表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/106

9ー5.遺跡の守護者


「この穴が、そうみたいだな……」


最初の通路へ戻ってきたセスたちは、新たに現れた大穴を見据えた。

儚げに見えてもしっかり砂の難を逃れていたらしい蝶たちが、いよいよ勢揃いといった様子で穴の内外にびっしり集まっている。


一応セスたちの通り道は空けてくれているのだが、うっかりすると潰しそうで恐怖だ。

というか、壁と天井を埋め尽くす無数の虫が蠢いているこの状況……最早綺麗などとっくに通り越して、恐怖しかない。


しかし、誰もそのことは口に出さず、蝶たちに感謝しながら通路の奥へ進むことにした。

蝶に言葉が通じるとは思わないが、この状況で怒らせたくはなかったからである。


しばらく進むと蝶の光が消え、代わりに明るく開けた空間が見えてきた。

辿り着いてみると、高くて広い壁の上に、岩肌で見たのと同じ虹色の輝きが揺らいでいる。

そして、壁の下は一面、大量の砂だ。


「え〜? ここって……砂漠⁇ 私たち、砂漠に出ちゃったの……⁇」


「本物の砂漠なわけないだろ。ここも壁に囲まれてる。遺跡内だ。ただ……天井が無くて、空が結界に覆われているだけのようだな。だから明るいのか」


「中庭みたいな場所かな? 明るい内に来られて良かったよ。しばらく探索して、暗くなる前に帰ろう」


「しっ!……静かに。砂の中から何か聞こえる……」


………………ズ……


ズズズズズズズ……


ズズズズズズズズズズ‼︎‼︎


全員が黙って耳を澄ませる中、音はだんだん大きく……近くなっていく!


「や、やばい! 皆、逃げろーーッ‼︎」


セスに言われるまでもなく、誰もが撤退し始めていた。


ザザアアア…………‼︎


なんとか全員が通路へ駆け込んでから振り返ったそのとき、砂の中から数十メートルはある巨大な影が飛び出した!


「あ、あれは……サンドドラゴン⁉︎」


砂色の鱗に覆われた長い胴体。黒光りする巨大な角と鋭い爪。黄金色のたてがみ。

光の代わりに魔力を視る灰白色の目玉が、今は血走っていて真っ赤である。


グオオオオオオオオーーン‼︎‼︎


サンドドラゴンは砂埃を巻き上げながら、凄まじい勢いで砂の海を泳ぎ回っている。


「危険すぎる! すぐに遺跡の外へ避難するぞ!」


「うんっ!」


セスたちは通路を逆走し始めた。ところが……


「まってー! まってなの‼︎」


その背中にステラの叫び声が刺さった。


「ドラゴンさん、まりょくかじょーで、くるしんでるの! セス、みどりのけんできって、たすけてあげてなの!」


「なんだって⁉︎ そんな無茶な……帰るぞ‼︎」


「むぅ……だったらステラ、ひとりでたすけてくるっ! セス、みどりのけん、ステラにかして!」


「おいっっ‼︎」


がしっ‼︎


剣を取ろうとしたステラを、セスは腕にがっちり捕まえた。


「やああ! セス、はなしてなのー!」


細い手足を懸命にジタバタさせてもがくステラ。

その必死さにセスが心を痛めていると、ローレンが肩に手を置いてくる。


「セスさん、ステラさん、ひとまず落ち着いて話し合ってみようか。どうやら通路まで追っては来ないみたいだよ」


再び確認すると、ドラゴンは荒々しく砂から出たり入ったりを繰り返すばかりで、侵入者に気付いてすらいない様子。

通路の造りも頑丈で安全そうだ。


「……それもそうだな。こんな状態のステラを連れ帰るのも危なっかしいし」


セスがふぅっと溜息を吐くと、ネリアも反対側の肩に手を置いてくる。


「うんうんっ。それにさ、セス? 今日のためにいろいろ準備してきたんだし、せっかくティアさんみたいな優秀な魔導士もいることだし、案外サクッとステラちゃんの言う通りにできたりしないかなっ?」


「ネリア……お前は脳天気すぎ。そもそも、あんな凶暴な魔物を助けたりしていいのかよ? できれば討伐すべき対象だろ」


「たすけていいなのよ! あのドラゴンさん、このいせきまもってるの。いまあばれてるのは、くるしいからなのよ……」


いつの間にかステラも落ち着きを取り戻したようだ。

セスは腕を緩め、ステラを向き直らせる。


「ステラ……本当に言い伝え通り、ステラは魔脈を管理する遺跡の案内役だったんだな?」


「うーん? それはよくわかんないの。でもステラ、なんとな〜く、このいせきもドラゴンさんもわかるなのよ」


「そうか……じゃあ、出来る限りのことはしてみよう。ティア、あんたならアイツの動きを封じられるか?」


「そこであたしを頼るのかよ? まあ、手が無いわけでもないけどさ……」


セスたちは作戦を立て、ドラゴン救出に挑むことにした。



凝った名前思いつかないから直球のネーミング。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