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・やはり、ジンゴロウはあたいの見込んだ通り、凄い男なのか?


「くらえ変態野郎! マッチョ流体術奥義 鉛玉!」


 マッチョによるマッチョのための体術なのだろうか。

 

 駆け寄ってきたマッチョと呼ばれるその丸坊主のガードマン兼用心棒みたいな大男に、俺は激しいショルダーアタックを繰り出された。


「いってえええええーーーーー!」


俺は水平方向に吹き飛びながら絶叫する。


ドッスン!


 どのくらい吹き飛んだのだろうか、急に俺の視界が真っ暗になった。生暖かい感覚に首から上が包まれる。どこかの穴に頭だけが突き刺さったようだった。


「ぎゃああああ! くっさああああああい!」


 なんだこの異臭は! まるで肥溜めに頭を突っ込んだようだ! 俺はあまりの臭さに、じたばたと手足を動かした。


 すっぽん。ドスン!


 俺は尻から地面へと落っこちた。


「イテテ、な、なんだ? どうなったんだ?」


 俺が顔を上げると、そこには塔を引っ張っていた巨獣グルーガンのお尻があった。よりによって、一番でっかいグルーガンだった。


 ドッ!


 一斉に町の人々から笑い声が上がった。


 どうやら、俺は巨獣グルーガンの肛門に頭が突き刺さったらしい。顔はうんこまみれだ。まだ頭が臭い!


 うわっ、恥ずかしい! 


 と思った次の瞬間、聞いたこともない奇声が響いた。

「キャヒヒヒヒヒイィィィ!」


 それはグルーガンの声だった。どうやら俺が肛門に突き刺さった痛みが、今頃になって脳に届いたようだった。


「マズイある! グルーガンが興奮したある! みんな逃げるある!」


 巨獣グルーガン一行を誘導していた男が大声で叫んだ。


「巨獣グルーガンの最大の弱点は肛門ある! マズイある! 暴走するある!」


「うっそだろ!」


 次の瞬間、最も大きな巨獣グルーガンはけたたましいうなり声を上げながら、前方へと突っ走っていった。


 大通りにいた人々は必死の形相で逃げ出す。


 突然、グルーガンの動きが止まった。そして頭にグルーガンの汚物がついたままの俺の方を振り返った。


「あらー、目があっちゃいましたね。こんにちは」


 俺は薄ら笑いを浮かべながら、ぺこりとグルーガンにおじぎをした。


 その瞬間、グルーガンは察したようだった。「これが肛門にささったヤツ」だと。


 グルーガンは砂埃を巻き上げながら、俺へと突進してきた。


「いやだああああ、うんこまみれのまま、死にたくない―!」


 俺は回れ右をして、走り出した。


 目の前には、よろよろと立ち上がったラルがいた。顔がまだ赤い。ちょっと目が涙目だ。


「なんかかわいいな、って言ってる場合か! ラル―! 助けてくれ!」


「あたいの知り合いにうんこ顔の男はいないよ!」


「俺だよー! ジンゴロウだよー!」


「ギャー! こっちに来るな、ジンゴロー!」


「助けてくれー!」


 俺はラルに飛びついた。


「離れろー! あたいを巻き添えにするんじゃない!」


「いやだー! 絶対に離さんぞー! 元はと言えば、ラルのせいだー!」


「あたいのせいにするなんて、サイテーだよ!」


 サイテーで結構だ! 俺は必死にラルにしがみつき続ける。


 そして巨獣グルーガンが今にも俺たちを吹き飛ばす!

 

 と、その時、ラルのアンタッチャブルアーマーが煌めいた。


 そしてラルにしがみついた俺ごと、素早く回避運動を始める。


 アンタッチャブルアーマーは、俺がしがみついているにも関わらず、ラルの身体を歴戦の戦士を思わせる体さばきで、巨獣グルーガンの迫り来る、牙、前足、後ろ足を、ヒラリヒラリと回避していった。


 そしてアンタッチャブルアーマーは、安全な場所で動きを止めた。


 そこは高級召喚獣の小瓶を売っていた店の前だった。


「まさか、あたいを利用する作戦だったのか? あの短時間で、そこまで読んでいたのか? やはり、ジンゴロウはあたいの見込んだ通り、凄い男なのか?」


「え? あ? ああー、うん。そう。そう。作戦通りさ!」


 勘違いも甚だしいが、まあ、そういうことにしておこう。


 ふう、助かった!


お読みいただき、ありがとうございます。

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面白くなければ星1つ【★☆☆☆☆】にてお願いいたします。

皆様の率直な評価を参考に、次回のお話に生かしていきたいと思います。


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