たいてい、みんなは困った人を見過ごして生きていくんだ。で、たまたま居合わせた「お人よし」がご苦労なことに、助けるんだ。それで世界は回っていくんだ。
え? 俺がひどいって?
じゃあ、俺とこの老婆の周りをスタスタと歩いて通り過ぎている奴らはひどくないってのか?
こんなの俺が元いた世界じゃ、日常的な風景だ。そうだろ?
たいてい、みんなは困った人を見過ごして生きていくんだ。で、たまたま居合わせた「お人よし」がご苦労なことに、助けるんだ。それで世界は回っていくんだ。
他の大多数のやつと俺は、同じなんだ。見過ごす側なんだ。
そうだ。俺は悪くないし、ひどくない。
誰だってそうだろう?
「あっ、いたー。ジンゴロウくーん」
「おーい、ジンゴロウ! 探したぞ! 朝食を一緒に取ろう!」
ホテルの方角からフォルとラルが走ってきた。
朝食を一緒にだって? やったぜ! さあ、さっさとホテルに戻ろう!
「あれっ? おばあちゃん、どうしたんですか? あっ、お荷物、重そうですね」
「あたいにまかせときな! どこまで運ぶんだい?」
「あっ、私も持ちますよ! よっこいしょっと」
「あれあれ、まあまあ、すみませんねぇ、こんな若い娘さんたちに手伝ってもらって」
なんか、俺の立つ瀬がないんですけど。
どうやらこの老婆はフォルが幸運の女神で、ラルがメルクリン家の令嬢だということは知らないらしい。
「はいっ、着いたよ、おばあちゃん。ふー」
フォルとラルは重そうな荷物を「よいしょ、よいしょ」と数百メートル運び、一軒の商店の前に着いた。二人とも汗びっしょりだ。
俺は後ろから手ぶらでぶらぶらとついて行った。
「どうもありがとうございました」
「それにしても重かったな。おばあちゃん、中身はなんだったんだい?」
「これじゃよ。あたしの作ったブリキ人形じゃよ。お礼に一つあげようね」
そう言うと、老婆はラルとフォルに一つずつブリキ人形を手渡そうとした。
見るからにガラクタだ。そんなもの、俺ならいらないね。
「あたいはいいよ。おばあちゃん。大切な売りものなんだろ? あげるなら、フォルにあげなよ」
売れるのか? それ?
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