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2>> 大聖堂 

        

     

    

     

     

 聖女選定の儀。

 年に一度ということもあって、儀式を行う大聖堂の周りはお祭り騒ぎだった。

 屋台に大道芸、着飾った人々に酒を飲んで踊る人々。今年は聖女が見つかるかもしれないとみんなが期待した。

 馬車の中で下を向いているエーには外の騒ぎだけが聞こえてくる。騒がしいその音を、エーはただ不思議に思っていた。エーはまだ一度も『たくさんの人』を見たことがなかった。


 馬車が大聖堂に着き、エーも馬車を降りる。両脇を姉たちに囲まれて、エーは下を向いたままで建物の中に入った。エーには自分のドレスのスカート部分と足元の地面しか見えない。

 頭の上で姉たちの声がする。


「キャァ! シャル姉様、あそこを見て! 王太子様だわ! 素敵!!」


「はしゃがないでよ、恥ずかしい。王族の皆様も御出(おい)でなのだから失礼のないようにしなきゃ」


「そうね、ごめんなさいお姉様! ほらあんたも! 大人しくしときなさいよ!」


 そう言ってサマンサは誰にもバレないように、エーの腕の皮を(つね)った。


「はい。もうし」


「喋るんじゃないわよグズ! ここでは一言も喋っちゃ駄目よ! いいわね!」


 エーの足を踏んでエーが喋るのを止めさせたシャルルが、小声でエーを叱った。グリグリと足を踏むが、全員が長いドレスを身に着けているので周りにそれがバレる事はない。

 エーは首を振るだけで返事をして足の痛みに耐えた。


「ほら、みんな、席に付きなさい。

 エー。こちらに」


 カリーナが子供たちに指示をして、エーを自分の側に呼んだ。

 選定の儀を行う少女たちは大聖堂の奥、儀式の為に用意された演壇(えんだん)の前の席に集められる為に、カリーナたちはエーから離れなければならなかった。

 カリーナは事前に教会に連絡して、病弱で人見知りで臆病な娘が心配だから側にずっと居たいとお願いしたのだが、認められないと言われてしまったのだ。カリーナはエー(これ)を一人にしたくはなかったが、教会の指示には従うしかないので苛立ちを抑えてエーに命令するしかなかった。


「エー。絶対に喋っては駄目よ。何を聞かれても喋っては駄目。顔を上げては駄目。この手の爪がなくなったら嫌でしょう? だから絶対に喋らないで、顔を上げないで。

 名前を呼ばれたら椅子から立ち上がって前の人の後に続いて、台座にある物に触るの。そしたらすぐに席に戻って大人しくしていなさい。

 何を言われても無視しなさい。

 絶対に喋っては駄目よ。顔を上げては駄目よ。これは命令です。絶対に守りなさい。

 エー。分かったわね」


 静かに耳元で囁かれる声に、エーは首を動かして返事をした。

 そして前の席まで連れて行かれると、その席に座った。


 カリーナは儀式が始まる直前までエーの側を離れなかった。誰かに何かを言われても「この子が寂しがるので」と言って優しい母親の顔で対応していた。




   ◇




 儀式には国王の代理として王太子が参列しており、その横には王太子妃、更に第二王子と王女が、聖女候補となる14歳の少女たちを見ながら微笑んでいた。

 他国の来賓も来ており、長年続いているロウフォーデン王国の聖女選定の儀が始まるのを今か今かと楽しみにしている。

 そんな中で満14歳である少女たちがずらりと並んで座っていた。その少女が座る列の最後尾に座らされたエーは、ずっと母親に首の後ろを押さえつけられていた。押さえつけている手はエーの髪で隠れている為、周りからは緊張で下を向いて震えている娘に母親が優しく寄り添っている様に見えた。ビャクロー侯爵家を知る者たちは「あれは誰だ?」「あの家に14歳の娘がいたのか?」と小声で話していたが、カリーナは全てを無視して『娘を(いたわ)る母親』を演じた。

