少女たち
「え?」
その光景を見て最初に出た声だった
「どうかなさいましたか?主様」
俺に忠誠を尽くすように、地面に足をつき、手を胸に当てる9人の女性たちに唖然とした
いや確かに優秀な部下は欲しいと言ったが、まさかこんなにいるとは思いもしなかった
その場に座り込み、一度息を整える
「主様!?大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫」
彼女たちは皆、軍服のような服を纏い、真っ白の髪をしており。それは完全に俺の好みが集結している姿だった
彼女たちはいきなり立ち上がり、周りの警戒を始めた
「どうしたんだ?」
「主、ここ危ないぜ」
笑いながらそう言うのは別の少女だ、何かがいることを分かっているのだ
俺には何も見えないが、彼女たちには見えているのだろう
「主様を守りながら戦闘に備えろ!」
「うっせぇ姉貴、こういうのは森ごと焼き払えばいいんだよ。アルストロメリア!!」
「はい」
彼女たちの一人が、空に手を挙げると突然巨大な砲塔?のようなものが現れて照準が”何か“に向いた
「発射します」
「え?」
そう言って少女が大型の砲塔から巨大なビームを放射すると、あたり一面を火の海に変えた
「えぇ…」
突然すぎて彼女たちの意図がわからない
同じ顔をした9人の少女たちは燃えている炎の中に普通に入っていき、何かを持ってきた
「これが主様を狙っていた、敵の正体です」
そこには真っ黒に焼けた四足歩行の動物が地面に落とされ、俺の前に横たわった
「犬?だが額に変な角がある」
俺の人生でこのようなものを見たことがないことからここが異世界だと確信した
もう帰れないのか…改めてもう戻れないと分かると、また涙が出てきた
何も恩返しできなかったなぁ母さん、父さんいつも迷惑かけてごめん。妹にはもっと遊んでやればよかった。
そうして涙を拭くと、目の前に姉妹が来て俺を抱きしめた
「よしよし…私たちが主様を守るわ」
「ありがとう…」
その夜は真っ赤な炎と過ごした夜だった