高校生にはできない体験をしたからである。
つまりいうと、男子である限り他の者に見られてはいけない物を向こうの世界にもって行ったりする作業をしている。
その最中にこの小説を見つけて読み出してしまった。
途中までしか読んでなかったが、十分面白い内容だった。
そして、俺はその隣に置いてあった紙を手にとって見る。
「……これは……す、すぐに処分しないとな~」
処分と言う名目で、手に持っている一つの紙切れを折りたたんでポケットの中に入れる。
「『鏡』それじゃ」
俺は、誰もいない空間にそれだけを残して出発した。
そして、後悔した。自分でもこのとき注意して置けばよかったと思う。
それは、新しい……いや、本当に存在する小説の世界に行ってしまったことに……。
☆
ガサガサと、少年は草木を掻き分けて進んでいる。
野宿をするとなると、水が必要なのだ。となると、森の中では草木が生い茂ったところと探すしかない。
「み、見つからない」
ハァハァと肩で息をしながら、少年は疲れて膝に手をつく。
そして、少し前を向くと。
高校生くらいの男性が笑いながらこっちに向かって歩いてきた。
さっきまで、気配すらなかったのにだ……。
不吉な予感がする。
そう、少年、我狼龍牙は直感した。
自分の背にある大きな機械剣に手をかけながら体勢を低くする。
そして、その男性が来た時に、声をあげながら襲い掛かった。
「やぁあああ!!」
☆
俺が、見慣れない森を歩いていると、いきなり掛け声と共に襲われた。
盗賊の部類にしては、剣筋がよく、体が小さい。まぁ、このくらいの子でも盗賊の奴もいるが、極端な例だ。それに、これだけ小さい子がどうやってこんなに強くなったのかが気になる。
俺は、体勢を低くしながら後ろに飛ぶ。
「お前だれ……少年?」
「は?えと、誰ですか?」
顔を見合わせる。
その姿に似合わずに、すごい何かが感じられる。
その何かは魔力ではなく、どこか異様な雰囲気としかいいようが無いものだった。
「俺は、風詠海弟って言うんだが……お前は?」
「あ、俺は我狼龍牙って言う」
「ほぅほぅ」
俺は、この強さに興味があったので話を無視して、観察に移る。
元の世界に帰るのはまだ後でいいだろう。
「……何だ、この異様な雰囲気は……?」
「冥力じゃ無いですか?……あなたには感じられませんね……」
「は?冥力……魔力じゃないのか?」
「魔術師だったんですか!?」
「魔術師?俺は魔法使いだぞ?」
「え、えっと?」
「まぁ、異様な人と認識してくれ」
初対面の人にこういうのもなんだが(少年だし……)、異世界から来たと言っても信じてもらえないだろう。
それに、魔術師と言うのにも興味が出てきた。
「なぁなぁ、魔術師ってどんな魔法を使うんだ?」
「知らないんですか?あ、ちょうどいいです。皆を紹介するからついてきてください」
「え、あ、ちょっと」
いきなり、仲間のところへ連れて行かれる。
少し武装をした方がいいだろうか?
俺は鏡の中からアインの剣と杖を取り出す。
影流の国の騎士の証であるマントもつける。
「フル装備だ。こっちは手に持っておこう」
白の剣が入った鏡は左手に持っている。
ポケットに手を入れて龍牙と名乗った少年の後をついていく。
「ん?龍牙遅いぞ。こっちに休む場所は……誰だ?」
引き締まった体をしていて、龍牙と同じような感覚の雰囲気を出している男を見る。
「えっと、海弟って言います。えぇと、……魔法が見てみたいなって思って……」
危うく、この世界の魔法と言ってしまいそうになったが、何とか抑えることが出来た。
その代わり、変な合間ができてしまったが……。
「……俺は、鶯劍と言う。こいつの師匠だ」
へぇ~、俺の師匠とは全然違うな……。
変わって欲しい……。
「魔法が見たいなら、麗那に頼むといい」
「麗那?」
「龍く~ん、帰ってきてる~?」
「あ、麗那だ。丁度いいよ」
「………」
全身から和みという名のオーラを全快にした少女が歩いてくる。
ふぇーと二人なら、その場にいるだけで傷の治療ができそうだ。
ちなみに、さっきの沈黙は癒されていたからだ。
「えっと、この人は?」
「海弟って言うんだ。お前の魔法を見せてやってくれないか?」
「あ、いいよ」
「軽いな!!」
さっきから鶯劍という人は俺のことを疑っているのに、この二人は何だか良好なムード。
……これはもしや?
