裏表
男子校に入ってようやく気づいた事がある。
あの時、もっと真剣考えていればこんなことにはなっていなかった…と
遡ること三年前--
中学一年生の僕、西田 貴音には付き合っている女の子がいた。名前は高梨 愛梨、彼女は平凡で何ひとつ取得のない僕とは違った。いつも明るく元気で、クラスを引っ張っていくリーダーシップのある生徒だった。おまけに美人だ。いや、神々しいとまで思える程だった。そんな彼女と僕が付き合っているだなんて、まるで月とスッポンだ。そう、ただ一つを除けば完璧で神々しい彼女だった。
僕の友達の高橋 直人が息を切らして僕の方へ走りながら
「大変大変大変大変!」
と言って、僕を力強く引っ張ってある場所へ連れて行ってくれた。
「どうしたどうした?」
いきなり渡り廊下に連れてこられて訳がわからなかった。
そこからは体育館の裏側が少しだけ見える。その裏側には、彼女とほかの女子生徒がいた。
彼女はそこでほかの女子生徒を殴っていたのだ。あまりにも衝撃だったため、笑いが込み上げてきてしまった。
でも、僕はおかしい事だとは思わなかった。人間は完璧な生き物でない。そう考えたら、今までがおかしかったんだと思えた。
「ありがとう…」
直人にそう言ってゆっくりと教室に戻った。
もう授業所ではなかった、彼女のことがますます気になってしまった。というか、彼女のことで頭がいっぱいだった。恋愛感情とは全く違う別の何かと。
授業が終わって休み時間に入った。僕は本を読むとみせかけて、人間観察を友達の直人とした。もちろん、彼女のことしか見ていなかった。分かったことがたくさんあった。彼女が僕に見している顔は、裏の顔ということが分かった。
今日の放課後クラブがなかった僕は彼女と帰ることにした。一緒に歩いていたら
「え?!付き合っているの?!」
大きな声でほかの女子生徒が顔を青ざめながら言った。女子生徒の顔には、軽い傷があった。
「ねぇ…」僕は彼女に聞いた。
「僕のどこら辺に惚れたの?」
告白してきた時「一目惚れでした。」そう言ってもらい、見た目も頭もよい彼女に僕もその言葉で惚れてしまった。彼女は聞こえないふりをしていた。
完全に分かってしまった。僕は遊ばれていたんだ。
真実を知った僕は、家に帰り母に聞いた
「付き合うって、どう言う事なの…かな」
唐突の質問に母はびっくりしたのか、家の何もないところでつまずきながら
「どうしたん?」
信頼出来る母親になら全て話そうと思い、全てを話した。
「そうなんやー」
棒読みでそう言った。
殴ってしまいそうになったが、母は笑っていた。
「やっと気づいたんやな、親で知らん人多分おらんで」
顎が外れそうになった。