6ー3.バスタオルトリック
「ふぅ……やっと片付いた。ステラはしばらく蜂蜜禁止だな……」
トタタタタタ……
「セス~! みてみて! ネリアがきせてくれたなのー!」
ダイニング掃除を終えたセスの元へ、可愛い足音をさせながらステラがやって来た。
ステラは嬉しそうにはにかみながら、セスの前でセーラーワンピースとツインテールを翻す。
「ああ、よかったな。似合ってるぞー、ステラ」
「えへへ~……かみもね、ネリアがゆってくれたなのよ~」
「そうか、そうか~。可愛いぞ~……似合ってるぞ~」
「えへへへ~~♪」
セスのステラにかける褒め言葉が、早くもバリエーション不足で重複しはじめた。
そのとき、洗面所からネリアの声が響く。
「セス~⁉︎ ちょっと来てー? お願いがあるんだけどー!」
「⁇…………どうしたー? ネリ、あっ⁉︎⁉︎」
すぐに様子を見に入ったセスだったが、ネリアの姿を見るなり大慌てで廊下へ飛び出した。
「ななな、なんて格好してんだよ⁉︎」
「ステラちゃん洗うとき、私もシャワーがかかっちゃってさ~。何か適当に着替え貸してくんない?」
入り口外の壁に張り付いていたセスの顔を、ネリアは入り口内側からぴょこんと顔を出して覗き込む。
「ちゃんとタオル巻いてるから大丈夫だって」
「世間じゃそれを大丈夫とは言わねーよ、バカっ」
「そりゃ私も誰にでもこうじゃないよ~。セスだからいいんだよ? ね……中、入ってきて?」
「意味深な言い方すんじゃねーよ……ったく」
セスは不満気に装いつつ、せっかくなので中に入って『視る』ことにした。
よくよく考えれば服を取りに部屋へ向かうべきなのだが、ネリアの方から誘ってきたのなら仕方ない。
どういう意図があるのか見極めておくべきだろう。
「ふふっ……本当に入ってきちゃった。セスってば大胆〜」
体にぴったり巻きついたふわふわのバスタオルから覗く、たわわなバスト……ムッチムチの太腿……
ほのかに蒸気漂う狭い室内で、イタズラな幼馴染ネリアは堂々とその発育の良さを見せつける。
「大胆なのはそっちだろ。普通はもっと恥じらったり、焦ったりするもんだろーが。なんで平然と見られてんだよ?」
「んえ~~⁇ じゃあ、……見ィ~タァ~ナァ~~⁉︎」
「ホラーかよ!」
「じゃあ、……訴えてやるっ‼︎」
「重い‼︎ 幼馴染相手に酌量は⁉︎」
「じゃあ、……パパに言いつけちゃうよっ⭐︎」
「婉曲的死刑宣告ッ‼︎‼︎…………つーかネリア、こんな誘うような真似するってことは、俺のこと好きなわけ? でなきゃ痴女だぞ」
「え〜? そんなこと聞くってことは、セスこそ私のこと好き? それとも自意識過剰なのかな〜」
ぱらり……
「「あっ」」
そうしてふざけ合っているうちに、本当にネリアのバスタオルが落ちてしまった。
……が、ネリアはタオルの下にベアトップとショートパンツを着ていた。
濡れて脱いだのはブラウスと靴下だけだったのだ。
「よくも騙したなネリア‼︎ 訴えてやるッ‼︎」
「セス、それはおかしい」
「セスー! ステラのハチミツなくなっちゃったのー!」
ガチャガチャ……バタン! ガチャガッチャン‼︎
「ああああ‼︎ こんなことしてる間に、ステラがキッチンを荒らしているぅぅぅ⁉︎⁉︎」
結局、ネリアは暑さを理由にそのままの姿で過ごすことにした。
セスはただ無駄にからかわれただけだった。




