番外編9
アリーナが目を開けると、目の前に愛しそうにアリーナを見つめるライがいた。恥ずかしくて目を伏せたアリーナの顎を、ライが撫でる。おずおずとまた目を上げたアリーナに、ライが微笑みかける。
甘い。
控えめに言っても、ライの視線は甘すぎる。
まだライとの結婚生活は始まったばかりで、アリーナはまだこの状況に慣れそうにもなかった。
「あ、あの……ライ様。あまり見つめられると……」
顔を赤らめるアリーナに、ライが、ふふ、声を漏らす。
「気にしなくていいですよ。私がアリーナに飽きることはないですから」
「いや、飽きるとか飽きないとかじゃなくて……」
「見つめてはいけない決まりなどないでしょう?」
「え、えーっと……ありませんけど……は、恥ずかしいんです」
アリーナの言葉に、ライがアリーナの頭を撫でる。
「恥ずかしがっているアリーナも、またいいものですね」
ライの返答に、アリーナはグッと詰まる。
でも、アリーナは何かライの甘い視線を撃退できる言葉がないか、頭を巡らせる。とにもかくにも、恥ずかしいのだ。
ふと、アリーナはある事実を思い出す。
「ライ様。あの婚活パーティーの時は、私のことをそんな風に見ていませんでしたよね? ……あの時は、どう思われてたんです?」
そもそも、あの時はライがアリーナをこんな目では見ていなかった。
ライの気を逸らせればいいとは思ったところもあったが、アリーナの素朴な疑問だった。
ライが瞬きをして、目を軽く見張る。
「あの時は……」
ライの視線が、アリーナから逸れる。
どうやら成功したらしい、と思えたのは、一瞬だった。
ライの手が、アリーナの両手を覆う。
突然のライの行動に、アリーナは目を見開いた。
ライの更に熱い視線が、アリーナに注がれる。
「あれは、運命だったに違いありません」
アリーナは、呆気にとられ、瞬きを繰り返した。
「う、運命?」
ライが戸惑うアリーナをよそに、大きく頷く。
「そう。運命です」
「えーっと、ライ様。私が聞いたのは、あの時どう思っていたのか、についてなんですけど……」
「あの時は気づいていませんでしたが、今思えば、あれは運命だったに間違いありません」
「えーっと、だからですね……」
ライが言葉を発するアリーナの唇を塞ぐ。
「……ん……」
ライに翻弄されて、アリーナはくったりと力が抜ける。
アリーナから唇を離したライは、また愛しそうにアリーナの頬を撫でる。
「あの時は、まだ運命だと気づいていなかった私に落ち度があったと言わざるを得ません。お詫びにもなりませんが、その分も、私の愛が伝わるようにしますから。拗ねないで下さい」
違う!
アリーナの心の叫びは、ライの唇にまた飲み込まれていった。
完
作者が1年ぶりくらいにお酒を飲んだら、ストッパーが外れたようです。
楽しんでいただければ幸いです。




