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異世界美少女とパーティ組みました

 此処(ここ)は何処だ?僕は何でこんなところで寝込んでしまっているのかこの奇妙な空間にやってきた経緯を全く理解できないし記憶がない。

 そもそもこれは夢なのか?現実なのか分からず、これが現実ならむやみやたらと動いて帰れなくなったら大変だ。

 可笑しいな、目が覚めてから食欲を殆ど感じないぞ、体の怠さも全くない、僕はこれが夢でありますようにと心から祈りながら自分の頬を勢いよく左手で引っ張った。

 「あれ、全然いたくない…なぁ~んだこれは夢か」

 と少しホッとしていたその時だった。

 「玉置一、これは夢ではありませんわ」

 一人の神話に出てきそうな女神様風の恰好をした赤髪のサラサラロングストレートの女性が僕に話しかけてきた。

 「夢じゃないってこれはどういうことですか?」

 「単刀直入に言うなら貴方のいた世界では死亡したことになってるの、今の貴方は魂だけがこの天界で彷徨っているから痛みを感じることはないの」

 「それなら僕はもう元の世界に戻ることはできないんですか?」

 「残念ながらそう言うことになります」

 「そんな…僕はまだやり残したことが沢山あるのに、何でだよ…可愛い彼女作って結婚して子供を作り幸せな家庭を築きたかったのに、こんなの嫌だよ…」

 「元の世界に戻ることはできませんが貴方がこれから行かれる世界では幸せな人生を過ごせるように加護を授けます」

 「どんな加護を授けるのですか?僕みたいな何の取り柄もないただの冴えない無職のダメ人間に授けて危険じゃないんですか?」

 「貴方、結構謙虚な人ね、貴方のこれまでの生活を(まと)めた記録に目を通してみたけど貴方なら大丈夫よ」

 女神は太鼓判を押しながら僕を激励してくれた。

 何故僕が死んだのか死因を聞こうとも思ったが、知ったらいけない気がして死因は聞かないことにした。

 死んだ理由なんかより、僕がいた世界とは違う世界に転生することになるんだからそんな後ろ向きなことを考えていてもしょうがないからだ。

 「一応異世界転生の準備するけど年齢は16歳くらいに若返らせておくわ、これはお姉さんの貴方へのプレゼントよ」

 女神は大人の女性の色気を出しながらそう言った。

 「玉置一、これだけは真面目に聞きなさい、これから貴方は16歳の状態で異世界転生することになるけど異世界に来たからって自分の力を過信しては駄目よ、貴方に授けた加護は元いた世界でも使い方を誤れば貴方の身体に悪影響を及ぼす可能性があるから」

 彼女は最後にそう言い残しながら僕は異世界へと飛ばされることになった。

 初めての異世界は定番の駆け出しの街に飛ばされるのかと思ったけどゴツゴツとした荒野かよ!

 女神さまもその辺真面目に考えずに僕を異世界転生させたのは間違いない。

 なんていうかいきなり貴方は死にましたとか胡散臭くて信憑性に欠ける部分が多すぎるしよりにもよってこんな危なっかしい場所から始まるなんてゲーム初心者がいきなりプロでも苦戦するHARD MODEに挑戦するようなものだぜ。

 喉が渇いてきたな、水が欲しい、このままここに長居してたらせっかく転生させてもらったのが無駄になってしまう、早く人気の多い場所を見つけなくては。

 僕はどのくらいの距離を歩いただろうか、まだ人里らしき影すら見えない、僕は死ぬのか?

 まだ何もしてないのに、嗚呼、意識が朦朧となってきた、体も怠い、これじゃ元の世界にいた時と全然変わらないな。

 「もう、ここでお、し…まいか…」

 そのまま僕は地面に倒れ込み意識を失ってしまった。

 僕は夢を見ていた。

 両親と兄と妹がいて家族全員で自宅で食卓を囲み賑わっている、お腹すいたなあ、僕の分はないか確認してみたけど僕の分だけない。

 「母ちゃん僕の分だけ用意されてないよ」

 と母親に声をかけても全く聞こえていない、気になって肩をトントンた触れようとしたが僕の手が母親の体をすり抜けた。

 「嘘だ、こんなの嘘だ!」

 僕は自分の置かれたこの状況を理解できずに発狂するも誰も僕の声なんか心に響かない。

 そう、僕は死んだのだから…

 「ちょっと、そこのお兄さん、大丈夫?」

 そんな声が聴こえてきた。

 これは幻聴か?僕はゆっくりと目を開いた。

 そこにはエルフの少女が僕の看病をしてくれてたのか状況をうまく把握できないでいた。

 「ここは?」

 「お兄さん、こんな危険なところで倒れ込んでいたけど大丈夫?」

 「すみません、喉が渇いていまして、水を一杯頂けませんか?」

 「どうぞ」

 エルフの少女は僕に水の満タンに入った水筒を僕に微笑みながら差し出した。

 「ありがとう、生き返ったよ」

 「私はアリア、わけあって世界中を旅している冒険者よ」

 「僕は玉置一(たまきはじめ)

 「タマキハジメ?珍しい名前だけどどこから来たの?」

 「そうだなぁ、遠い遠い場所から来たんだ」

 「そうなんだ、まあこんなところで話しても何だし私の泊っている宿屋まで行こうか」

 アリアはそう言いながら僕の手を引っ張りながら街へと向かった。

 街到着した時に見て驚いた光景を目の当たりにしたのは、人の多さだ。

 もしかしたら日本で一番人口の多い東京並みの多さじゃないかな?