 そして係の者が着席を(うなが)しに来るまでカリーナは粘ったが、周りからの訝しげな視線を受けて渋々エーから離れて自分の席へと戻って行った。




   ◇




 聖堂内に荘厳な音楽が鳴り響き、人々は皆、口を閉じて儀式の開始を見守った。  

 当代の聖女たちが登場するとその美しい立ち姿に、会場内には人々の息が漏れる音が聞こえた。聖女は皆が皆美女という訳ではない。顔だけ見れば並の女性も当然居るが、外見ではなく中身から漏れ出る美しさが人々の詠嘆(えいたん)を誘った。

 聖女がそれぞれの席に着くと、ゆっくりと大司教が現れ、演壇(えんだん)の中程に置かれた台座の側に立つと(おごそ)かな動きで両手を広げ、口を開いた。


「女神が我らに血を与え、神はこの地を我らに託した。

 しかし、大地は無限の可能性を(たた)え、その一つが瘴気と()りて我らを(むしば)む。

 その試練も我らの為に。

 惰性での生を良しとせず、成長を(うなが)す神の御意思だ。その意思に寄り添い、女神は我らに慈悲を与えた。

 それが聖女だ。

 我らに与えられし素晴らしき華。

 手折(たお)ることを許されぬ華を今また一輪、この国に与えられん事を我らは望む。

 今年は良き華に巡り会えんことを!


 さぁ、蕾たちよ。

 名を呼ばれし者から順にこの華に触れ、(おの)が可能性を試しなさい……」


 大司教が台座の上にある『クリスタルでできた小さな花樹(かじゅ)』を(うやうや)しく手で示した。

 その花樹(かじゅ)には大きな花の蕾がいくつかついていた。少女がその蕾に触れ、花が開くことでその少女が聖女かどうかが分かるのだ。開いた花はとても美しく輝き、しかし少女が手を離すとすぐに閉じてしまう為、人々はその花が開くところを是非目に焼き付けようと、花が開く時を楽しみにしているのだ。

 まぁ、聖女が触れば開くので、この花樹(かじゅ)は時々資金集めのパフォーマンスに使われて聖女選定の儀以外の場所でも開いていたりはするのだが……、開く瞬間の美しさはやはり『初めての聖女』が触る時が一番美しく、そしてこの大聖堂の中で(おごそ)かな音楽と共に王侯貴族が見守る中、当代の聖女全員が揃っているというこの特別な時間を共有するという意味では、やはりこの聖女選定の儀という日は特別であった。





   ◇ ◇ ◇





 順々に少女たちが呼ばれる中、レムダ侯爵家のナルレニーニアの名前が呼ばれると、会場内のところどころから小さな歓喜の声が上がった。

 人目を惹く美しさを持つナルレニーニアは今年の少女の中では一番注目されていた。彼女を知っている者は皆、彼女は聖女になるだろうと確信していたのだ。彼女は見た目だけでなく心も美しかった。貴族の令嬢としても完璧で、他が見劣りする程だった。だから皆の期待も当然で、そして彼女自身も自分は聖女なのだと思っていた。

 ナルレニーニアは少しだけ嬉しそうに頬を上げると、14歳とは思えぬ立ち振舞で演壇(えんだん)へと上がり、王太子たちが居る方へ向けて(うやうや)しくカーテシーをした。その仕草にまた会場内からは詠嘆(えいたん)が漏れた。


 しかし、ナルレニーニアが満を持して触れたクリスタルの花樹(かじゅ)の蕾は開くことはなかった。

 皆が期待していただけに聖堂内の落胆の雰囲気は大きく、それを誰よりも一番に感じ取ってしまったナルレニーニアは泣き出してしまった。すぐに一番近くにいた聖女がナルレニーニアを抱きしめ、席へと誘導する。それを見ていた王太子は座っていた席を立って聖堂内を見渡し、人々を(たしな)めるように右手をスッと横に振った。静けさを取り戻した聖堂内には音楽隊が奏でる優しく美しい音楽がまた広がり、人々の気持ちを落ち着かせた。

