・ちっともよかあない! バカ野郎!
と思いきや、またもやグルーガンは反転して、こっちへと突進してきた。
「ぎゃあああ! また来たー! ラル―!」
「だ、大丈夫だ! あたい達にはこのアンタッチャブルアーマーがある!」
ラルの言葉通り、俺たちは再び華麗なる動きでグルーガンの突進を回避できた。
そう、俺たちは。
勢い余ったグルーガンはそのままの速度で、高級召喚獣の小瓶を売っていた店「カトレア」へと突進してしまった。
ガシャーン! ガシャーン! パリーン! パリーン! パリーン!
カトレアのガラスが割れる音が響き渡った。
グルーガンは店を貫通し、衝撃で脳震盪でも起こしたのか、その場で倒れこんでしまった。カトレアの店員さんたちは外に出ていて、無事な様子だった。
「ああ、よかったある! これでひとまずは大丈夫ある!」
グルーガンの一行を管理していた男がそう叫んだ。
「ちっともよかあない! バカ野郎!」
そう叫んだのは、高級召喚獣の小瓶を売っていた店「カトレア」の用心棒、マッチョだった。マッチョはスキンヘッドの頭を抱えて地面に突っ伏し、大声を上げた。
「みんな! 伏せろぉ!」
次の瞬間、カトレアから凄まじい爆風が生じた!
ボーン!
突風とともに、カトレアは吹き飛んだ。
そして砂塵か煙か分からない謎の煙幕が辺り一面を包み込んだ。
シュオオオォォォ……
ゴオオオオォォォォ……
ボボボボッボォウッ
「な、なんだこの音は?」
俺は爆風に吹き飛ばされながら、周囲を見渡した。
天空には巨大なドラゴン、台地には天を突く山のような巨人、そしてカトレアのあった場所には、真っ赤に燃え盛る大男が立っていた。
グルーガン使いがよろよろと立ち上がる。
「な、なにごとあるか?」
マッチョが叫ぶ。
「みんな逃げろぉ! 伝説級の召喚獣だ! 天空の覇者バハムート! 大地の巨人ゴーレム! 炎の魔人イフリート! 狙われたが最後、必ず死ぬぞ! いや、最悪、町ごと消し飛ぶぞ!」
「な、なんで? 召喚獣だから、言うことを聞くんじゃあないのか?」
俺は思わずマッチョに質問していた。
「それは手順を踏んで召喚獣の小瓶を開封した場合だ! さっきみたいに小瓶の魔法障壁を突き破るほどの外からの強い衝撃で破壊された場合は、暴走するんだ! みんな、逃げてくれぇ!」
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