表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/106

3ー2.セス、壊れる。

2021/08/30『治癒魔法』を『回復薬』に訂正


コン、コン!


「セス~?」


コン、コン、コン!


「おーいっ! セ~~ス~~⁇」


ある朝、ネリアはセスを迎えに来ていた。

朝はいつも先に準備が整った方が相棒を迎えに行くことになっていたからだ。

しかし、今日は玄関の扉を何度ノックしてもセスが出てこない。


「しょうがないなぁ……」


精霊少女に疲れ切っていたセスのことだ、きっと寝坊しているのだろう。

そう思ったネリアは、相棒を起こすべく合鍵を使って家へと入った。


「おはよー、精霊ちゃん」


入るとすぐダイニングに精霊少女が見えたので、ネリアは挨拶した。

勿論、通じているとは期待していない。ただのノリだ。


精霊少女が乗っているテーブルには、幼い子用のカラフルなおもちゃが並べられている。

少しでも精霊少女の注意を逸らすために、セスがリーナの雑貨屋で買ってきたのだ。


「ふふふっ……セスってば、文句言いつつ優しいとこあるなぁ」


セスの真意を知らないネリアは、微笑ましく思いながら2階へと上がった。


「セス~? 入っちゃうよ~?」


そう言いながらネリアが寝室のドアノブに手をかけた瞬間、ドアノブは内側からの力で回る。


ガチャリ!


「え?……きゃあっ⁉︎」


掴んだままのドアノブに引きずられるように、ネリアはセスの寝室へと引っ張り込まれる!


バタン! ドンッッ‼︎


「待ってたぜ、ネリア……」


「せ、セス……⁇」


入ると同時に閉められたドアと、待ち構えていたセス。

その間に挟まれ、ネリアは逃げられなくなった。


「お……起きてたんだ?」


「ああ、バッチリとな」


「ひゃんっ⁉︎」


腹部に棒状の硬い物が押し当てられ、ネリアは小さく悲鳴を上げた。

じっとり汗ばんだセスの手がネリアの手を取り、強引にそれを握らせてくる。


「なぁ……俺、もう限界なんだよ……ずっと一緒にいたお前なら、ちゃんとわかってるだろ?」


「それは……そうだけど、こんな急には困るよっ」


手元を見て困惑するネリアに、セスは更に鬼気迫る様子で詰め寄る。


「ネリアにしか頼めないんだ……! 明日からまたちゃんと働く! 今日だけでいいから‼︎」


「で、でも、精霊ちゃんが……」


「お前、気にしないって言ってたろ? だったらそれを証明してみろッ‼︎」


「あッ……ちょっと待って! セス! 待ってってば、セスーーーーッ‼︎」


ダッ!……シュタッ‼︎ タタタタタタ……


呪われた剣をネリアヘ無理矢理預けると、セスは2階の窓から外へ飛び出し、走り去った。


「ひゃっほーーぅ‼︎ 俺は自由だーーーーっ! ははははは~~っ」


セスの思った通り、ネリアは呆気に取られて追いかけることができなかった。

その為にわざわざ2階までおびき出したのだ。


もし1階の玄関であれば、ネリアも咄嗟に追いかけただろう。

「回復薬でなんとかなる程度ならセーフだから!」な~んて考えで、容赦なく足止めの魔法をぶっ放してきていたかもしれない。


遠ざかっていくセスの背を、ネリアは仕方なく窓辺から見送った。


「んも~~っ! セスってば、本当にしょうがないんだから……っひあああ⁉︎」


突然、ネリアの下腹部をゾワゾワとした感覚が通り抜け、ネリアはぶるるっと身震いした。

すり抜け常習犯、精霊少女だ。


1階の天井をすり抜けて2階へやってきた精霊少女は、セスを追うように窓から外へ飛び出した!

だが、ネリアの手にした剣から十数メートル先の空中でしばらくバタバタともがいた後、しゅんとした様子で戻ってくるのであった。


「…………」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