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男は金と優しさ、女は美貌と器量、優しいだけの嘘つき男と、器量だけの不細工女が運命だと突き付けらた。さてさて受け入れたくない神様からのお達しをどうするのか?いや、きっとー、どうしようもないのだ。2

作者: セロリア

男性編。


産まれた家は資産家で、不動産経営をしていて金持ちだった。


小さい時から不細工で小学校から中学生までよく虐められた。


しかし、高校生になり、初めて彼女が出来た。


告白されたのだ。


相手は違うクラスのなかなか美人の田中さんだった。


しかし、勇気を出してキスをしようとしても、はぐらかされる。


今晩家に招待するから来てよ、と言っても、はぐらかされる。


ちゃんと順々にステップを踏みましょ?


そう言う彼女が誇らしかった。


が。


忘れ物を教室に取りに来たら、自分の噂話をしていた。


思わず隠れる。


田中「要は、結婚して、直ぐ離婚すりゃ良いのよ、解る~?」


女子共『あんた悪~いきゃははは』


田中「そうじゃなきゃ誰があんなブッ細工!この前さ~こーんな顔で、んーってキス顔してきたの!」


女子共『うわ!最悪!!、んで?どしたん?』


田中「私は真面目、真面目な顔してね?」


女子共『うん』


田中「まだ、高校生なんだから、駄目だよ?卒業したら、ね?」


女子共『きゃははは、あんたもうリョウ君と最後までヤッテんじゃあんよ、酷い奴~、今更キスくらいどーってこたないっしょーきゃははは』


田中「馬鹿!まじでキモ過ぎなんだって!キスくらいってあんたら、あれはまじでキスしたら瞬間ゲロっから!」


女子共『あー、やっぱり?』


田中「あたしも馬鹿じゃないよ?飴とお預け使い分けたいよ?でもさ~・・ありゃ無理だわ!」


女子共、田中『ぎゃあっはははははははははははははは』


静かに帰った。


殺そうと思った。


あの女子共、全員。


しかし、そこらにあった人形、ぬいぐるみを包丁でズタズタに切り刻んだら、幾分楽になった。


止めた。


殺す価値すら無いと包丁を台所へ戻した。


自分には金以外に取り柄が無いとよく親からも言われた。


実際、投資には才能があった。


小学校から親からの月10万の小遣いを、株や、外国債権に当て、中学生からは小遣いを貰うのを止めていた。


高校生の時には月に何百万という単位を右から左へ動かしていた。


しかし、普通の勉強はからっきしであり、いつも成績は最下位、体育では落ちこぼれ、迷惑ばかりかけていた。


しかし、親が学校に小学校、中学校、高校と直に校長へ話し合い、かつあげが発覚した場合、必ず警察沙汰にする事を伝え、有耶無耶には絶対にしない事を宣言した。


この事により、担任から、クラスに直にその事が伝えられ、かつあげだけは絶対にするなと、庇いきれないと、進路は塞がると、伝わっていた為、かつあげは行われる事はなかった。


その代わりの雑巾、水、落書き、紛失の虐めはあったが。


高校卒業と同時に別れを告げ、嘘泣きする女に知っていたとイヤホンを付けながら告げた。


何か罵倒し、鬼の形相でかろうじて聞こえた音は、青春の時間を金で払えだった。


構わず無視し、迎えの黒塗りの車に乗り込む。


殺さなくて良かったと思った。






大学には裏口で入り、オタクな友達も沢山出来た。


聖地にも毎年出品した。


充実した日々。


しかし、そんなオタクな友達にも彼女が出来た。


その度に一人ずつ縁が切られる。


切られたも同然だった。


最後には自分一人の会。


泣くもんか。


これは汗だ。


泣くもんか。


クーラーがガンガン効いた部屋で、目の汗をアニメの柄のシャツで拭った。


本当に。


金だけは才能があった。


月に億を動かしていた。


しかし、大学でも有名人だったから、女は信用しなかった。


二次元嫁から毎日抜いてもらった。


妊娠や、AIDSで自殺したらしいと大学で噂が広まる度にざまあと跳び跳ねた。


その後に、自己嫌悪に包まれた。


そんなある日、オタク女子との縁を繋ごうという秋葉原での会がある事を知る。


これだ!


