勝てば二億五千六百万だ。もちろん借金の返済には届かないが、のらりくらりと借金返済を先延ばしにしていれば、一生遊んで暮らせる! ……かもしれない。
ヒミと名乗るセクシーなディーラーが落ち着いた物腰で語り掛けてきた。
「やる!」
「おいおい、ジンゴロウ。ちょっと冷静になった方がいいんじゃないか?」
後ろで見ていたマッチョが心配そうな声を俺にかけてきた。
「いやいや、何を言ってんの? 流れは今、俺に来てるんだっての! このまま勝ち続けて、一気に大金持ちだぜ!」
「レッドorブラック?」
ヒミのセクシーで落ち着いた声が発せられる。
俺の興奮は一瞬だけ鎮まる。
「黒だ! 一億二千八百万全部賭ける!」
周囲は再びどよめいた。中には拍手をする者、口笛を吹く者、心配する者、大笑いする者など様々だ。
でも大丈夫。だって俺には幸運の女神さまがついているのだから!
ルーレットがゆっくりと回り始める。美人ディーラーのヒミは、静かに、しかし力強く玉を打ち出した。
高速でルーレット台の円周を走っていた白い玉は、次第にゆっくりと速度を落としていく。
「黒! 黒! 来い!」
俺は必死の形相で大声を上げる。勝てば二億五千六百万だ。もちろん借金の返済には届かないが、のらりくらりと借金返済を先延ばしにしていれば、一生遊んで暮らせる! ……かもしれない。
それに俺には幸運の女神さまがついているのだ! 絶対に負けない!
そして玉はついにゆっくりと、黒のマスに止まりそうになる。
「来た! 黒だ!」
俺は飛び上がりガッツポーズをした。だがその瞬間、猛烈に俺の鼻がむずがゆくなってきた。
「は、は、はっくしょん!」
次の瞬間、玉は無情にも隣の緑のマスへと落ちた。俺のくしゃみの風圧が原因なのだろうか。
「オーマイゴッド!」
「はい。緑のマスですので、私の勝ちです。お客様のコインを頂戴させていただきます」
ヒミのセクシーな声が響く。ヒミは眉一つ動かさず、冷静にコインを回収した。
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