ん? あはは、それはナイショだ。そんなことを気にするな、ジンゴロウ!
あの酒場でのヒミさんとのダーツ勝負で俺たちは勝った。
それは幸運としか呼べない勝ち方だった。
だってそうだろ? まさか放り出したダーツが、的のど真ん中に当たるなんてな。
それからヒミさんの行動は早かった。
酒場を出て、その日のうちに、ヒミさんの祖母に俺たちを紹介してくれた。
驚いたことがもう一つ。
ヒミのおばあさんというのが、この前、フォルとラルが荷物を運んで、お礼にブリキの人形をくれた、あのおばあさんだったということだ。
ヒミさんが事情を話すと、おばあさんは「はい、はい、どうぞどうぞ」と二つ返事で閉店した喫茶店を、俺たちが使用することを承諾してくれた。
人の縁とは、不思議なものだ、と思った。
お店の利用許可を得てから、俺たち三人は、傷んでいた店のあちこちを修理した。
ヒミさんの祖母が店を閉めたのが、十年ほど前ということだったが、店は基本的にしっかりしていたので、修理は最低限ですんだのも幸運だった。
店舗の二階は住居スペースになっており、俺たちはついに高級ホテル・メタースを引き払い、こっちに引っ越すことになった。
その時に知ったのだが、メタースでの宿泊費、最初の三日間は町長たちのおかげで無料だった。で、その後、引越しまでの高額な宿泊料金は(もちろん俺は相変わらず、地下の物置だったけどね!)、ラルが週に一度、こっそり払っていたらしい。
「なあ、金額は全部でいくらだったんだ?」
「ん? あはは、それはナイショだ。そんなことを気にするな、ジンゴロウ!」
と一笑に付されてしまった。
よくわからんが、王侯貴族も泊まる高級ホテルなのだから、もしかすると日本円にすると総額で数百万円くらいだったのかもしれない。
ラルはメルクリン家とかいうところの令嬢らしい。
けど、いままでの生活でそれをひけらかすことはなかった。俺たちが生活に困らないように、時々こっそりお金を出してくれることもあった。
じつに、いいやつだ。
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