でも、回数を繰り返すほどに、確率が姿を現してくるの。この場合、回数を繰り返すほど、カジノが勝つ、ってワケなの。で、減った残りを勝った人たちが分け合うってわけ
「だから、なんで?」
「例えば、ジンゴロウ君がヒミさんとやったレッド・ブラック。あれって、赤か黒かを当てるゲームでしょ?」
「ああ。だから俺とカジノ側の勝ち負けの比率は五分五分だろ? 別に客だけがいつも負けるわけじゃないだろ?」
「違うの。ヒミさん、ルーレットのマス目は全部で何マス?」
「うふふ、全部で38マスよ」
ヒミさんはなんだか楽しそうだ。
「でも、緑があるよね?」
「そうよ。2マスが緑ね」
「で、緑に玉が落ちたら、カジノ側の勝ち、ね?」
「うふっ、そう」
「あっ、そうか、そういうことか!」
俺にもようやくフォルの言いたいことが分かってきた。
「そうよ! 勝率は五分五分じゃないの! 緑のマスの分だけ、わずかに、カジノ側が有利なの!」
「でも、そんなの大したことじゃないだろ? 勝ち負けなんて、時の運だし」
「違うの! 統計的に考えるの!」
「俺の頭がパンクしそうなんだが」
「いい? 一回や二回、一人や二人では、勝ったり負けたりするわ」
「そうだな、確かに俺もすっげー連続で途中まで勝てた」
「でも、回数を繰り返すほどに、確率が姿を現してくるの。この場合、回数を繰り返すほど、カジノが勝つ、ってワケなの。で、減った残りを勝った人たちが分け合うってわけ」
「あー、なんとなく分かった。それが全体の総和が減る、ゼロサムゲームってことか」
「うふふっ、正解よ、フォル! 一人二人なら、大勝ちするニンゲンはいる。でも、やればやるほど全体では負ける、それがカジノよ!」
ヒミさんはにこやかに笑っている。
「なんてこった。やればやるほど負ける仕組みだったなんて」
「でも、それならどうしてたくさんの人が毎日カジノに行くんだ?」
おとなしく聞いていたラルが、口をはさんで来た。確かにそうだ。俺の元居た世界でも、パチンコ屋には毎日たくさんの人が入っていっていた。
「バカだからよ!」
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割とリアルに作者が泣いて喜びます。




