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・あなたも私も、ハッピッピー♪

 こども達を抱えていたラルが叫ぶ。


「まずいぞ! バハムートが光線を放ちそうだ! アレは核融合反応光線だ!」


「んーと、それって当たったらどうなんのー?」


「町が消し飛ぶ! 端的に言うと、みんな死ぬ!」


「……オーマイゴッド!」



 俺はもはやあきらめの心境になりつつあった。


 そんな中、チョコレートバーを食べ終えた自称幸運の女神は、その辺にあった棒を拾って、ヘンテコな踊りを踊り始めた。


「あっ、それ、ラッキーハッピーパワー♪ ソーレそれそれ♪ ラッキーハッピーパワー♪ あなたも私も、ハッピッピー♪」


「なに変なことやってんだよ、フォル! このままだと俺たち死ぬんだぞ!」


「むむーっ! 変なことじゃないです! これが私のラッキーハッピーパワーを最大限に引き出す、ラッキーハッピーダンスなんです! 邪魔しないでください! ああっ、なんですか、そのかわいそうな人を見るような眼は! やめてください!」


 フォルはそう言いながらも、ヘンテコなダンスを踊り続けている。なんか、ホント、かわいそうな人にしか見えない。


 そうかと思うと、今度は棒をバット代わりに、野球の素振りのような動作を始めた。うん、野球の素振りにしか見えない。


 ブンッ! ブンッ!


「あっ、そーれ、ラッキー♪」


 ブンッ! ブンッ!


「ホーリホレ、ハッピー♪」


 ブンッ! ブンッ!


 バットの勢いは徐々に増していく。


「フォル、ちょっと落ち着こ、な?」


 俺はそっとフォルの肩に手をやった。


「ちょっと邪魔しないでください、いま、ラッキーハッピーパワーを高め、あっ! 手が滑ったー!」


 俺が動作をとがめたせいで、バットはフォルの手をすっぽ抜け、すさまじい勢いで、大地の巨人ゴーレムの股間へと命中した。


 コーン! と、甲高い音が響く。


「痛そっ!」


 俺は思わず自分の股を内またにしてしまった。男ならわかる。アレは痛い。


 それはゴーレムも同様だったようだ。


 ゴーレムはいまのいままで、俺たちを認識すらしていなかったが、バットの直撃を受け、俺たちを見下ろした。


 目線が合う。


「あっ、こんにちは。フォルです。なんだか、ごめんなさい」


 踊りを止めずに、なぜか手を振るフォル。


「手を振ってる場合じゃないだろ!」


 俺のツッコミもむなしく、ゴーレムは両腕を高くあげ、怒りのままに地面にたたきつけた。何度も、何度も。そしてその場で幼児のように両足をドスンドスンと踏み始めた。


 身の丈50メートルはあろうかという巨人だ。当然、地面は大揺れだ。


 小学生の頃、防災センターとかいう建物で震度7の地震を体験したことを思い出した。あれと同じくらいの揺れだ。


「うわーん! じ、地震だー!」


「キャー! 助けて! おねえちゃーん!」


 こども達はラルにしがみついたまま、泣き叫んでいた。


「大丈夫だよ。みんなはあたいが守るからね!」


 ラルは優しい口調で語り、こども達を抱き寄せている。


 だが大通りの建物は次々と倒壊していく。


 俺たちはあまりの揺れに動けない。揺れが激し過ぎて、巨獣グルーガンによって運ばれていたお城の塔の一部がついに巨大な台車から落ち、ゴロゴロと転がり始めた。


「あっつ!」


 俺は急に背中に高熱を感じた。


 振り返ると、数十メートル先の廃墟と化したがれきでできた高台の上には、炎の魔人イフリートが、いた。


 イフリートは、相変わらずのかめ○め波でも打ちそうなポーズをしている。だが、当初は両手のひらに収まっていた火炎玉は、いまや全身を包み込み、さらに体からあふれ出し、半径十数メートルの太陽のように燃え盛っていた。


 おとなしいと思っていたら、高いところに移動しながら、そんなことしてたのね。意外と目立ちたがり屋なのだろうか。それとも、高いところの方が、獲物を狙いやすいからだからか。


 どっちにしても。


 ああ、もうじきあの太陽のような火炎玉は、俺たちを襲うのだろう。


お読みいただき、ありがとうございます!



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