心の底から心配そうな顔をしていたフォルの顔が、途端に「無」になった。
「フォル様! 救急箱をお持ちいたしました!」
「フォル様! 冷たいお水です!」
「フォル様! すぐにベッドをご用意いたします!」
メイドさんたちはみんな、不安そうなフォルを気遣い、すばやく動き続ける。
「ジンゴロウ君! お水だよ! 飲める?」
俺はフォルに差し出された冷たい水を口にする。
ごくごく……。いてっ、口の中があちこち切れていて、しみる。
「ジンゴロウ、フォル! 大丈夫かー?」
ラルもホテルの上階から駆け下りてきた。
「いったい、何があったの? カジノへ行ったんじゃなかったの? みんなで心配していたんだよ?」
「ひょ、ひょれが……イテテ」
説明をしようとするが、口が痛くて、うまく動かない。
「ジンゴロウ君、無理しないで。ゆっくり横になっていて。マッチョさんは事情を知っているんですか?」
「そうだ、マッチョさん、どうしてここに? どうやってジンゴロウと?」
「マッチョでいいですよフォル様、ラル様」
「分かりました。私もフォルって呼んでくださいね」
「あたいもラルでいいよ、マッチョ」
「そうか、分かった。じゃあ、解説するぜ。えぇっと、確か……」
マッチョは腕組みをし、思い出しながら話し始めた。
「ええっと、俺は召喚獣の店『カトレア』がつぶれたもんで、今度はカジノで用心棒を始めたんだ」
「そこでジンゴロウ君と?」
「そうさ。ジンゴロウは何でカジノへ来たって言ってたっけ……。あっ、そうだ、思い出した。なんでも『カジノで一発当てて、美女ばかりのハーレムでも作って、毎日ウハウハ生活だぜ! うははは!』って言ってたな」
心の底から心配そうな顔をしていたフォルの顔が、途端に「無」になった。
「ひょ、ひょれは! いてて」
そ、それは冗談で言ったんだって! カジノに行ったのは、一発大当たりを当てて、借金を返すためだって! と言いたいのだが、口が痛くてとてもしゃべれない。
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