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【8月18日】
三日目。
お昼に君の家に行って、
一緒にキッチンに立って、
お昼ごはん食べて、
ピアノを聴いて、
勉強して、
また一緒にキッチンに立って、
夕食も一緒に食べて、
好きな食べ物の話をしたり、
音楽の話をしたり、
学校の友達のことや、嫌いな先生の話をしたり、
私は海外に行ったことがないから、君が話してくれた外国の話がすごく面白かったよ。
だけどこれは一週間だけの恋人ごっこだから。
当たり前の日常になりそうな錯覚を必死に振り払ってた。
でも。
駅の自販機で買ってくれたマスカットソーダを飲み終わったとき、
『あー……、俺も飲もうかと思ったら売り切れだって。ほら』
って残念そうに指差した君を見上げたら、ふいに君の柔らかい髪が私の頬に触れた。
何事もなかったみたいに『ばいばい』って手を振った君がどういうつもりだったのか、私は唇を何度も指でなぞって、また眠れない夜を過ごした。
――君が日本を発つまで、あと四日。




