世界
「主様…起きてください…」
頭を優しく撫でられるともっと甘えたくなる
男のサガってやつなんだろう
「うぅ…あと5分…」
「もう、甘えん坊なんだから主様は…」
その言葉に目を覚まし、意識がだんだんはっきりしてくる
最初に目に入ったのは沢山の木々でその後に、少女たちが見える
そうして思い出す、俺は異世界に来てたんだと
「ああ、ありがとうツバキさん」
周りのみんなは警戒にあたってくれているようだが、なぜみんな何も食べてないのにピンピンしているんだ?
「ツバキさん」
「はい?」
「みんなはお腹すかないの?」
「はい、私たちは人間ではありませんから」
「そっか、人間じゃないのかっておい!!マジですか?」
「マジです」
聞いたところによるとツバキさんたちは「ドール」と呼ばれる機械生命体で、食事や睡眠といった人間にある一部分を全て取り除き、戦闘と奉仕に特化しているとか
「は、はぁそうだったんですね」
朝っぱらから衝撃の事実を聞き驚いたが、だんだんそれには慣れてきた
俺が最初に見た木々とは違い、後ろを向くと
一面焼け焦げた場所が広がっていた
「なんてことを…」
真っ黒になった木は焦げ臭さを辺りに撒き散らしている
彼女たちの能力などについては何一つわからないが、今は伏せておこう
俺たちはとりあえず、人間がいる場所を求めて守りの中をただ真っ直ぐに歩いていたが、一向に道らしいものが見当たらない
「主人様、このまま歩いていては貴重な時間を無駄にするかと私は考えます」
「うーんでも移動手段が歩く以外にないしなぁ…」
そういうと長女のツバキさんは首を横に振って否定した
「我々は一人に一つ、鋼鉄の翼を有しております。スラスターを利用した航空により、鳥や一般的な航空機よりは早く飛行することが可能です」
「え」
「肩部スラスターの装着を承認」
ツバキさんがそう言うと、彼女の方から突然鋼鉄の羽が出現し。風圧によって俺と周りの木が飛ばされそうになる
「うお!!」
SF的なその兵装に興奮したが、これがあればどこへでもいけると確信した俺は、すぐさまツバキさんに抱えてもらい。空を飛んだ
むにゅ
「あ…」
ツバキさんに抱えられると背中にツバキさんの胸があたり、柔らかい感触が体に走る
最高だぜ!
これが作り物の体なんて思いもしないなぁ
そう考えながら目に入った景色を見渡すと、12時の方向に人工物らしい物が見えた
「お!街じゃないあれ!?」
喜ぶ俺にツバキさんが上空で停止する。
他の姉妹も同じように上空で突然停止する
「どうしたの?ツバキさん?」
「あの街が主様に友好的という保証はどこにもありません。少しばかり偵察を要求いたします」
めちゃくちゃ慎重だな…まぁでも確かに念には念をと言うし、今は従っておこう
「偵察お願いします!」
「は!ウルイ!」
「…はい」
貞子みたいな姉妹の一人がツバキさんに従い、一人だけ偵察に行った
その間俺たちは近くの水場で待機することにした
「ふぅ…流石に腹が減ったなぁ…昨日から何も食べていないし」
こう言う時は水飲みたいけど、このまま川の水飲むのは危険だってディ○カバリーチャンネルで言ってたし、食い物は見当たらないし…
ぐぅ〜
腹が飯くれと鳴いている
あげたいが今は我慢するしかないのだろうか
異世界である以上、無闇に自然物を食いまくるのは危険だしどうしたものか
俺が腹をすかせてると、姉妹たちが立ち上がりいきなり服を脱ぎ出した
「え!?ちょ…待って!心と身体の準備が!!」
「あらあら、おませですなぁ…」
「もう、ご主人様ってば違うよ!」
「何興奮してんだよ」
彼女たちは分厚いコートを脱ぎ、服が濡れないように川の中に入っていく
「え、何が始まるんだい?」
俺の問いにその場に残ったツバキさんが話す
「やったことはありませんが魚介類を捕獲してみたいと考えております。主様にこんな所で餓死してもらっては我々の生存にも関わります」
「な、なるほど…俺も手伝うぜ!」
「主様がそのような労力を使う必要はございません。我らにお任せを…主様!」
靴と靴下を脱ぎ、水に足を入れる
「つめたぁ!!!」
冬並みの寒さの中、川に足を入れるのは痛いくらいに冷たい
「ミズナも入る!!」
「私も!」
俺が入ると皆んなが続いて入ってきて、ほぼ全員で魚を捕まえる準備をした
どこから取り出したのかわからない網を川にかける、魚を追い込む班と捕まえる班に分かれて、作業を行う。
そうして準備をしているときに、目の前にいたガーベラが屈む
すると服の隙間から美しい彼女の胸が強調される。その風景に生きててよかったと鼻血を流しながらまじまじとガン見した
(エロすぎんだろ…)
前の人生で女性の身体を拝見することはなかったが、まさかこんな素晴らしい瞬間に立ち会えるとは
まさに楽園!女神様ありがとう!!
そうして準備した罠で魚を追い詰め、捕獲している時にウルイが帰ってきた
「状況はどうだった?」
そう聞くツバキさんにウルイは言葉を詰まらせた
「あ………あの…………人………」
「はっきり言いなさい」
「はい…人殺されてた…変な奴ら……いた」
その言葉を耳にした7人のうち5人が周りの警戒にあった
「おわっと!!!」
大物の魚が網にかかり、何とか1匹だけ捕獲に成功した
「やったね主様!」
褐色肌のリリーがそう言うと笑顔で喜んだが、周りはそんな状況じゃないようだ
「その変な奴らとは?」
さらに問うツバキさんにウルイは喋り続けた
「主様の記憶合致する…ゴブリンとかオーク…みたいなものに…似てた…」
完全に人類の敵じゃねえか
それを聞いた俺は同じ人間種として救う決断をした
「ツバキさん、なんとか人間の方達を救うことはできないか?」
「可能です」
「できるんかい!!」
即答の返事にすぐさま戦闘準備がなされた
全員が武装を身にまとい、ツバキさんとリリーが俺の護衛に回り、他は街に向かった
この世界の現状を知らない俺たちは未だ敵を認識していなかった…