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薄れゆく意識の中で、マッチョとラルと、メイドさんたちまでもが、柱の陰で合掌をしているのが見えた。

 脳がそう指令を告げていた。だが、脳の反射速度が追い付かない速度で、フォルのパンチが俺の腹部を襲ってくる。 


 ―ぐへっ、ごめ、ごめんなさい! もう、カジノ行きません! 美人のお姉さんの裸も見ません! ―

 

と、言いたかったのだが、声を出す暇もないほどのパンチの猛ラッシュが俺を襲う。


 ―フォッルノウチ! フォッルノウチ! フォッルノウチ!―

 

 いつの間にか、俺の頭の中には、某ボクシング漫画の必殺コールが鳴り響いていた。


 薄れゆく意識の中で、マッチョとラルと、メイドさんたちまでもが、柱の陰で合掌をしているのが見えた。


 幸運の女神からデンプシーロールを受けるなんて、ついてない!







「ぷっはー! ねえ、ジンゴロウ君、このエール美味しいね!」


 俺の目の前の幸運の女神は、すさまじい勢いでビールのような飲み物をジョッキで飲んでいた。

 

 あの「カジノで大切なカフェの開業資金をすっからかんにして、美人のディーラーやバニーガールの裸を見た事件(フォルが名付けた)」で俺に怒ったフォルが必殺の「女神ロール」で俺をボコボコにして以来、少しフォルは明るくなった気がする。


 それはまるで、女神というレッテルで縛られていたフォルが、少しだけ自分らしさを取り戻せたから……のようにも、見えなくもない。



 あの事件、というか、俺が異世界に来てから、いつの間にか3週間近くが経っていた。


 アンタッチャブルナイトの異名を持つかどうかが定かではない、自称女戦の士ラルはどうしているかというと、目の前で焼き魚をほおばっている。


「ジンゴロウ! こっちの魚の丸焼きも、おいしいぞ! 食べてみろ!」


 向かいに座っていたラルが、おいしそうな焼き色のついた大きな魚の載った大皿をすすめてくる。


 あれからラルはやっぱり俺たちと一緒に行動をしている。 


 今日は三人で近所の酒場へと遊びに来たのだ。酒場と言っても、食事も充実している。


お読みいただき、誠にありがとうございます!

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