そう思った。


楽しかった。


結構雰囲気も良く、面白く話せた。


が。


選ばれる事はなかった。


選ばれたのはどれもイケメンや、まあまあイケメンな奴ばかり。


二度と行かない。


そう誓った。


わざと札束を落として帰ってやろうかと思ったが、後々のリスクを考えれば、馬鹿らしかった。


黙ってへらへらしながら帰った。


ますますプラモデル、聖地への出品に力が入った。


しかし。


思い知る。


プラモデルや、同人誌にも才能が必要で、自分にはその才能は無いという事に。


3回目の出品の時に、諦めがついた。


その事業は成功するか否か。


見切りの才能は、流石だなと自分で感じた。


けれど、何をしよう?


次にはまったのはサバゲーだった。


ネットで申し込み、早速行った。


しかし、アメリカ式とは違った。


本格的ではなく、遊びの延長だった。


だから、突っ込みが多く、戦術的なモノは少なかった。


最初は楽しかったが、5回目くらいで飽きてきた。


女の子もいたが、ビッチか、彼氏持ちしかいなかった。


7回目で辞めた。


そして最後にはまったのが海。


釣り、スキューバ、珊瑚撮影。


船の免許も取り、おじさんを雇い、そのおじさんの友達らも乗り込み楽しんだ。


しかし、海の男はだんだん図に乗ってきて、我が物顔で船を扱いだした。


海の上では一番のひよっこだった為、無下にも出来ず、やがて首にした。


退職金寄越せ等言ってきた為、弁護士を前に話し合い、帰って貰った。


人は何故こうも馬鹿ばかりなのか?


絶望した。


自分には遊びの縁も無いし、才能もない。


ならば。


天に与えられた才能だけを使い、世の中を渡ってやる。


大学卒業と同時に会社を設立。


新事業専門の設立応援基金。


財源は全て自分の金だった。


一晩で来た応募の数は2万を越えた。


それを全てアリかナシかを判断していく。


到底追い付かない。


でも、それで良かった。


規約にも追い付かない旨を書いていた。


酷い健康になり倒れた。



睡眠不足、栄養不足。


風呂にも入らず、ひたすら精査の毎日だった。


目が覚めたのはVIPの病室。


両親が居た。


優秀な跡継ぎ兄さんも居る。


ひとしきり叱られた後、黙って隠居生活出来ないのか?とため息をつかれた。


その目は。


神様が隠居生活出来るようにその才能だけをお前に与えてくださったのに、なんて勿体ない事をしてるんだお前は。


隠居生活だけをしてれば良いのに。


お似合いなのに。


隠居生活しか出来ないのに。


調子に乗って、倒れて、情けない。


やっぱりこいつは金しかない駄目な奴。


病室を飛び出した。









会社の住所も変え、引っ越した。


家事代行サービスを毎日使うようにした。


AI を使い、精査基準を全て数字だけに変えた。


そしてー・・。



莫大な富が流れて来ている。


両親が探していると妹から連絡が来た。


探さないで、もう縁は切ってるつもりだからと言った。


あらゆる農家をネットで繋ぎ、潰れた選果場をリフォーム、潰れた運送をリフォーム、運送会社に巨大な真空チルド冷蔵庫を完備、作物の出荷量、種まき量を帳尻合わせ、需要と供給バランスを全て数値化、管理はAI 。


それらを地域、地域、で繋いだ。


そして、例えば大玉トマト一個20円。


オクラ12本入り一袋10円。


それぞれ地域地域でイベント開始。


野菜祭り。


そして、それらの値段は祭りだからではなく、この地域だけの値段設定だと宣伝。


食料に困らない街。




革命だと世界のニュースで取り上げられた。


名前、馬の仮面と声を変えてテレビに出演。


大学卒業して僅か8年だった。








やり遂げた。



そう思った瞬間。



隠居生活?



頭によぎった。


自問自答が始まる。



嫌だ。



心は叫ぶ。



他の事業、林業、養殖、水素、薬、も研究は上手く行っている。


例え自分が今死んでもきっと何ら影響は無いだろう。



用無し?



嫌だ。



もうお前は要らないってさ。



嫌だ。



黙って南の島でぼけーとしてれば良いってさ。



嫌だ、嫌だ、嫌だあああああ!



じゃあ、何を?



・・。


何かある?


・・。


何か他にー・・。







恋。




は?




恋がしたい。




ぷっ。



出来る訳ないだろ。




解んないじゃないか。




いやいや、解るし、解ってんだろ?お前には金目当ての女しか寄って来ねえよ。



うう。



なあ?不細工?



そんな事、無い。



あるだろ?テレビに出た時だって、仮面からはみ出るお前の頭のでかさに握手してくる美人の女共はドン引きしてたよな?


