後のことなんて、うじうじ考えてんじゃねえ!
「ぐえぇっ」
兵士はその場にどさりと倒れこんだ。だが、この兵士は捨て身で塔の入口の鐘を鳴らしたのだ。
初めて見る光景だが、直感的にわかる。
これで城のあちこちから、警備の兵士がここに集まってくるだろう。
「まずいぞ! 早く塔に登ろう!」
俺はラルと素早く石造りの塔の木製の門を開け、中へと入る。
「さあ、マッチョとヒミさんも!」
俺は二人に声をかけた。だが、二人は入ってこなかった。
「ジンゴロウさんとラルはフォルのところへ行ってください」
「俺たちはここで兵士どもをくい止める」
遠くから兵士たちが走り寄ってくるのが見える。
まずい事態だ。こっそり侵入したかったのに。そしてこっそりフォルを奪還できれば、それでよかったのに。
俺とラルだけで、ゴデブリン大臣の使役するガルーダに勝てるか? 正直、自信がない。
ドンッ!
躊躇していた俺の胸を、マッチョが拳でどついた。
「おい! ジンゴロウ! 後のことなんて、うじうじ考えてんじゃねえ!」
「フォルが待ってますわよ! 今行かないと、一生後悔しますわよ?」
そうだ。後悔はもう、したくない。
異世界に来る前の俺なら、ここであきらめていたかもしれない。
でも、いまは違う。前に、進むんだ!
ここで進んで、罪を大きくしたら、処罰されて不幸になる? そんなの誰が決めた?
幸せを決めるのは、俺だ! 他のやつらに俺の幸せを決められてたまるか!
気が付くと、ラルは塔の階段を数段登り、俺に手を差し出している。
「行こう、ジンゴロウ!」
俺はラルの差し出していた手を握り、一気に数段飛びに飛び上がり、ラルの前に立った。
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