いや、俺は二人の関係に口出しはしないで置こう。
そして、安心してくれていい。俺の心の中にしまっておいてやるから。
「それじゃあいくよ」
木でできた杖を持って、何かを呟く。
俺は、ルーンを聞き取れなかったが、次の瞬間には理解ができた。
「氷か~」
「見てるだけで、寒くなってくるな」
「でも、いつ見てもすごいよね?」
レンスでも、こんな氷を出せないだろう。
その氷は、美術品としても美しくて、攻撃手段としても有効そうだ。
たぶん、俺にこれを見せたのは牽制かな……。
ちょっと悲しいが、お礼に俺しか使えない魔法。『鏡』を見せることにする。
「そういえば、魔法が使えるんだったよね?」
「え、そうなの!?見てみたいっ!!」
「お、おい」
鶯劍は止めているが、見たそうなので、俺は三人を視界の隅へ置き、魔力を練り始める。
次第に声が聞こえなくなり、一つのイメージが固まっていく。
戦闘中にはこんなに時間を掛けてしっかりと構成しないが、今回はしっかりした物を見せたいので時間を少し掛ける。
「特殊魔法『鏡』」
光でも闇でもなく、一瞬目を瞑った瞬間の次の瞬間には目の前に自分達の十倍はあろうかという鏡が現れていた。
そして、その向こう側から声が聞こえる。
声?誰だ?
「また、皆さん揃って面白いことをしていますね」
「ユウか」
「ユウ?」
集中していたので気づかなかったが、後ろに二人増えていた。
一方は男で、敬語を使っている。
もう一方は女で、なんと言うか……このメンバーの中では龍牙の次にまともそうとだけいえるような人だ。
まぁ、旅人にまともな人生を送っている人なんていないのだが……。
「紹介します。えっと、右側がユウさんです。そして左側がケイちゃんです」
「どうも、ユウ=アルガードと言います」
「私は、ケイミー・グラディウスだ」
「よろしく、ユウにケイミー」
とりあえず、挨拶は終わらせる。
今日は遅いからという理由で、龍牙達と一緒に野宿することになった。
鶯劍さんの何だかわからない力でできた土の家を俺が鏡の錬金術で、色々と調節して、休みやすくなったところで寝ることになった。
☆
「ん、んぅう~」
うまく寝付けない龍牙は、外に出る。
夜風に当たると、気分がよくなる。
スッキリとした気分の時に、ふと何かの気配を感じた。
「……燗耶!?」
振り向くと驚いて声をあげる。
だが、誰も気づいていない。あの土の家に防音効果もあるらしい。
『龍牙、ちょっと話を聞いてくれないか?』
「な、どうしたんだよ」
『えっと、ちょっと困ったことがね……』
「凛榎!!皆!!」
『冬の魔術師。気をつけて』
「え、ちょっと待ってよ!!」
『……じゃぁ………』
声は溶け込むように消えていった。
だが、今度は別のところから気配がする。
「誰だっ!!」
黒い影が、土の家から出てきたのが確認できた。
龍牙が気づかなかったのは燗耶達を見ていたからだろう。
だが、龍牙の目には黒い影以外にもう一つ確認できた。
「麗那!!」
追いかけるが、闇に紛れて目が利かない。
さすがに起きてきた鶯劍達が外に出てくる。
「どうした?」
「麗那が……麗那が……」
「麗那がどうしたんだ!!」
「麗那が連れ去られたんだ!!」
「なっ!!……海弟はいるか?」
「さすがに起きてるよ」
家の入り口で立っている海弟。
理解はしているようだ。
「やっぱり一番怪しいのは俺か……」
「すまんな」
縄で縛られる海弟。
だが、龍牙には確信があった。
海弟は、独特の気配を持っているのでわかるはずだ。
だが、あいつからは気配がしなかった。
だから、海弟は違うと言いう確信があった。
「……俺からも探してみます」
「縛られている状態でか?」
「ん、まぁ、可能ですから。第三『風星』」
何かキーワードのような物を口にして目を瞑る海弟。
周りの魔力が一気に濃くなる。
「……そうか」
「大丈夫ですか、皆さん?」
ようやくでてきたユウが言う。
装備を整えていたようだ。
「ダメだ。麗那がさらわれた」
「なっ!!」
ユウも海弟を見る。
だが、縄で縛られていて、尚且つ目を閉じている。
