出会い
この,死神Diaryは自分が初めて書いた物語ですので,温かい目で見て下さるとありがたいです。第一章は未来と未来を助けてくれた死神の出会いと再会を書いた物となっております。出だしと言うこともあり,少々短いですが楽しんで読んでいただけたら幸いです。
「暗いよ,怖いよ,誰か・・・・,助けて」
「人の子よ,君はここから出たいのかい?なら,僕が出してあげよう」
次の瞬間,目を開けるとそこには,真っ黒な翼の男がいた。俺は,その人を見た瞬間,怖いという感情は無かった。
「きれい・・・」
本当に綺麗だった。月の光に照らされて,その男の黒い翼は輝いていた。
「人の子よ,僕はそろそろ帰る。幸せになれるといいな」
そう言って,俺の前から姿を消した。
あれから,月日は流れ,俺は今高校二年生,名前は桐生 未来。未だに俺はあの時のことを覚えている。また,どこかで会えるのではないのかと,そんな気がするから・・・。
学校も終わり,俺はいつものように,帰り道を歩いていた。そしたら,猫の鳴き声が聞こえてきた。何だろうと思って,声のする方へ,行ってみた。すると,誰かが,捨て猫にご飯をあげていた。
「おいしいー?」
(あれ?誰かいる・・・。翼の生えた人・・・が・・。って,翼の生えてる人が,いるわけないだろ!というかあの人,昔助けてくれた人の顔・・・。白くて綺麗な肌と翼の色と同じ真っ黒な髪に,赤い瞳・・・。)
しばらく,様子を見ていると,ふと,目が合った。
(やば,見つかった!)
慌てて逃げようとして後ろを向くと,目の前にあの翼の人がいた。びっくりして固まっていると,
「君,僕のこと見えてるよね?目,合ってるし。」
突然の質問に戸惑ってしまったが,
「え,えっと,見えてます・・・。」
と,素直に答えた。その人は,じーっと俺を見た後,
「ここで話すと,君,周りから一人でしゃべってる,怪しい人に見えるから,とりあえず場所変えようか。」
「はい。」
そう言われて俺たちは人がいない公園に移動した。
「えっと,自己紹介するね。死神やってます!アズです。よろしくねー!」
「は・・・?」
俺はわけがわからなっかた。
「あー,そうだよね。突然死神なんていわれて信じられないよねー。ちょっと待っててね。」
そう言って,アズさんは,何も無いところから突然鎌を出した。
「これで信じれたー?」
それでも俺はわけがわからなっかた。
「いや・・そんなわけ・・・ないだろ・・・。」
「うんうん信じれないよねー。」
「死神なわけないでしょ!天使かなんかの間違いですよね!」
「へ?」
アズさんはきょとんとした顔をした。俺は話し続けた。
「優しい死神がいるわけないし,死神が人を助けるわけないでしょ!」
「あ,あの,え?信じてないわけじゃないの?というか,本当に死神なんだけど・・・。天使は羽黒くないし・・・。というか,僕人助けたことあったっけ?」
「ありますよよ!昔,俺のこと助けてくれましたよね!」
アズさんは,首をひねって思い出そうとしていた。少しの沈黙が流れた。
「うーん,あ!あの時の!捨て子君!」
ズバッと捨て子と言われると少し傷つく。
「捨て・・・。まあ,そうです。あれから,養護施設に行って,それから,優しい家族に引き取ってもらいました。今は毎日楽しく暮らしてます。」
「そっかー。よかったね!」
「俺,ちゃんとあの時のことお礼したかったんです。本当にありがとうございました・・。」
「なんかそんな風にちゃんとお礼してもらえると,すごく嬉しいなぁ。」
嬉しいのは,こっちの方だ。もしあの時,アズさんに助けて貰わなければ,今の俺は無いのかも知れないのだから。そんな話をしているうちに,辺りはすでに暗くなっていた。
「やばい!もうこんな時間だ!早く家に帰らないと!」
アズさんは背伸びをすると,
「そっか。さて,僕も,もう一仕事してこなくちゃ。他の死神におこられちゃうよ。じゃ!えーと,名前聞いてなかった。」
「未来。桐生 未来です。」
「そっかー未来かぁ。いい名前だね。それじゃあ未来君,また後で。」
そう言って,アズさんは去って行った。
(ん?また後で?)
