9ー1.遺跡探しへ出発!
数日後、早朝の広場。
セス、ネリア、ステラの3人は、ローレンとティアを待っていた。
ステラも同行する今回の遺跡探しのために、セスとネリアは装備や山道の確認を重ねてきた。
準備万端! あとは出発するだけである。
「約束の時間10分前か。もう来ててもいいはずだろ」
「セスはせっかちだなぁ。私はまだ10分あるなら、もう30分待つくらいの気持ちでいるよ〜」
「ネリアの場合、相手のことも同様に待たせていいと思ってるからだろ。俺は、俺も遅刻しないように気を付けてる」
「自分ができることを他人にも当たり前に望むのは悪いくせだよ〜?」
「そうやって言い訳して自分を甘やかすのも悪いくせだけどな」
「ステラはねっ! ひとりでまつのさみし〜だけど、セスたちといっしょにまつの、たのし〜なの♪ ふたりとも、いけんがぎゃくならあいだをとるの。ふたりのあいだ、ステラなの♪」
ステラはセスとネリアの間に挟まって、2人と繋いだ手を嬉しそうに揺らしている。
「間って、物理的な間かよ……でも、まあ、ステラの言うことには俺たち敵わないよな」
セスが諦めたように笑うと、ネリアも笑って頷く。
「セス、ステラちゃんのおかげですっかり丸くなったよね〜。今の顔なんか、ちょっとローレンさんっぽかったもん♪……あ、別にセスは美形じゃないけどね」
「最後のは言われなくてもわかってるっての……って、あそこにいるのローレンじゃないか? 何してるんだ……⁇」
広場の東、診療所の生垣の上にローレンの横顔が見えた。どうやら誰かと話しているようだ。
セスとネリアはこっそりと様子を伺ってみることにした。ステラも2人に倣ってこっそりと付いてくる。
***
「薬をありがとう、モモさん。でも、本当にお代はいいのかい?」
「も〜、そんな水臭いこと言わないでくださいよぉ」
生垣の影に屈んで聞き耳を立てると、ローレンとモモの声が聞こえた。
ふわふわとした雰囲気の者同士、とても親しげだ。
「だってぇ〜ローレンさん、結婚したらモモたち家族になるんですものぉ〜」
「家族か……素敵な響きだね。それでは、お言葉に甘えて頂いていくよ」
「はぁい♪ その代わり、なるべく早く帰ってきてくださいねぇ〜」
「そう努めるよ。……だから、サクラさんに今回のことはまだ……」
「ヒ・ミ・ツですよねぇ〜。でも〜帰りが遅いとモモ言っちゃうかもぉ?」
…………
セスとネリアは2人の邪魔をしないよう、ステラの手を引いてそろりとその場を離れた。
***
広場の西端へ移動したセスたちは、診療所の方を見張りながら話す。
「……ローレンの相手ってモモだったんだな。そういえば昨日、婚約者が待ってるから帰るって言ってたのに、温泉の宿に泊まってたもんな。……ネリアは、モモからなんか聞いてないのか?」
「ううん、なんにも。2人とも、美男美女ですっごくお似合いだよね〜!……でも、サクラちゃんには秘密ってことは……もしかして三角関係だったり⁇」
「いやいや、まさか……」
「さんかっけーかんけー、なあに? ステラにもおしえて、おしえて〜」
「おい、テメーら何の話してんだ?」
不意に、温泉宿からティアが出てきた。
訝しそうな視線を投げているティアは、今日も兄の服を着ている。
「あのねっ、さんさんかっけーなの。ティア、わかるの?」
「は⁇」
「ティアもわかんないならいいや。ティア、おはよーなの!」
「ん。はよ」
マイペースなステラのおかげで誤魔化す手間が省け、セスとネリアはほっと胸を撫で下ろした。
そこへローレンもやって来る。
双子のティアと並ぶと、左右対称に掛けた揃いのマントがちょうど鏡合わせのようだ。
「やあ、おはよう皆さん。お待たせしてしまったようで、すまないね」
「ローレン、おはよーなの!」
「おはようございます、ローレンさん。時間ならぴったりですよ」
「あたしの方が早く来たけどな、のろまお兄」
「ティアも今来たとこだけどな。……じゃ、出発するぞ。ステラ、俺たちから離れるなよ?」
「はぁいなの♪」
5人は賑やかに遺跡探しへ出発した。




