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2ー5.温泉美人

鍛冶屋のすぐ隣に、鍛冶屋同様の異国風建築な温泉施設はあった。

セスとネリアが正面玄関から入ると、着物姿の従業員がすぐに出迎えてくれる。


「いらっしゃいませ! 撫子温泉へようこそ」


赤リボンで襷掛けをした桃色の着物に、白いフリルエプロン。おかっぱ頭の両側に、桜の髪飾り。

童顔小柄な黒髪少女サクラの姿を見て、ネリアは首を傾げた。


「あれっ? もしかして、鍛冶屋さんの娘さん……⁇」


ネリアの問いかけに、サクラは苦笑する。


「お客さん、先にカヅキ叔父さんに会われたんですね。わたしは姪のサクラです。叔父さんの娘は……」


「はぁい、モモですよぉ~」


突然、サクラの背後から甘ったるい声が名乗った。

モモは腰まで伸びたふわふわの金髪を揺らしながら、トトトっと駆け寄ってサクラの肩に寄りかかる。


「鍛冶職人カヅキの娘はぁ、このモモで〜す。モモはねぇ、カオルコ先生の診療所でお手伝いしながら~、薬草学のお勉強中なの~。セスさん、ネリアさん、よろしくお願いしまぁす♡」


白衣のような薄手の二重マント。揃いのデザインの帽子と手袋にも、金色の糸で刺繍が施されている。

膝丈スカートから伸びる白ストッキングの脚。桃色のタレ目に泣き黒子。

マントの隙間から覗く白い谷間はネリアを超える豊かさ。露出面積の割に色っぽい、華やかな美少女だ。


「ああ、よろしく……ってあれ? 俺たち、まだ名乗ってませんよね?」


「だってぇ、おふたりとも村中の話題ですもの~。名乗らなくても、ちょっとは知ってますよぉ? 特にセスさんはぁ、アリスさんとの『夜の特訓』がすごかったって噂ですし〜」


「よ、夜の特訓……⁇」


グルンと首を回して振り返ったネリアに、セスはげっそりした表情で答える。


「あの格闘バカから強引に体術の特訓に付き合わされたんだよ……」


「ああ、なるほど〜」


ネリアは面白そうに笑ったあと、再びモモに向き直る。


「でもそっかー、モモさんが鍛冶屋さんの娘さんだったんですね。変だと思ってたんですよー、私たちくらいの歳の娘さんがいるって聞いてたから。サクラちゃん、まだ小さいもんね」


ネリアがそう言ってサクラに笑いかけると、サクラはしゅんっと俯いた。


「あ、あの……わたしとモモちゃん、1歳しか違わないです……」


「えっ、ご、ゴメンねっ! 私ったら、つい……」


「いいんです……子供っぽく見られるのは慣れてますから…………ぐすんっ」


しょんぼりしてしまったサクラに、モモが横からぎゅ~っと抱きつく。


「モモたちねぇ、従姉妹なの~。ほら、よく見たら目の色がお揃いでしょ~? しかも母親同士が親友でね~、モモたちは赤ちゃんの頃からずーっと本当の姉妹みたいに育って~、モモもサクラと大親友なの~~♡」


そのとき、今度は受付の方から「あらあら~」と甘ったるい声が聞こえてきた。


「んもぅ、サクラちゃんったら、お客様の前なのに笑顔忘れちゃってるわよ~? モモちゃんも、お使いが終わったなら早く戻らないと、カオルちゃん困っちゃうでしょ~?」


香水の良い匂いをさせながら歩いてきたのは、この温泉の美人女将ニナだ。

ふわふわした金髪ボブに、青のタレ目。口元に黒子。

着物を大胆にアレンジした深紅のタイトドレスに、羽衣のようなストールを纏っている。


「はいっ、ニナさん! ええっと、笑顔……笑顔……」


慌てて両頬を押さえたサクラの横で、モモは不服そうに唇を尖らせる。


「むぅ……いちいち注意されなくても、モモは今お仕事に戻るところだったも~ん。お母さんこそ、またお客さんの前でお父さんのこと惚気たりしないでよね~?」


「だ、大丈夫よぉ~! お、お母さんは自重できる大人ですものっ」


「ふぅん? そうだといいんだけどなぁ……それじゃあセスさん、ネリアさん、またねぇ~♡」


モモはセスたちにパチっとウィンクすると、またふわふわ金髪を揺らしながら去っていく。

その姿をセスがまだ目で追っているうちに、ネリアはニナへ尋ねる。


「えっと……鍛冶屋さんの奥様ですか?」


その瞬間、ニナは急変した。


「はぁい♡ わたしが鍛冶屋大和の職人カヅキの妻、ニナです♡ 愛しい旦那様はね、昔わたしが留学先で一目惚れした初恋のダーリンなのぉ~~♡♡ 出会った頃から変わらないクールな中に情熱を秘めたあの眼差し……きゃ~~~っ♡♡♡ あぁん、どうしましょう⁇ 当時を思い出しただけで、わたしったら顔が熱くなっちゃうわぁ……♡」


ニナは白い肌を上気させて、体をもじもじとくねらせる。

服の上から見ただけでもわかる、正に男の理想を具現化したような「ボン! キュ! ボン!」のナイスバディ。

今にもこぼれ落ちそうな爆乳が揺れるのを眺めながら、「あの鍛冶職人、真面目そうな顔して欲望に忠実な男だ」とセスは察した。


「実はですね……」


セスたちはカヅキから預かったメモを見せ、ニナへ事情を説明した。



目の色はニナが青。カヅキ、モモ、サクラが桃。カオルコが黒。

ファンタジーなので現実世界の遺伝法則は無視してます。

カヅキの兄アトリは番外編の回想でだけ登場予定。


ニナの一人称を「わたし」か「わたくし」で悩み中。

同じ場面で出ることが多いキャラ同士は、紛らわしいからなるべく一人称被らないようにしたい……けどかえって一人称誤爆しそうでもある(´・ω・`)


2023/04/26番外編書きながらやっぱりニナの一人称も『わたし』がいいかと思ったので修正

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