アズさんの言葉に少し疑問を抱いたが,俺は急いだ。ここから家までかなり遠い,俺は全速力で家へと向かった。
「ただいまー。」
「お帰りなさい。ずいぶん遅かったわね。」
「うん,ちょっと知り合いに会って話してた。」
最初に出てきたのは母さんだった。母さんは料理がうまくて美人だ。
「お兄ちゃんお帰りー。」
次に出てきたのは妹の光だ。血の繋がっていない俺を兄として受け入れてくれた。かわいい自慢の妹だ。今年,中学生になったばかりだ。父さんはまだ仕事から帰って来てないようだ。父さんはとても真面目な人だけど,面白い人だ。こんな俺を,養子として迎えてくれたこの人たちは,とても優しくて,俺の大事な家族だ。昔の家族の記憶はあまりない。生んでくれた本当の親の顔も覚えていない。だけども,最後に聞いた。あの言葉は覚えている。
「生まなきゃ良かった・・。」
自分の本当の親は俺を嫌っていたのだろう。だけども,俺は,今の家族が本当の家族だと思っている。今の生活が本当に幸せだ。
「もう晩ご飯できてるから,荷物置いて,手洗ってきなさい。」
「はーい」
俺は荷物を置きに二階へと上がった。部屋に入るとそこには,
「やあ,お帰りー。」
アズさんがいた・・・。
「うわーーーー!」
びっくりして思わずしりもちをついた。
「未来どうしたのー?何かあったの?」
下から母さんの心配そうな声が聞こえる。
「な,何でも無いよー!少し休んでからご飯食べに行く!先に食べてて!」
「そ,そう。わかったわ。」
それから,俺はアズさんに向き直った。
「アズさん!何で俺の家にいるんですか!?どっから入って来たんですか!?。」
「僕,一応物をすり抜けたりできるんだー。だから,壁をすり抜けて入ったんだ。それに僕,一回別かれるときに「また後で」ってちゃんと言ったよ-。まだ話したいことあったし・・・。」
「それそういうことだったんですかー。せめて,「後で未来の家に行くねー。」って詳しく言って欲しかったです。」
「あははは,ごめんごめん。急いでたからさ。」
そう言いながらアズさんは笑っている。
「で,俺に話したいことって何ですか?」
俺は切り替えてアズさんに尋ねた。
「あー,そうだったそうだった。死神が優しいわけ無いって,未来君言ってたよね?」
「はい,まあ言いました・・・。」
「じゃあ,未来君に質問!未来君の死神のイメージってどんなの?」
「イメージですか?」
「そう,イメージ。」
俺は少し考えて,
「え,えっと・・。俺のイメージは骸骨で誰これかまわず,人の命をとっていく最悪なやつとかですかね。」
と言った。
「そうかぁ。でも,実は違うんだなぁ。」
「え?」
「確かに,未来君みたいな,イメージを持ってる人は多いんだよ。でもね,実際の死神はね,むやみに,人の魂をとったりしないんだよ。死神の基本的な仕事は,迷える魂たちを行くべきとこへ導くことなんだよ。」
(そんな感じなのか・・・,死神って・・。本当にイメージと違うな・・・。)
俺が無言でそんなことを考えていると,アズさんは,また話し始めた。
「でもって,天使とか神様とかは,奇跡起こしたりとか,人助けはしたりもするんだけど,あんまりしなくて,魂たちの生まれ変わりの手伝いとかがほとんどかな?ちなみに,天使とか死神とか関係なくいいやつ悪いやついるんだよ。ここまで何となく分かった?」
「はい,分かりましたけど・・・。そういう話,普通に話して言いもんなんですか?」
「え,いやだめだよ。本当は見られるのもだめだし・・・。だから,未来君が僕を見つけた時点でアウトだったんだよ。」
予想外の返事に俺は驚いた。
「え・・・・。じゃあ,俺のこと助けてくれたときは?」
「あれはまだ未来君幼かったし,すぐ忘れると思ってたんだよ。で,実は上の偉い人に怒られちゃって,1年間のあいだに2500の魂を導かないといけないんだよ。さらにね,その偉い人の提案でね,「その未来君とやらにに1年間限定で死神の力を授ける,今日から,お前の仕事を手伝ってもらえ。」とのことで・・・。そういうわけだから未来君,申し訳ないんだけど,今日からよろしくね!」
(え?え?ええええええええええええええ!?)
第一章を読んで下さった方々本当にありがとうございました。第二章は未来も死神の仕事の手伝いを始めます。これからどうなっていくのか,想像しながら読んでみて下さると,意外な展開に行ったりなど,面白いので是非とも試してみて下さい。