なので、すぐに目線を放し、捜索の準備に取り掛かる。
夜だと視界が悪いので、早朝すぐに二手に分かれて捜査することになった。
龍牙、鶯劍が一つ目。ユウ、ケイミーが二つ目だ。
海弟は龍牙達と一緒に移動することになる。
☆
俺は、夜中中張り巡らした魔力を馴染ませた空気に犯人が掛かるのを待っていた。
だが、わかるのは、ずっとこちらを見張っている者がいることと、この森には動物がたくさんいることだけだ。
見張っている方は鶯劍が気にしていないので、俺も無視する。
だが、苦労も虚しく、見つからなかった。
「はぁ~、眠い」
欠伸をしながらいう。
寝ていないので当たり前だ。
しかも、魔力が回復していないときたら、もう相当な疲れだ。
だが、魔法石を持参したので(一個あれば複製可能)魔力はすぐに回復することができた。
「すごい物だな」
「あげないぞ?」
「貰っても、使い捨てだろ?」
「だって、魔術師がいっぱいいるんだったら、魔力を回復できる石なんて喉から手が出るほどほしいだろ?」
「まぁ、そうだな。……話はそれぐらいにして行くか」
「見つけれるといいですね」
「不安になるようなこと言うなよ」
俺は、『風星』の範囲を狭めて(100m以内に)龍牙達に追いつけるだけのスピードを確保する。
「第二『風軽』『林我』」
これでやっと追いつけるスピードだ。
なんちゅう速さだろう。
ビュンビュン鳴っている中で、意思なんちゃらで会話する。
俺は、視界と気配と魔力レーダー(不意打ち可能)があるので、定期的に報告する。
お昼になると、二手にわかれたまま昼ごはんを取る。
「ん、何だその紙切れは?」
「……集中集中」
見られちゃイヤよ?
食べ終わったら、また捜査。
そして、少し進んだところに……。
「ちょ、あれ…」
「何だ?」
「ちょ、ストップ~~~!!」
車は急に、止まれない。
「いてて」
「いてて、じゃねぇだろ!!早く行くぞ」
「つー、ん?洋館?」
見ると、この薄暗い森にピッタリの洋館があった。
しかも、地下へと続いているらしく、俺のレーダーにも反応しないぐらいの深さがある。
「気をつけて行くぞ」
「別に閉じ込められても大丈夫ですよ?」
『鏡』は場所移動もできるのだ!!
「そうじゃない。仮にも敵の本拠地かも知れないんだぞ?」
「……死なないように気をつけます」
気づいたら、矢が刺さっていたなんてことないよね?
「ん?ちょっと待て、ユウ達を呼んでくる。海弟、場所わかるか?」
「ちょっと待ってください……」
目を閉じて、魔力を『風星』に全部注ぐ。
一気に、範囲が広くなり、場所がわかる。
残念ながら、麗那の気配は感じられない。
「えっと、ここから西南に一kmって所です」
「そうか。二人だけで突入するなよ?」
そういい残して、西南に走っていく。
「なんというか、緊張するな~」
「……俺は行く」
「ちょ、待てぇええええ~~~」
そのまま、視界が
グルグルと……グルグルと?
下を見てみる。
「ははは、まさかね……落ちてる?」
上を向くと、龍牙も落ちてきた。
「ちょ、死ぬ。下見えないから!!」
「行くぞ!!」
どうやったかは知らないが、龍牙は体を重くして落ちるスピードを上げた。
「ま、くそ!!第二『林脱』」
ビュウッ
そんな音がしてからドグオォオと言う、いかにも普通なら死んでますよ?っていう音が響く。
「ちょ、何でお前無事!?」
俺は、治癒魔法を自分にかけてから、龍牙にかけようとしたが、無傷だった。
と言うか、足が鱗になってませんか?
「……あっちだ」
「はぁ、どうしようかな」
走る。
何で、俺は……いや、俺のせい?
いや、違うよね?
誰か、断言してっ!!
「危ないぞっ!!」
「え?」
目の前にあるのは氷の塊。
まぁ、それはいい。
でも、迫ってきちゃダメだ。
間に合わないな……。
「第二『林脱』」
ズシャァア
「大丈夫か?」
「治癒パワー全開!!」
こんな掛け声してみたくない?
あ、敵の本拠地に限る。
「危なかったを超越して、一回死んだね」
「平気で逝ってるなよ……、いくぞ」
何か、字が違うような気がするのは気のせいだよね?
