じ、ジンゴロウ、耳元でささやくな!
「我ながらキモイ笑い方だな」
「ま、でもやるしかないだろ」
「そう、だな。やってみるか。フォルを取り戻すんだ!」
「「おう!」」
脳内会議を終えた俺は、ラルに抱き着いたまま、ラルの瞳をじっと見つめる。
「ななな、なんだジンゴロウ」
ラルが顔を真っ赤にしている。動き過ぎで疲れているのか。
「ラル! 背中の大剣、エスカリオンを俺に使わせてくれ! ラルが避けている間に、俺がガルーダを斬る!」
「そ、そうか! よし、使ってくれ! ただし、あたいからは離れるなよ! やられちゃうからな!」
「分かってる!」
俺はラルに前から抱き着いたまま右手を伸ばし、ラルの背中のエスカリオンのグリップをしっかりと握る。
剣なんて振るったことがない。ましてや大剣だ。本当に俺に使えるんだろうか。不安が頭をよぎる。
でも、やるしかない。俺はラルの耳元で、小声でエスカリオンに語り掛ける。
「……エスカリオン、力をかしてくれ……」
「ひゃぅ。じ、ジンゴロウ、耳元でささやくな!」
心なしか、サヤの中のエスカリオンが光った気がした。
「ジンゴロウ、またガルーダの攻撃が来そうだっ」
「わかった!」
俺はラルに抱き着いたまま、全力でエスカリオンを強く握りしめる。
ガルーダの姿は、俺の視界にはない。ラルにも俺が邪魔で見えていない様子だ。
ヒラ……。
アンタッチャブルアーマーの回避運動の「起こり」を体で感じた。でも俺の視界にはガルーダはいない。ガルーダが俺の後方から迫ってきているのかもしれない。
と同時に、俺の右腕が、素早くサヤからエスカリオンを抜き放った。俺の意思ではない。まるでエスカリオンが俺の身体を操っているみたいだった。