 アリアはなんだか楽しそうに笑みを浮かべながら大きな建造物へと向かっていった。

 「タマキハジメ、貴方冒険者組合に登録してたりとかしてなくて?」

 「うん、初めて旅を始めたばかりだから冒険者とかそういうの全く疎くて…」

 「それならお姉さんが手取り足取り教えてあげるわよ」

 彼女はそう言いながら冒険者組合の受付等色々な場所を教えてくれたけど、問題はこの世界の読み書きをすることは僕に可能なのか?

 早速僕はアリアに受付会場まで引っ張られながら連れられていかれた。

 可笑しいな、この世界の言語を勉強したわけでもないのに読める、普通に考えたらこうやってアリアと何事もなく会話を出来ているのだから何の不思議でもない。

 女神が授けた加護って、もしかして異世界の言語の読み書きが可能になる能力なのか?もしそれだけだったとしたら何故女神は僕に力を過信しすぎてはいけないと警告を言い残したのか、そこが一番気になる難点だけど、今は冒険者になる手続きを済ませよう。

 何とか無事に手続きを済ませ僕も晴れて冒険者デビューすることになったのだが当然冒険者は会社みたいに社長や幹部の人達が仕事を持ってくるわけではなく、全て自分でクエストを持ってこなければいけないのだ。

 その為冒険者組合には毎日早朝からクエスト依頼を探す冒険者が行列を作っているみたいなのだがみんな報酬の高い依頼ばかり取ってくるので残りは報酬の低いサラリーマンやアルバイトと大差変わらないようなクエストばかりだ。

 冒険者になったはいいけどこれじゃまるで自営業だな。

 「アリアさん、駆け出しの初心者でもこなせそうなクエストまだ残ってるかなぁ?」

 「あるとは思うけど、報酬の低いクエストばかりだと思うわよ」

 「ん~っと、これとかどうかな?」

 僕は掲示板に貼られている用紙を指さした。

 「そうねえ、森の特産キノコ採取ならタマキハジメでもできそうね」

 「じゃあ、このクエスト受けてみようよ」

 「わかった、この張り紙を早速受付に持っていっていきましょう」

 僕たちは森の特産キノコ採取の依頼用紙を受付に渡しクエスト依頼の手続きを行った。

 「わかりました、それでは森の特産キノコを10本程採取してくださいそれが今回のクエストです」

 「それでは行ってきます」

 受付のお姉さんとっても可愛かったなあ、年齢は18歳くらいで巨乳だし僕の好みだな。

 僕はニヤけた顔を浮かべながら歩いた。

 「もう、何ニヤけているのよ!もしかして受付のお姉さんのことを考えていたんでしょう?」

 図星だった…アリアはふくれっ面になりながら問い僕達は森の特産キノコ採取に向けて準備を整えた。

 「タマキハジメは武器持ってないから先ずは武器屋に行くわよ、そのあとは防具を揃えましょ」

 アリアが向かった武器屋はとても真新しく店内に入ってみると。

 「いらっしゃいませー、シルヴィ武具店へ…ってアリア、久しぶりね」

 「こんにちは、シルヴィ、今日は新しいパーティメンバーの武器を揃えようと思ってきたの」

 「へぇ~、もしかして彼氏さん?」

 「そっ、そんな関係じゃないわよ!」

 アリアは顔を赤らめながら大声で否定した。

 「初めまして、玉置一て言います」

 「あたしはシルヴィ、この店の店主よ」

 シルヴィの年齢は僕と同い年くらいかな?セミロングの赤髪に身長は160センチくらいのスレンダー美女、今日可愛い女の子に遭遇しまくりでとても幸せな気持ちだ。

 これが異世界ハーレムってやつなのか?この子達と仲良くなって絶対日本にいた頃では不可能だった夢を実現させてやるぞ。

 折角武器屋に来たまでの展開はいいけど僕はこの世界の通貨を持っていないか購入しようにも難しい…

 「タマキハジメ、お金の心配はしなくていいから好きなものを選びなさい」

 「アリアさん、出会って1日くらいしか経ってない僕にそんなに親切にしてくれてるけど大丈夫なの?」

 「武器代は出世払いでいいから遠慮せずに貴方にあった武器を探すといいわ」

 僕は手当たり次第探してみたけど一番気に入ったのは日本刀によく似た刀だ。

 本当は2~3本程度ほしいがいくらアリアが出世払いでも構わないとは言っても最低限の常識だけはしっかりしなきゃいけないな。

 「それならこの刀をください」

 「これはとある島国から輸入した刀で柔軟性もよく切れ味抜群で折れにくいわね、お客さん中々お目の高いこと」

 「タマキハジメ、本当にこれでいいの?」

 「うん、触った感じとても軽いし使いやすそうだからこれにするよ、アリアさん、必ず出世払いで武器代払うよ」

 こうして僕は日本刀に似た刀を購入、いつかアリアに武器代を支払えるようにクエスト頑張らなきゃいけないな。

 「ねえ、今回は一体どんなクエストを受けるつもりなの?」

 「今回は森の特産キノコの採取に行くのよ」

 「キノコ採取かぁ、鉱石の採取依頼受けたらあたしもついて行っていいかなぁ?お兄さんと一緒にパーティ組んでみたいし」

 「僕は勿論構いませんよ」

 「それじゃ、その時はよろしくね!」

 武器屋を退店したあと僕達は街の門を抜けキノコ採取のためにアリアと二人で森に向かうのだった。

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