5/9
【8月19日】
四日目。
昨日の帰り際に起きた出来事の意味が分からなくて、頭にきて、でも喜びたい自分もいて、ぐちゃぐちゃで。
今日はあんまり行きたくなかった。
だけど行かなかったらこのまま関係が消滅してしまうような気がして、それはやっぱり嫌で、空元気と時間を埋めるためにお菓子作りの用意をしていった。
案の定、君は何食わぬ顔でニコニコしてて、結局、一週間だけの関係なんてものをOKした女子のあつかいなんてこんなものなんだな、って虚しくなった。
でもいつも食事をご馳走になってきたし、勉強も教えてもらってたし、
何より、最高のピアノを毎日聴かせてもらってたから。
お菓子でお礼するくらいはしなきゃって。
……思ったのに、あんな大きな直火のオーブンなんて使ったことがなかったから、思いっきり失敗してしまった。
出来上がったのは、見事な炭の塊だった。
『やべぇ。これTwitterあげたら絶対バズるやつじゃん』
君は不等号の顔文字みたいな笑顔で過去イチ楽しそうだったね。
でもフォローのつもりだったのかもしれないけど、あれは言っちゃダメなやつだったよ。
私はもう恥ずかしすぎて無理だった。
片付けしないで帰ってごめんなさい。でも泣いてしまいそうで、あの場にいられませんでした。
――君が日本を発つまで、あと三日。