う、うるさい。


ほーらな?やっぱり無理だって、な?悪い事言わねーから、黙って隠居生活して、美人な女を金で買いまくってヤットきゃ良いんだよ、それが最高で最適で、無駄がない、唯一の答えだ、だろ?


・・。




・・。





そ、そうなのか?




そう、そう。




本当にそうなのか?



そうなんだって!



神様は、俺には、ひぐ、本当に、用意してくれないのかな?



まあだ神様とか言ってんのかよ、呆れるぜ、あのなあ、全部自分の努力でここまで来たんじゃねえか、神様なんか居ないし、これからもお前の前には可愛い子ちゃんなんか現れねーよ。


現れても120%金目当てのビッチ&馬鹿女だね、間違いないよ。

お前には女の良縁なんてねーんだよ、いい加減気づけ馬鹿。



・・。




・・。



金持ちってバレなきゃ良いんだろ?




言うと思ったぜ、あのなあ?その前提じゃなきゃ、男でもお前に用はないぞ?




うるさい。




おいおい?




黙れ。




おいおい、俺はお前が傷つかないように・・。




大きなお世話だ!〈パリン〉コップを投げつける。




もう一人の自分が消えた。



ふー、ふー・・。











かと言って。



出逢いサイトでは顔で弾かれる。



どうしようか悩んだ後、出した結論は。



神様を信じるだった。



自分が行きたいと思う場所に散歩する。



無理をしない。



自然に行きたい、行ける場所へ。



美術館の帰り道。



図書館の出入口の左横にガラス張りの店がある。


カフェだ。


図書館も嫌いじゃない。


入った。


一通り歩く。


本棚の通路を通る度に運命の出逢いを期待する。


しかし、なかった。



諦め、お腹が空いたので、入り口のカフェに行った。



その日は空いていて、良い雰囲気だった。



サンドイッチと、甘いココアを頼んだ。



少し高かったが美味しかった。



通い三ヶ月目。



その日は雨で、お客が多かった。


雨宿りの意味もあったのだろう。


殆どの席が埋まっていた。


立ち食いの客も結構居た。


その中に。


空いている席があった。


?何故座らないのかな?と一瞬思ったが、答えは直ぐに解った。


不細工な女が座っている。


壁際に、ちょこんと。


その左側だけが空いている。


デブって程ではないが、ぽっちゃりだ。


暗い感じだ。


もそもそ食べる姿は自分と重なって見えた。


ふと興味が湧いた。


何故かは解らない。


お盆にサンドイッチとココアを乗せ、近づき、隣良いですか?と声を掛けた。


あ、はい。


それだけ話すと彼女はまたスマホの世界に行ってしまった。


座り、スマホを開く。



暫くすると彼女は食べ終わり席を立って行ってしまった。



それから度々出逢った。



と、いうより、すれ違った。



図書館の通路で。



すれ違うのはいつも幼児コーナー。



彼女はそこでよく立ち読みをしていた。



ストーカーに見られるのが怖くて、素通りしていた。



ある日。




彼女が珍しく来ない日があった。



カフェのお兄さんが今日あの人来てないね、と同僚達と話しているのを聞いてしまい、何故か雨のせいかな?と喋り掛けてしまっていた。


喋った後でしまったと思ったが会話は進む。


お客さん知り合いですか?


あ、いや、知り合いって訳では、ただ、僕も毎日通ってるから、それであの人も毎日ぽかったし、珍しいなって。


女店員「あー、お客さん、もしかしてー」


金持ちとバレた?と思った。


女店員「あの人の事気になるんですかあ?」


へ?へえ!?と思わず変な声が出た。


女店員「あー!顔真っ赤ですよ?うふふふ」


男店員「へえ?それなら彼女フリーだと思うんで思い切って声掛けてみたらどおっすか?」


女店員「そう、そう、いつも一人で何か可哀想」


いやいや、ちょっと勘弁してよーと言うが、内心動揺していた。


まさか?


自分があんな不細工に?


ないない。


あり得ない。


だってあんな何の取り柄もなさそうで、可愛くない女なんかー・・・・。


・・。



男店員「違うんすか?」


女店員「私ったら早とちりでー」



知りたい、とは思う、好きかは・・解らない。



口が勝手に答えていた。



店員達は何故だがテンションが上がり、喜んでいた。




翌日。


彼女は来ていた。


いつもの席に居た。


その日は天気が良くて。


爽やかで。


店のジャズがいつもよりお洒落に聞こえたんだ。


席は空いていた。



暫くおどおど彼女の後ろをうろうろしていたが、男店員から、勇気を出してと小声で励まされ、思い切って声を掛けた。



席が空いてる中恐縮ですが、と、隣良いですか?



