おっさんか!
ぽたりと俺の顔に水滴が落ちてきた。
フォルの顔を見ると、涙をぽろぽろと流している。
「わっ、私っ、カフェなんて、やっぱりどうでもいい! ラルとジンゴロウ君と、三人一緒にこの世界で、過ごせるなら、いまのままでいい! 借金なんて、きっと何とかなる! だから、だから……。わーん」
フォルは俺の旨に突っ伏して、わんわん泣き始めた。
「えーっと? 一体、何がどうなってんの?」
俺はフォルを抱きかかえながら、むくりと起き上がった。そしてみんなの顔を見た。
「ジンゴロウ、お前は罪な男だな」
「ラル、何言ってんの?」
「がっはっは! 若いってのはいーねー!」
「おっさんか!」
実際、マッチョの年齢はよくわからない。スキンヘッドだし。
「ふう、どうやらいろんな意味で、私の負けですね」
「は? 負け? いろんな意味で? ヒミさんも何を言ってんの?」
ヒミさんは無言で指をスッと差した。
指の先にはダーツの的。
「「「あっ!」」」
俺が先ほど倒れこむと同時に放り投げたダーツは、さきほど的のほぼ中心にあったヒミさんのダーツのわずか上に、刺さっていた。
それは、的のまさにど真ん中だった。
◇
「いらっしゃいませー!」
看板娘のフォルの愛嬌たっぷりのかわいらしい声と笑顔がはじける。
「お、お待たせしました! えーっと、そうそう、サンドイッチとコーヒーのセットです!」
ちょっとぎこちないが、ちゃきちゃきと快活な接客をするラルの笑顔も爽やかだ。
「ジンゴロウくーん、ランチセット3つ、お願いしまーす」
「はいよー」
俺は厨房のカウンター越しに返事をする。
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