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プロローグ
プロローグ
部屋に電話が鳴り響く。私は6秒ほど時間を置き受話器を取る。なぜ6秒なのかは分からない。ただ、すぐに取らなかったのは少し考える時間が欲しかったのかもしれない。しかし、もう後戻りはできない。
「はい。私です。」
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「ええ。感謝しています。」
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「勿論です。必ず彼らは(あの施設)に。」
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「ええ。」
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「この前お話しした通り、(例の作戦)でいきます。」
「それと、報酬のことですが。」
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「はい。ありがとうございます。」
「では。また(あの施設)で。」
受話器を置く。しばらく電話の前から動くことができない。これが答えなのかは分からない。これから分かることもない。これから自分にとって大切な人間が消えようとしているのだから。