夢のつづき
宜しくお願いします。
薄い紫色をした大空の下、僕はユニコーンの狩りをしていた。ユニコーンとは頭から角を生やした真っ白な馬。この動物は、この星の天然記念物に指定されていて、狩りは禁止されている。そんなことはわかっているのだが、僕はユニコーンの角が欲しいのだ。
この大草原をジープで移動して、ユニコーンの群れを見つけると、僕はジープを降り、レーザービームの出る銃でユニコーンを狩る。このレーザービームは強力で、一度でも体に当たると、ユニコーンは即死する。あとは特殊な素材で出来たヤスリで、ユニコーンの頭から角を切り落とす。そこでユニコーンの狩りはおしまいだ。
ユニコーンの角は貴重だ。この星のサラリーマンの一ヶ月の平均的な収入が300メセタ。ユニコーンの角は一本およそ5000メセタだ。僕がリスクを犯してでも、ユニコーンを狩るのをやめられないのはこういうことだ。
もう30本も角を集め、そろそろ引き上げようという時、僕の目の前にユニコーンの母子が現れた。僕はためらわずにジープを止め、銃を構えた。
まず、子供の方のユニコーンを狙った。母親のユニコーンは動揺して、僕に何かを訴えるように鳴き声を上げた。
僕はかまわずにレーザーを放った。子供はいつも通り即死した。
母親は憎悪に満ちた眼で僕を見つめた。僕は一瞬、寒気がしたが、再びレーザーを放った。母親は奇声を発し、地面に倒れた。
ヤスリで2等の頭から角を切り落としている最中も、僕はあの母ユニコーンの憎悪の眼を忘れることが出来なかった。
ここで目が覚めた。全身汗でびっしょりになっていた僕は、起きてなお、あの母ユニコーンの眼を忘れることが出来なかった。
朝食を取り、学校へと向かった。
教室へと入り、自分の席につくと、僕は前の席の田口君と話し始めた。
「おはよう、石田君」
田口君は、いつも優しく、僕に挨拶をしてくれる。
「おはよう、田口君」
僕もそれに答える。
「何だか顔色が悪いけど大丈夫?」
田口君は心配して、僕にそう言ってくれた。僕はまだ昨日見た夢を引きずっていたのだ。
「大丈夫。何でもないよ」
僕は何でもないということをアピールするように元気を出して、そう言った。
「ならいいけど。中間テストも近いし、体調には気を付けた方がいいよ。体調崩して、勉強出来なかったら大変なことになるし」
「うん、ありがとう。そうだね」
その後、僕等は先生が来るまで話した。
田口君はいつも優しい。彼が僕をどう思っているか知らないけど、僕は彼が大好きで、親友になりたいとさえ思っていた。
僕は森の中でケンタウロスの狩りをしていた。ケンタウロスとは下半身が馬、上半身が人間という姿をした生き物。手には巨大な弓を持っている。この弓が貴重なのだ。ケンタウロスは死ぬまで弓を離さない。だからケンタウロスの弓が欲しければ、この生き物を殺すしかないのだ。この弓はなんと8000メセタもの価値があるのだ。
僕は森の中でケンタウロスを狩りまくった。
ジープにもう40個もの弓がたまった頃、ケンタウロス達は、突如、自分達の弓で反撃してきた。この生き物はおとなしく、この様な行動に出るのは稀である。
僕は驚いて、レーザーをところかまわずに撃ちまくった。動揺していたのでなかなか当たらない。身の危険を感じた僕はレーザーの出力を最大にしてケンタウロス達に放った。
ケンタウロス達は弓ごと灰になった。
ここで目が覚めた。僕の全身はまた汗でびっしょりになっていた。しばらくボーッとしていたが、気を取り直して朝食を食べ、学校に向かった。
学校に着いた僕は、また田口君と話していた。
「また顔色が悪いけど大丈夫?」
「うん、何だか最近、変な夢ばかり見るんだ」
「変な夢?」
「うん、僕が密漁をしている夢なんだ」
「密漁……」
「それも神話に出てくる様な動物ばかり密猟してるんだ」
「ふーん」
田口君は「気にすることないよ」と言ってくれたが、このおかしな夢のことは僕の頭から離れなかった。
僕は法廷にいた。
どうやら僕が被告で裁かれるようだ。裁判官達が神妙な面持ちで、僕を見つめている。
「あなたが神獣を密猟していたという事実に間違いはないか?」
裁判官が僕に尋ねる。
「間違いありません」
僕は答えた。
「よろしい。ではこの神獣密漁がどれ程重い罪かも知っていますか?」
「はい、知っています」
「よろしい。では君をギロチンの刑に処す。執行は明日の正午だ」
ここで目が覚めた。またもや全身汗でびっしょりだ。
朝食を食べようとしたが、喉を通らなかった。
学校に着いた僕は、また田口君と話し始めた。
僕等はしばらく話していたが、急に田口君の表情が変わった。
田口君は僕を見つめて言った。
「今日の正午だね。君の処刑」
「え?」
窓の外を眺めると、運動場には、ギロチンが用意されていた。
FIN
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