 ナルレニーニアだけでなく、数人の少女たちは花が開かなかった事に涙を流していた。聖女になることはそれだけ名誉なことなのだ。花が咲かなければそこで終わり、次はない。責められることはまずないが、期待されていたことを叶えられなかった落胆は、14歳の少女には大きな悲しみとなった。


 儀式は淡々と進み、少女たちが次々にクリスタルの蕾に触れていく。しかし、一向に花は咲かなかった。

 今年も花は咲かないかもしれないな、という雰囲気が聖堂内に広まる中で、遂に最後の一人の番になった。


「エリス・ビャクロー」


 最後の一人の名前が呼ばれる。

 皆が見守る中で、しかし何故か最後の少女は席から立ち上がる事はなかった。


「エリス・ビャクロー?」


 もう一度名前を呼ばれる。

 しかし席に座っている少女は下を向いたままで立ち上がる気配はない。


「エリスさん?

 ビャクロー家のエリス侯爵令嬢?」


 困惑した声で少女は呼ばれるが、少女は反応すらしなかった。

 それにランドルとカリーナは苛立ち、顔を怒りで(ゆが)めた。


 だが仕方のないことだ。エーは『名前を呼ばれたら椅子から立ち上がって前の人の後に続いて』としか言われていない。エーは自分の名前が正式には『エリス』だとは知らないのだ。だからエーは何も出来ない。

 ランドルはその事にいち早く気付いて自分が座っていた席を立った。少女たちの名前を呼んでいた者の側へ行くとその者に小声で伝える。


「伝え忘れていた。うちではあの子をエーと呼んでいるのだ。あれはエーと呼んでくれ」


 そう言われて係の者は何となくその言い方に違和感を感じながらもランドルの言葉に従った。


「えっと……、エー。

 エー・ビャクロー侯爵令嬢?」


 聖堂内に響いたその名前にさざ波のような反応が人々に起こった。

 エリスではなくエー?

 ヒソヒソと囁かれる言葉に、一瞬カリーナは眉間にシワを寄せたが、すぐに淑女の笑みを浮かべて近くの人々に「うちでは愛称で呼んでおりますの」と囁やき伝えた。


 エーは聞こえた()に反応して立ち上がる。

 既にもう後に続く為の前の人はいなかったが、エーは器用に下を向いたまま演壇(えんだん)に上がると、台座の前に立ってクリスタルの花樹(かじゅ)に触れた。



 その瞬間、聖堂内は光に満ちた。

 クリスタルの花樹(かじゅ)は中から光が溢れんばかりに一瞬光ると、蕾はゆっくりとその花びら一枚一枚を動かしてゆったりと優雅に花開いて見せた。


 人々は唖然とし、そして一拍置(いっぱくお)いて大歓声が起こった。

 聖女が見つかったのだ。

 聖堂内は割れんばかりの歓声に包まれた。

 そんな中でランドルとカリーナはただただ唖然とし続けた。長女シャルルと次女サマンサは理解が追いつかずに喜んでいる周りを見渡して混乱していた。

 当代の聖女たちも立ち上がって新しい仲間の誕生に喜び、拍手していた。大司教たちも満面の笑みでエーを見ていた。 

 聖堂内の皆がエーに注目している中、

 エーは席へと戻った。




「…………は?」




 それは誰の声だったのか……

 皆が喜び、本来であれば聖女と判明した少女自身が飛び上がらんばかりに喜ぶはずの瞬間に、当の本人は顔を上げることもなく、何の反応もすることはなく、自分が座っていた席へと戻ってしまったのだ。

 聖堂内には静寂が訪れた。

 音楽隊ですら何が起こったのか分からずに手を止めてしまった。

 違和感にいち早く動いたのは何と王太子だった。

 自分の席のあった場所から移動すると足早にエーの側に行き、その肩に触れた。


 びくりとエーの体が揺れたが反応はそれだけだった。エーは下を向いたまま動かない。


「エリス嬢?

