奮闘の日々
洞窟の出口を完全に囲み、アルストロメリアの大型粒子砲で中を一掃する準備が整った
「撃て」
俺の言葉と共に熱線を発した巨大なビームが洞窟内目掛けて放射される
だがあまりに威力が強すぎて、山の向こう側まで貫通してしまった
「もうこんなの笑うしかないですよ」
冷却モードに入った大型粒子砲がかっこよく蒸気を出す
洞窟にいたモンスターはなんとこの一撃でほとんどが死滅し、一切の戦闘なしで勝利する事ができた
「ありがとうアルストロメリア、君の力は偉大だよ」
「ご主人様に喜んでいただけて、私キュンとしちゃいます♡」
俺も好きだぁああああああああ!!!!!!
こんな可愛い子に守ってもらえるなんて、異世界は最高だぜ
そして時間が流れ、俺は村に寄っていた
「あ、あなた方は!」
ツバキさんたち姉妹を村の人たちが囲い、感謝などを口々に述べているが、それに困った顔で俺を見る
「可愛いなぁツバキさん」
そうしているとガーベラが塞ぎに入る
「はいはい、感謝はいいから。あの時助けるように命令したのは私らの主様だからよ」
「おお、それは…ありがとうございます」
一斉に俺の方に村人が集まる
「いえ、これは彼女たちの成果であり、俺はただ指令を出しただけです」
そこへ村の村長がやってきて、後の話は村長に聞いてもらった
「ほう、誠に信じられませんが。たしかに見慣れないそのお召し物や力は私の人生上見た事がありません」
村長は細かくこの世界のことを教えてくれた
ここは小さな村だが、南へ向かえば大都市でかつ首都でもあるヴェラルートに行けるという
馬車で5日かかると説明してくれたが、おそらくツバキさんたちの力を使えばすぐにでも行けるだろう
金と食料に困っていると言えば、村の護衛をしてくれないかと頼まれた。
護衛になってくれるなら食事と寝る場所は確保できると言われ、あのモンスターたちが原因かと聞くと、その通りだと応えた
ここは新しく開拓が始まった地域で、周りには危険な生物がたくさんいるとのことだ
もしやと思い洞窟のことを話すと、彼らは驚いた
「あの洞窟に近寄ったのですか!?」
「はい、あれは危険だと判断致しましたので。中にいる敵も排除しました」
村人はその事実を最初は信用していなかった
当然だろう、と言うことで村人の一部を姉妹の半分が護衛し、視察に行くことになった
その間、俺は村で手伝えることをできるだけやった
時が過ぎ、夜になると調査に行った村人たちが帰ってきた
「驚いた、まさか洞窟ごと消し飛んでいるとは」
「それは本当か!?」
村人の間でモンスターたちがいなくなっていることはすぐに話題になり、俺たちに向けられる目は優しくなった
それからまた村の手伝いをしていると、軍人らしき人物が馬に乗って少数で現れた
「貴殿か、この村を救ってくれた魔術師というのは」
魔術師?確かにあの近代的な兵器はこの世界の人たちから見れば魔法に入るのか
その野太い声がかかり、すぐに返事を返す
「はい、自分たちと村の脅威になっていたので」
その事実に軍人たちはすぐ目の色を変え、ある提案をしてきた
「我が帝国軍に入る気はないか?その力は万人を救うものになるだろう」
それの返答に姉妹のみんなは耳を傾けていた
「私たちはまだこの世界を知らないので、そういった点において帝国の皆様を守る軍隊に入ることなどできません」
「うん、無理は言わん。ただ貴殿の件は帝国軍に伝えることを許してくれ」
多分そういった決まりなのだろう
あって悪い情報なんてないし、情報の大切さを理解している軍は強い
「はい、構いません」
そうして用が済んだのか颯爽と帰って行く軍人を見て肩の力を抜いた
「ふぅ…」
「主様、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。めっちゃ緊張したけど」
とりあえず、喉が渇いた
村のすぐ横に流れる新鮮な川から少し水を飲む
ろ過することも忘れ、夢中なって飲む
「飲み過ぎは禁物ですよ」
「ふぁい」
すでに夕焼けが沈む頃にまでなっていた
いろんなことがありすぎて、1日が早く終わるなぁ
今夜は村で止めていただけるということで、泊まらしてもらうことにした
「明日は、大きな街とかに行きたいな…」
そういってツバキさんとガーベラに挟まれながらベッドで眠った
「もー!お姉様ばっかりずるい!!」
ミズナがそういって頬を膨らませていると、アルストロメリアが頭を撫でる
まだここにきて3、4日しかたっていないのだった