ねっ、そろそろ本気で働く場所を探さないといけないね
ラルは詳しく話さないが、ラルはメルクリン家という財閥みたいなところの娘らしい。つまり、令嬢だ。で、その家での生活がどうやら「ひどくつまらない、自由がない」らしく、家を飛び出した。
そして俺たちに出会った。それ以来、行動を共にしている。
ラルは今のところ、実家に戻るつもりはないらしい。
「あっはっはっは! こんな酒場も、来てみると案外楽しいものだな!」
こんな感じで、この3週間、庶民的な生活を満喫している様子だ。
異世界に転移してしまって、見るモノ聞くモノが新鮮な俺と、同じくらいの感動を得ている気もする。
「ねっ、そろそろ本気で働く場所を探さないといけないね」
フォルがテーブル越しに身を乗り出して、話しかけてきた。
「そうだなあ……」
俺は気乗りしない返事を返す。
俺がカフェの開業資金をカジノで散財してしまって以降も、俺たち三人はあの高級ホテル・メタースに滞在していた。
ホテル・メタースには、ダバラの町とこどもたちを救ったフォルとラル目当てに、連日、いろいろな人が相談にやってきていた。
相談に乗ったり解決したりすると、少額ではあるが、お礼のお金がもらえることもあった。
だが、3週間も経つと、その人足もまばらになってきた。
こうなると、高級ホテルに滞在するのもなんだか「居づらい」感じになってくる。
もちろんホテルのメイドさんたちはフォルとラルのことが大好きなので、好意的だ。だが、フォルとラルは、『特に人々の役に立っていないのに、良い生活を送る』という状態が嫌いなようだった。
もちろん俺はホテルのメイドさんたちに好かれていないし、部屋は相変わらず高級ホテルの地下の物置だし、大借金もあるし、不幸という以外に何か特別な能力があるわけでもないし……。
あれ? なんか悲しくなってきた。
深く考えるのはやめよう。うん。
そうだ。働こう。
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