得られる幸福は減っていく
「ああ、そうだな。あの日の売り上げはたったの三千アカラだった。でも、すっごい楽しかったな」
「それよ! それ! そこが『お金が増えても、幸福度が増えないワケ』のカギなのよ」
「えーっと、どゆこと?」
「いい? 仮にジンゴロウ君が五百億アカラの資産を持っている、大金持ちになったとするでしょ。その時、一日の収入が三千アカラ増えたとする。その時、大金持ちのジンゴロウ君は、どう思う?」
「は? そんなはした金……、大金持ちになった俺には、意味ないね!」
「とゆーことは?」
「ん? ゆーことは?」
「それがつまり、お金が増えれば増えるほど、1アカラあたりから得られる幸福は減っていくってことなの!」
「んんん?」
「いい? お金が増えても、人の幸福はほとんど変わらない。だから、お金持ちになればなるほど、お金から得られる幸福度は減っていくの。だから、お金持ちになれば、幸せになれると考えている人は、じつは、いつまでたっても本当に幸せになれないの!」
「はあー?」
正直、フォルの話をにわかには信じられない。
「いますぐ分からなくってもいいから、覚えておいてね! これが分かれば、きっとジンゴロウ君はもっと幸せになれるよ!」
はーい、回想終わり。
あれから時々、フォルが言ったことを考えているけど、いま一つ分からない。
お金があれば幸せってワケじゃないのか?
じゃあ、幸せか、不幸かを分けるモノってなんなんだよ!
あー! なんか、答えがわかりそうなのに、わかんなくって、もやもやするー!
キィッ。 カランカラン。
カフェ・グッドラックの扉が開いた。
「おっ、フォル、お帰り!」
「ただいま、ラル!」