まぁ、急がないとな。
急に止まる龍牙。
行き止まりのようだ。
「どこかに隠し通路があるはずだ」
「それより、寒いからこの蝋燭に火を……」
ズシャシャシャーン
え?
風を切る音がまた聞こえる。
あれから、三十分も経ってないのにな~。
「……落ちてる?」
「そうみたいだなっ!!」
一緒に落ちてきた岩の上に乗る。
他のところも見ると、所々大きな岩がある。
「ここはあえて……感じたぞ」
「どうした、何を感じたんだ?」
「麗那の魔力……のようなものだ」
「いくぞ」
そのまま、いってしまう龍牙。
俺って、『林脱』使えなかったら、今日確実に死んでるよね?
「魔力を防御に専念と」
これにより、物理、魔法攻撃が聞かなくなる。
ただ、魔力を帯びているものと、実態があるものしか防げない。
スシャ
「何か、ドラ○ン○ールで無空術を使って降りてきた○空みたいだな」
「誰だそれ?」
俺を置いて進んでいく龍牙。
だけど、こっちのが早いんだよね~。
「ちょっと、見てなって。第二『重火』」
距離をとってから……爆破!!
「……恐ろしい技を使うんだな……」
「まぁ、聞くな。行くぞ~」
まぁ、緊張をほぐそうかと思ってやったってのもあるんだけどね。
☆
龍牙達が下に下りると、丁度通路のような場所に出た。
「この先だ。たぶん、この扉の向こう側」
「突撃するぞ」
そのまま突撃……いや、そのままではなく、冥力を纏ってからの突撃だ。
扉は破壊されて、視界がもやに包まれるが龍牙には関係ない。
麗那を見つけると、一目散に麗那のところへ行く。
だが、その時龍牙の頭の中には敵の存在を忘れていた。
「グッ」
体を反転させながら避ける。
ズザァーと地面と靴が擦れる。
「寒そうな敵だな」
「やっかいだな」
氷の鎧のような物を纏って、杖を持っている女性。
(こいつが、冬の魔術師か?)
外見からしたら、この女だ。
そう思ったら、龍牙の中から何かが膨れ上がってきた。
怒りだ。
「ガァアア……グゥウ」
「!!大丈夫か?」
海弟を振り払って、立ち上がる龍牙。
その姿は龍だ。
「……いつの間に着替えたんだ龍牙?」
わかっていながら海弟がいう。
「うるせぇぞ、お前が突っ込んで凍るか?」
「んじゃあ、ここで壁を張ってみているってのは?」
「……ふざけてんのか?」
「サポートぐらいにしかならないぞ?」
「それでいい」
海弟は、最初の方は口調の変化に驚いたが、今聞かなくてもいいと思い、サポートに専念する。
龍牙は、前に突っ込む。
魔術師は上へ飛ぶ。何が目的かはわからないが、話すことをしていない。
「りゃぁああ!!」
冥力を纏って右手を突き出す。
だが、魔術師は両手で龍牙の右手を包む。
そして、魔法が発動したと思うと、魔術師は吹っ飛ぶ。
そのまま、目の色を失った魔術師。
だが、魔法は何故か発動している。
「これが族に言う暴走って奴ですか?」
「抑えてるから、早く出て行け」
「いやいい、『鏡』」
鏡の中に魔術師を封印する。
魔力が抜けたら終わりだ。
あっさりしていたような気がするが、使っている魔法は強いものばかりだった。
そのまま、麗那を助けて、海弟の魔法で屋敷の前まで転移する。
「すごい技ですね」
「何回目だよそれ」
「いいからいいから」
外は、赤色に染まっていた。
この屋敷には太陽の光が当たるように造られているようだ。
「もう夕方か……俺は、もう帰るわ」
「帰るって……何処にですか?」
「これがあるだろ?」
そう言って、鏡を出す海弟。
「そうですか……少し寂しいですね……」
「麗那は……起きないな。……じゃあな」
「はい、また会えますかね?」
「たぶんな」
そのまま、海弟は鏡の中に入っていった。
話は変わるが、その後、龍牙は怒られて、鶯劍のせいでこの森に迷ったのであった……。
英雄の方は、第六章の一話目の前ぐらいで、白黒の方は、第3章の56話の辺ですね。
何で、後書きで書いたのかはわかりません。
出来れば、感想と評価をお願いします。
批評でもいいんで……。
読者様から見てどんな感じか気になるんです……。
どうなんでしょうか?