 ………エー嬢?」


 王太子は優しくエーを呼ぶがエーは動かない。『エリス嬢』も『エー“嬢”』も、エーからすれば自分を呼ぶ音ではないからだ。カリーナから『何を言われても無視しなさい。絶対に喋っては駄目よ。顔を上げては駄目よ。これは命令です。絶対に守りなさい』と言われているのでエーはただただ座っていた。

 王太子はそれが、少女が緊張から黙っていている訳でも怯えて縮こまっている訳でも混乱して体が動かない訳でもないのだと本能で感じ取った。そしてすぐに周りを見渡して親を探した。


「ビャクロー侯爵。ビャクロー夫人。

 彼女はどうしたのだ?」

 

 王太子に呼ばれては無視する訳にもいかないランドルとカリーナはすぐさま動いて王太子の前へと駆け寄った。





   ◇ ◇ ◇





「お待ち下さい、王太子殿下!

 これは何かの間違いでございます!」


 慌てた様子で王太子の前まで駆けつけたランドルが戸惑った表情でそんな事を言う。


「間違い?」


 言われた言葉に怪訝に眉を寄せた王太子に、ランドルより遅れて駆け寄ったカリーナも混乱と焦りを隠しもしない表情で王太子に意見した。


「殿下っ! こ、こんな筈はありませんわっ! ()()がっ、()()が聖女などと、あり得るはずがありませんものっ!!」


 その言葉だけで、周りの人々は何となく察して表情を(けわ)しくした。

 我が子を愛している者が自分の子供を『これ』とは言わない。そして、祝う以外の選択肢など存在しない筈の事に対して、それを認められないと否定する。それだけで周りの者たちにはビャクロー侯爵家がこのエーと呼ばれる少女をどんな風に扱っていたのか伝わるものがあった。

 王太子も当然この親の態度に不快感を感じて目を細める。

 カリーナはすぐさま王太子の側からエーを引き離したかったが、王太子がエーの肩に触れている手前、自分がそこに近付くのは無礼であると分かり、もどかしさに奥歯を噛んだ。

 そんなカリーナの後ろにまだ状況が掴めていないシャルルとサマンサが寄り添う。何故かは分からないが周りから不穏な視線を感じてシャルルとサマンサは二人で寄り添った。

 ランドルはオルドランを座っていた席に置いてきていた。オルドランは席に座ったままで不安げに父を見ることしか出来なかった。彼には何が起こっているのかさっぱり分からなかった。先程聞こえていた『エリス・ビャクロー』や『エー』という存在自体をオルドランは知らなかったからだ。彼は遠くから家族──エー以外の4人──を見守ることしかできなかった。


