実力行使で行こうぜ!
「ラル、あの塔に間違いないのか?」
「うん。間違いない。父上と城に上がる機会が何度かあったが、ゴデブリン大臣が住んでいる塔はあの、東の塔だ」
フォルがさらわれてから数時間後。
俺たちは装備を整え、アカラ王国の中心部、アカラ城の城門が望める大通りの大木の陰にいた。
俺は塔を見つめる、あそこにフォルが誘拐されているのか。
……ん?
「っていうか、あの塔……俺がこっちに来た初日に、ゴーレムが踏んづけた塔じゃないか?」
塔には見覚えがあった。とてつもなく頑丈な塔だったし、形もちょっと豪華だったからだ。
「あー、そうだな。確かに、あたいとジンゴロウが初めてであった日だな」
ラルも思い出したみたいだ。
城の改修工事ということだったが、ゴデブリンの住む塔だったのか。
「どうする、ジンゴロウ? 簡単には、中には入れそうにはないぜ?」
城の周りはぐるりと高い壁でおおわれており、城門以外に侵入できそうな場所はない。
「意外と、フォルのラッキーハッピーパワーを使って、自力で脱出してくるってことはないのかしら?」
ヒミさんがポツリとつぶやく。
「ヒミさん、それはたぶん、期待できない。契約者の俺と離れている時点で、フォルの幸運の女神としての力は大きく下がっているはずだ。俺が行かなきゃいけないんだ」
「だが、城門の守りは固いぞ、ジンゴロウ」
城門前には、屈強そうな兵士が十数名立って警備をしている。
城内に入るには、身分証や通行証などを提示しなければならないようだった。当然、俺たちは通行証など持っていない。
「ええい、面倒だ! 実力行使で行こうぜ!」
イライラしていたマッチョが鼻息荒く、息巻く。
「ですが、運よく城門を突破しても、城内にはやはり相当数の兵士がいるはずです。フォルのラッキーハッピ―パワーが期待できない今、力押しでは、こちらが不利でしょう」
「ぐむむ……」
ヒミさんの正論にマッチョは言い返せない。