女性は一瞬こちらを見て、ああ、はい、どうぞ、とだけ言った。



嬉しかった。



直ぐに席を立たれると思っていたのに。



直ぐに座り、何故毎回子供用の本を読んでいるんですか?と聞いた。


返事は直ぐにはなかったが、返ってきた。


大人の本は、つまらないから。


その言葉を聞いた時。


ああ。


この人だ。



そう思った。




見つけた。



見つけてしまった。



もう、後戻りは出来ないんだ。



そう何故か思った。



そこからはよく覚えていない。



遊びに誘い、承知してくれ、楽しんだ。



友達の関係で。




それでも、バレンタインや、クリスマスには期待もした。



しかし、進展はなかった。


でも無理に進むのも違う気がした。



友達になってから3年目のクリスマスが迫ってきた。


イブに予定はある?と聞いた。


無いと言われた。


いつもならあると言われるのに。


今年は何かが違うと跳び跳ねた。


お洒落な、しかし、安いフランス料理店を選んだ。


最後の料理を食べ終わり、ワインを楽しんでいる最中に、意を決した。


あ、あのさ。


彼女の動きが止まる。


俺達・・、い、いや、待って、ゴホン、貴女が好きです、僕と付き合ってくれませんか?


彼女は固まって、斜め下を向いたまま動かない。



悩まれてるのか?やっぱり不味かったかな?



彼女の目から涙が見えた。


テーブルクロスにポタポタと落ちる。





やっぱりな。


やっぱり駄目だったか。


ほらな。


やっぱりな。


解ってたさ。


終わったな。


隠居生活か。


だな。


やれやれ。


金で女買いまくりか?


んな事しねーよ。


あーあ。


この人だって思ったのに。


残念だなあ。


あーあ。


あー・・あ・・。



ごめん、ごめんね?と、友達のままで良かったよね?ごめん、ほ、・・んぐう・・本当に・・ごめ・・〈ガタッ〉 席を立って逃げようとしたんだ。


〈ガシッ〉



腕を捕まれた。




逃げんな、馬鹿。



これ以上追い討ちを掛ける気か?と思った。



暫く沈黙。



彼女は涙を拭い、席に座ろ?と言った。


具体的な友達関係の終了話だと思った。


席につき、覚悟を決めた。



彼女はすーっ、はーー、と深呼吸をし、私の目を見てと言った。



僕は見た。



綺麗な目だ。



彼女はニッコリ笑って。



こう言ったんだ。



彼女「私達、似た者同士だね、これからは恋人関係で、宜しくお願いします・・あは、恥ずかしいね」



お金に勝った瞬間だったんだ。



















自然に生きようと、あの時決意した。


あの判断でさえ、運命だったと今では思う。


弱い自分にコップを投げつけたあの瞬間。


何かが変わったんだと思う。


でもそれは彼女も同じ筈で。


きっと彼女と僕のどちらかが、早くても遅くても駄目だったんだ。


本当に不思議だ。


本当に本当に不思議だ。


どんなに金持ちになっても、満たされる事はなかった僕が。


子供達と、彼女との過ごす時間に、こんなに満たされるなんて。


でも、楽になれると、弱い自分が誘ってきた道に踏み込んでいたら。


もし、金で女を釣り、遊んでいたら。


今の僕は居ない。


きっと、最後は自殺か犯罪者になっていたと思う。


欲望に耐える意味が解らない?


欲望に耐える意味が欲しい?



なら大丈夫。



未来の君が呼んでいるよ。



時間は未来から過去に流れる。



目標が決まった瞬間からその目標が君を呼ぶんだ。



君が行くんじゃない。



呼ばれるんだ。



君はただ、呼ばれるままに。



自分ではどうしようもないんだ。



根本的衝動に任せるんだ。



良い未来の自分が呼んでいるよ。



コーヒーを飲むと決めた時には、美味しいコーヒーを飲む未来が待っている。


その時君には眠りたくない理由がある筈だ。


その眠りたくない時に、オレンジや、ホットミルクは邪魔な『未来』だろう?



そういう事だ。



邪魔な未来を排除しよう。


それは経験になるって?


時間の無駄か、恥になるだけだ。


脅される材料にもなるな。


全ては君が選ぶ未来により決定する。


その未来が君を呼ぶ。


君はただ、返事をし続ければ良い。







《END》




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