 エーに寄り添いながら、この国の王太子であるアシュフォード・ドト・フォーデンは少女の家族の顔を見渡した。

 全員が混乱した表情をしている。

 この()()()()()()で、だ。

 娘の反応がおかしくて心配する訳でもない。むしろ娘を見る目には怒りが混ざっている様にも見える。

 アシュフォードは不信感を感じながら口を開いた。


「ビャクロー侯爵。それに侯爵夫人。

 あなた方はこの儀式に不備があると言われるのか? 今まさにあなた方の御息女が聖女に選ばれたというのに」


 アシュフォード王太子殿下に厳しい目で見られて身を固くし、ランドルは生唾を飲み込んだ。口が渇くが気にしていられない。


「そ、そうです、殿下! この者が聖女などとありえないことです!」


 そのランドルの言葉に同意するようにカリーナは大きく頷く。そしてランドル

を後押しする様に口を開いた。


「殿下、ありえませんわ! こ、これが他の素晴らしい御令嬢を押しのけて聖女になるなどとっ!? 間違いでしかあり得ません!!」


「そうです!」「そうよ!!」


 シャルルとサマンサが母親に賛同するように声を出す。それを見て王家付きの使用人たちや他の貴族の使用人たちが、そのマナーのなってなさに険しい顔をした。


「あなた方はあそこにある花樹かじゅが偽物だと言うのか?」


 アシュフォードの言葉にランドルたちは焦る。


「そっ、そんな事は言っておりません。『間違い』が、あったのではないかとお伝えしております。

 こ、()()()()な訳が……ありえませんよ……っ!」


 焦りながらもランドルはただ否定する。この国の“娘を持つ親”としてはありえないことだった。

 この国で、“親”となった全ての者が、自分に娘が生まれた瞬間に『もしかしたらこの娘は聖女かもしれない!』と期待する。聖女となって困ることなどないどころか、その親となればどの立場の者であってもその後の生活に困ることがないからだ。聖女は幸せであればある程にその(ちから)は強くなる。なので最初に聖女が愛する者たちである『家族』は、聖女の為に幸せを保証されるのだ。……余談だが、聖女は『純潔でなければならない』と決められてはいるが、愛する者ができた聖女の(ちから)が一番輝きを増すという──性欲に負ける者はそもそも聖女には選ばれない。その恋人にもなれない──なので聖女には『人を愛する』ことが何よりも求められ、恋人を見つけた聖女はとても喜ばれるのだった。そんな聖女たちは、結婚したその時に聖女の役目を終えて一人の女性に戻るのだ。


「あり得ないなどと何故お前が分かる? 聖女を決めるのは神だ。

 お前は神なのか?」


 アシュフォードに厳しい目で見つめられてランドルは奥歯を噛み締めて顔を(ゆが)めた。


「め、滅相も御座いません……っ!

 そんなつもりでの言葉ではなく……っ、しかし……、これは……っ」


 モゴモゴと言葉を濁すランドルの代わりに焦ったカリーナがアシュフォードへと口を開いた。


「で、殿下っ! 本当に()()な筈がないのです!!

 ()()は罪の子!!

 ()()の所為でわたくしたちがどんな目に遭わされたか!! ()()が魔の使いであるならまだしも、聖女などという尊き存在である筈がありません!!」


 戸惑いと混乱と焦りの中で発せられたカリーナの言葉に、周りの人たちは驚き、一部の者は青くなる。

「何を言うのっ?」「魔の使いだなんてっ!?」「実の子になんてこと……」「何があったんだ?」

 それぞれに周りの者たちが騒ぎ出す。

 その声に後押しされるかのように、カリーナは両目にいっぱいの涙を浮かべてアシュフォードに訴えた。


「あぁ、殿下……っ! わたくしたちの言葉をお聞き下さいっ!

 この者はわたくしから子を産む(すべ)を奪って産まれて来たのです! 男児を産まなければいけないわたくしから、その機会を奪ったのですっ!

 そんな者が聖女である筈がありましょうか!! ()()が生まれてきたからわたくしたちが不幸になったのに……っ、不幸の元凶が、聖女な訳がないのです!!

 ()()の所為でっ!! わたくしがどんな目に遭ったか……っ!!!」


 ポロポロと涙を流して訴えるカリーナの姿()()()悲劇の女性そのものだった。

 だが、カリーナの言葉を聞いて同情する者はビャクロー侯爵家の人間しかいない。


 小さな子供がカリーナの言葉を聞いて横に居た母親に聞いた。

「あの子、生まれちゃいけなかったの?」

 それを言われた母親は悲痛に顔を歪めて我が子を抱きしめ、

「生まれてきちゃいけない子なんて居ませんっ!」

と言って泣いた。

    

    

   

      

         

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