ホントなの。
「私、思うんだ」
「何を?」
カフェの閉店後、テーブルに座って一休みしていた俺の前に、フォルが座る。
「人によるけど、不幸な人って、だいたい自分のせいなんだよね」
「はあ? その人が不幸なのは、周りのせいだろ?」
「それっ。その考え方が間違いなの」
「意味わからん」
俺はイスにのけぞる。
「あのねっ、出来事や、その人の環境が幸せか不幸かを決めるのは、自分自身の考え方なんだよ。それ以外に決めるものはないの。ホントに」
フォルはいつものように瞳をキラキラとさせながら前のめりでしゃべる。
「幸運の女神さまの言うことは、難しくってよくわからんなぁ。そもそもアレだろ? 幸福かどうかを決めるのは、やっぱり金だろ!」
「まだそう思ってるの?」
「おう!」
「ふうっ。じゃあ、聞くけど、いま大借金を抱えているジンゴロウ君は不幸なの?」
「えっ? それは、その、不幸じゃ、ない、な。いま、けっこう幸せだ、俺」
「でしょ、お金と幸福にはあんまり関係がないの」
「ウソだろ」
「ホントなの。女神養成学校で習ったもの!」
「ハハハ。なんだそりゃ、そんなのあんのかよ」
「聞いて、『お金が増えても、幸福度が増えないワケ』を」
フォルが真剣な顔つきになった。
「お、おおう、分かった。聞かせてくれ」
「いい? お金が増えれば増えるほど、1アカラあたりから得られる幸福は減っていくの」
「どゆこと?」
「あのね、例えば私たちがこのカフェ・グッドラックで初めて営業した日のこと、覚えてる?」
「ああ、お客さんは三人だったけど、すっげえ嬉しかったな」
「でしょ、売り上げも凄い少なかったけど、楽しかった。あの少ない売り上げで、何を買って食べようかって、すっごい盛り上がったよね。ホントに楽しかった」
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