ぐふふっ、大人の女性とお付き合いするってことは……。イヒッ、イヒヒッ。
コンッ。カンッ。カンッ。ペチッ。コンッ。
「おい、ジンゴロウ、まじめにやれ!」
ラルのお怒りの声だ。俺の投げた五本のダーツは、一本も的に刺さらず、床に落ちた。ひどいものだと的にすら当たらず、壁に当たって、落ちた。
「俺は真面目だっての、ラル! なんだよこれ、めっちゃ難しいじゃん!」
「じゃあ、練習は終わりですね。さあ、本番は1本ずつの勝負です。どちらかのダーツが、的の中心に近い方が勝ちですよ。うふふ」
そういうと、ヒミさんは的の前に立ち、こなれた動作でダーツを投げた。
トスッ。
「うふっ、うまくいきました」
「ほぼ真ん中じゃないか! ジンゴロウ、これに勝つにはど真ん中しかない、頼むぞ」
「ムチャ言うな、ラル」
「ジンゴロウくーん、お願い~勝って~。私の夢のカフェがかかってるの~。ふぇ~ん」
フォルはいまにも泣きそうな顔をしている。そんなにカフェが開きたいんだな。
「よし、わかった。泣くなフォル」
「ふぇ?」
「俺がこのダーツ勝負、必ず勝つ」
「だって、さっき一回も当たらなかったじゃない。それに負けたらどうするの。私たち離れ離れになっちゃうかもしれないんだよ」
「大丈夫だ! 心配するな!」
俺は力強くフォルに答えた。
なにしろ、このダーツ勝負で勝っても負けても、俺に悪いことはない。
勝ったら、喫茶店が手に入って、フォルとラルと働いて、借金返済生活の目途がつく。
負けても、美人のヒミさんと俺がお付き合いするだけだ。ぐふふっ、大人の女性とお付き合いするってことは……。イヒッ、イヒヒッ。
「どした? ジンゴロウ」
「いひっ? いや、ゴホン。それに、俺はずっと……、フォル、お前と一緒だ」
「えっ」
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