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転生

     三 

 見回せば、中世ヨーロッパを想わせる荘厳な教会の中だ。

 パイプオルガンの音が聞こえる。

 五歳の洗礼式は仰々しく始まった。

「汝、五つの年を重ねたる者、王族に連なる者、神の恩寵を受ける者、魔人を退ける者、カルロス・ルースターよ、宝珠水晶の前へ立ち聖紋を示せ」

 周りから促され進み出た。大きな水晶に手をかざしのぞき込む。

(眩しい)

 突如、水晶が光った。

 水晶表面に輝く文字が連なった。

「陛下! お祝い申し上げます。聖紋が浮かびました。……過去にない型の紋様です。しかも、神の御名が読めません。後に続く加護内容も解読できません。申し訳ありません」

 周りの教授たちが顔を青くして騒いだ。

 国王の父も第三王妃の母も驚きの表情だ。

 光と共に水晶の奥底から目覚める意識があった。

 急に文字が読めた。

 聖紋と呼ばれる円形紋様の中に国士無双と書かれていた。

 疑問が浮かぶ。

(皆はなぜ読めないのだろう? ただの漢字なのに)

 水晶の輝きが終わると球面に幼い金髪の少年の驚く姿が映り込んでいた。

(なんじゃこりゃ。金髪おかっぱ! しかもガキじゃねえか)

 三十五歳で黒髪日本人を当然と思っていた俺はショックからか意識を遠くした。

「六男カルロスは、聖紋を授かった。よく解らぬが、何れかの神の加護を持っている」

 父王の抑揚のない平板な言葉だけが耳に残った。

 薄くなる視界の中で嫌な予感がした。

(俺ってよく解らぬ六男カルロスなのかよ)

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