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9ー2.結界の入口


「さてと……問題の場所までは、問題なく来られたわけだが……」


「これからどうするかが大問題だねー」


「もんもんだいだいなの〜」


件の魔吸蔓群生地へと着いたセスたち一行。

群生地だったといっても、今はもう除草が完了してただの広場となっている。

なんの変哲もない地表にあるものといえば、先日なんとか見つけ出した僅かな石畳だけ。

とりあえず、セスはステラとその石畳を踏み締めてみる。


「どうだ? ステラ、何か感じるか?」


「う〜ん…………あっ! ステラ、おもいだしたの!」


「なんだって⁉︎ 何を⁇」


「よくわかんないけど……まえにここにきたとき、あっちのほうからよばれたの! いってみるの!」


「ステラ⁉︎」


突然ステラが駆け出し、セスは困惑しながら、ネリアと双子は期待しながらそれを追った。


***


「止まれ! ステラ! 危ない‼︎」


ぎゅっ‼︎


「きゃあっ」


草木で隠れた山の裂け目の淵。

あと一歩踏み出せば転落というところで、セスはステラを捕まえた。


「こらっ‼︎ ステラ1人で行ったら危ないだろ! しかもこんな山で足元も見ずに走るなんて!」


「うぅ……セス、ごめんなさいなの……」


「これからはもう、1人で先に行ったりするなよ?……約束できるな?」


「はいなの。セス……たすけてくれて、ありがとうなの」


「どういたしまして」


ぎゅ〜〜……


半べそでしがみついてくるステラを、セスは抱き抱えて安全な場所まで下がった。

すぐに追いついてきたネリアと、少し遅れて来た双子も、その様子にホッと胸を撫でおろす。


「はぁ〜……びっくりした〜。ステラちゃんってばどんどん先へ進んじゃうんだもん! でも、セスがしっかり追いついてくれて本当に良かったー!」


「そうだね。2人とも山道なのにあんまりにも速いから、オレなんか危うく見失うところだったよ」


「お兄は途中で木の根に躓いたり、枝に引っかかったりしてたからだろ……あたしはそっちにもヒヤヒヤさせられたっての。ドジお兄」


ティアがローレンの髪に絡んだ葉っぱを指で弾くと、ローレンはいつものように苦笑いを浮かべる。


「ははは……でも、今回は危険な場所が先にわかっているから大丈夫だよ。ステラさんが落ち着くまで、セスさんたちは休んでいてくれ。その間に、オレはステラさんが行こうとした裂け目の向こうを確認してくるよ」


「あっ。待て、お兄……」


ズシャアアアアアアーーーーッッ


なんというフラグ回収の速さ。

早速躓いて裂け目へ落下する迂闊な兄ローレンを、鋭敏な妹ティアは魔吸蔓で編まれたロープで救った。

魔力で操れるこのロープにこれまで何度世話になったことか。ティアはもう数えるのをやめた程である。


「ローレン‼︎ 大丈夫か⁉︎」


セスたちも慌てて裂け目を覗き込むと、ロープの先にぐるぐる巻きのローレンがぶら下がっている。


「ああ、オレなら無事だよ! それより、すごいものを見つけたんだ! ティア、ロープをもう少し下げてくれ!」


「こらっ、バカお兄! 引き上げるからじっとしてろって……え?……お兄っっ‼︎‼︎」


「ローレン⁉︎⁉︎」


そのとき、セスたちの目の前で信じられないことが起こった。

突然、ローレンの姿が岩肌に吸い込まれるように消えたのだ。


「お兄ーーーーーーっっっっ‼︎‼︎‼︎」


慌てて魔力を強め、ロープを引き上げるティア。

すると、岩肌からすぽんとローレンが飛び出してくる。


「うわあ⁉︎ 落ち着くんだティア、そんなに急に引っ張ったら兄ちゃんが危ないだろ!」


「お兄っ‼︎」


「ローレンの言う通りだぞ、落ち着けティア。ローレンも、話は上で聞くから今は勝手に動くな」


「わかったよ、セスさん。ティア、ロープを上げてくれ」


「言われなくてもそのつもりだっての……」


ティアはロープを操ってローレンを裂け目から引き上げると、ぐるぐる巻きのまま自分の横に座らせた。

まるで捕らえられて晒し者になっている罪人のような姿の兄に、妹は立ったまま見下ろしながら尋問を始める。


「で、あんな場所に何があったってんだ? 何でいきなり消えやがった?」


「それがもう! 本当に素晴らしい奇跡なんだ!」


無様な状況も気にせず、ローレンは無邪気な子供のように興奮した声を上げる。


「オレが落ちた裂け目を、セスさんたちが覗き込んだとき……というよりは、おそらくステラさんが近づいたとき、突然! 岩肌の一部が、シャボン玉の構造色のようにゆらゆらと虹色に揺らぎながら輝きだしたんだ! これこそ古代遺跡を守る結界の入口に違いない! そう確信したオレはロープを揺らし、思い切って体ごと揺らぎの中へ飛び込んだ! すると、そこには!」


「そこには⁉︎」


皆の視線が集まる中、ローレンは深呼吸してゆっくりと唇を開く。


「……いや〜、実は突っ込む直前で目をぎゅっと瞑ったからね、中の様子は見てないんだ。中、どうなってたんだろうね?」


「見てないのかよ!」


ぎゅぎゅーーーーっ


ティアが怒りのヘッドロックをローレンにくらわせている間、セスたちは裂け目へ降りる為のロープを準備した。



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