ところで、ジンゴロウさんは、私のことを忘れてしまったのですか?
フォルより背が高く、ラルより低い。フォルよりはふくよかで、ラルのダイナマイトボディよりはスレンダーだ。
口には出せないが、この体、どこかで見た気がする……。
「こんにちは。ジンゴロウさん……って言ったかしら?」
美女が俺の名を?
「あ、こ、こんにちは」
まずい。思い出せない。こんな美女なのに。相手が俺の名前を知っているのに、俺が思い出せないパターンが一番気まずい。
「ふーん、ジンゴロウ君の知り合いなの?」
急にフォルの声がワントーン低くなった。なんか、ますます気まずい。
美女はうやうやしくおじぎをする。
「こんにちは。噂はかねがねお聞きしていますわ。幸運の女神フォル様と、メルクリン家のラル様ですね」
「あたいのことはラルでいいよ。フォルもフォルがいいよな?」
「あっ、はいっ、フォルって呼んでください」
ラルの言葉に、フォルは大きくうなずいた。フォルは俺に対しては冷たくなったが、この異世
界での新しい出会いとなるこの女性には好意的な様子だった。
「ところで、ジンゴロウさんは、私のことを忘れてしまったのですか?」
「え、えっと、その……」
俺はしどろもどろになってしまう。
思い出せない俺に対して、美女はいたずらっぽく笑みを浮かべる。
「もう、ヒミですよ!」
ヒミ?
「あー! 思い出した! そうだ! ヒミさんだ!」
カジノのディーラーの人だ! 仕事中と雰囲気が違うから分からなかった。
「もー、あんなに、私と(ルーレットで客とディーラーとして)遊んだ仲なのに、忘れちゃうなんて、悲しいです」
「す、すみません」
いやあ、参った。でも思い出したぞ。これでもう大丈夫だ。
「いやあ、あの時はドッキドキしたよ!」
「ふふっ、私もです」
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作者が喜びの舞を踊ります。




