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・異世界に転移するなんて、ついてない!


 薄暗い森をとぼとぼと歩いていると、突然、目の前が開けた。森を抜けたのだ。


「あれ? 町だ! 町が見えるぞ! た、助かったんだ! ラッキー! こんな俺でもついているもんだ!」


 俺は駆け足で森を飛びだし、目の前の町へと走って行った。


「あれ? あの町、なんだかおかしいぞ。まるで中世ヨーロッパの町並みみたいだ」


 ふと後ろを振り返ると、さっきまであったはずの富士の樹海は消えており、のどかな平原が広がっていた。


「あれ? どうなってんだ?」


 まさか、異世界に転移したとか? ははっ、そんなわけないか! そんなについてないこと、俺に起こるわけ……ありえる……。


 町はぐるりと城壁のような壁でおおわれているようだった。


「けっこうでっかい町……だな」


 門番もおらず、開きっぱなしの門を通り抜けると、眼前の光景に思わず目を疑った。


 道路は石で敷き詰められており、すでに数百年は経過しているようだ。


 建物もレンガや石でできている。新しい建物もあれば、築百年は経っているようなものまで見える。


「やっぱりおかしい。こんな中世ヨーロッパをモチーフにしているテーマパークみたいな場所が富士山の周りにあるなんて、聞いたことがない。それにどうみても最近できたものじゃない」


 俺はそのまま石畳の道を進んでいった。すると町の広場らしき場所へと出た。


「なん…うそだろ」


 広場はたくさんの人でごった返していた。


 そしてジャージ姿、というか、俺のような服を着ている人間は一人もいない。


 みんなやはり中世ヨーロッパのようなコスプレをしている。いや、どちらかというと、剣と魔法のゲームの世界のようだ。


「ホントに異世界に転移しちまったのか? いやいや、待て待て、そんなことが……」

 

ドンッ!


 急に何かにぶつかった。衝撃で倒れこんでしまった。


「いてて、いったいなんだ?」


 振り返ると、像のように巨大な動物がそこにはいた。


「な、なんだこりゃ?」


 まるで牛、というか、バッファローのような角と長い毛をもった像のような巨大な動物だ。俺は尻もちをついたまま、しばらく呆然とその動物を見上げていた。


 間違いない、ここは、異世界だ。


「ちょっとあんた! 危ないよ! ほら、手をかしな! あらよっと」

 突然、背の高い女性が声をかけてきたかと思うと、俺の手を引っ張った。俺は人形のように、ひょいと起こされた。凄い力の女性だ。


「そこはグルーガンの通り道だ。こっちの端っこにいなよ」


 この巨大な動物はグルーガンというのか。よく見ると、他にも数頭いる。体にはロープがまきつけてあり、何か巨大な荷台にのった荷物を引っ張っているようだった。


「あ、ありがとうございます」


 俺は背の高い女性をまじまじと見上げた。スッとした美人系の顔立ち。メタリックカラーのピンクの鎧を着ている。だが鎧と言っても俺の元いた地球の中世の鎧とは若干ことなる。


 なんというか、ビキニと鎧が合体したような、ちょっとセクシーなデザインだ。特におへそより下は、まるで水着じゃないか、と思うほどに露出部分が多い。これは動きやすそうだ。この世界では、機動性を重視したこういった鎧が女性の定番なのだろうか。


 そして背中には大きな剣。どこからどう見ても、戦士、といういで立ちだ。


「さあさあ、どいておくれよ! 世界一大きいグルーガンのお通りだ! 今日はこの町のお城の塔を運んでいるよ! さあさあ、どいとくれ!」


 巨獣グルーガンの背中には、小さなひげもじゃの魔獣使いっぽい男性が乗っていた。


 どうやら建築中の塔の一部を運んでいるらしい。俺のいた世界の土管をさらに巨大にしたような円形の筒状のモノを運んでいた。


 俺はしばらくそのグルーガン一行の行列をポカンとして見つめていた。


 まったく、異世界に転移するなんて、ついてない!


お読みいただき、ありがとうございます。

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皆様の率直な評価を参考に、次回のお話に生かしていきたいと思います。


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