ああ、もう、そんなことはどうでもいい!
だが、そのどの言葉も、体と口を縛られているフォルを見た瞬間、消え去った。勝手に手足がわなわなと震える。
ドックン!
俺の心臓が途端に早く、強く、拍動する。
頭がくらくらする。体が熱い。全身の血が沸騰したみたいだ。
気が付くと、俺はまっすぐに、全速力でゴデブリン大臣に走り寄っていた。
「この野郎! よくもフォルを!」
フォルが無事だっていうのは、なんとなく分かった。たぶん、これからひどいことをするつもりだったのだろう。
ああ、もう、そんなことはどうでもいい! このゴデブリンめ! 俺たちの大事なフォルを! こんな怖い目に会わせやがって! 絶対に許せない!
俺は全力のパンチを、ゴデブリン大臣にぶちかました―、と思った瞬間、俺は爆風で吹き飛んでいた。
ボワッ!
ドスンッ。
「い、いてて、な、なんだ?」
凄まじい圧力の風に吹き飛ばされた俺は、柔らかな赤いじゅうたんに腰から落ちた。その衝撃で、正気に戻れた。
爆風の起こった中心部には、あの半人半鳥の巨大な召喚獣、ガルーダがいた。
「そうか、こいつがいたんだった。まずはこいつをどうにかしないといけない」
改めて間近でガルーダを見る。
金色の巨大な翼とくちばし。真っ赤な顔。鋭い銀色の爪。まるでこの豪華絢爛な部屋のカラーリングと一緒だ。
ゴデブリン大臣の成金趣味が、そのまま生き物になったかのような召喚獣だ。
「ふん、下賤な輩どもめ。いったい誰だ。貴様らは」




